表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/147

六話 シルヴィアの襲撃

いよいよフェイトがシルヴィアに襲われます。


 さて、今日もいろいろあって疲れたな。まだ寝るには早い時間だが、寝室に向かうとしよう。……どうやら今日はもうひとつイベントをこなさないと眠れないみたいだし。


 それにしてもトビーとドミニク達の警戒網を掻い潜り、俺の部屋に侵入するとはなかなかの手練だな。まあ、でも俺の【サーチ】からは逃れられないわけなんだけど。


 しかし、俺の留守中にこんなことがあっては困る。後でこの屋敷の警備システムを見直した方がいいかもしれない。でもやるからには魔道具やゴーレムを使ってA◯SOKばりのシステムを構築してみたいよな。となると手始めに目からビームを出すゴーレムの作成からだな。

 そんな事を考えながら歩いていると、程なくして俺の寝室の前までたどり着く。


《敵……でしょうか? それともサラさんドッキリイベント?》

《いや……サラさんは無いだろ、それに敵でもないと思う。殺気は少しあるんだが、敵意はない。そんな感じだ》

《うーん。それちょっと意味が分かりませんよ。普通敵意があるから殺気が出ますよね》

《俺もよく分からんが、とりあえず入って確かめるしか無いだろう》


 俺は恐る恐るドアを開けて中に入るが、【サーチ】でその侵入者が部屋のどこにいるのかは分かっている。ベッドの中だ。俺が油断したところを襲うつもりだろうか? でもそれにしては敵意が無いんだよな。なんかピリッとした殺気のようなものを感じるんだけど。


 俺は部屋に設置された魔道具に魔力を通し、灯りをつける。


 部屋が明るくなり、部屋の中の様子が視界に入る。やはりベッドが微妙に膨らんでいるな。


「いるのは分かっているから、いい加減姿を表したらどうだ? 一体俺に何の用だ」


 バレていないと思っていたのか、その侵入者は驚き、ベッドの中でピクッと一瞬身じろぎする。妙な緊張感が部屋を支配するが、数分ほどの間を置き、ついに観念したのか侵入者がその顔と姿を見せる。って、これは……。


「な!? お前確かシルヴィアだったよな。マイア王女の従者の……でも、その格好はなんだ?」


 シルヴィアはなぜか上下の下着一枚しか身に着けていない。その白く透き通った白い肌を惜しげもなく晒している。幼少の頃から剣を嗜んでいたためその体は鍛えられ、メリハリの効いたボディがその肌の美しさを引き立てている。昼間は軽鎧を着ていた為分からなかったが、胸のボリュームもなかなかのものだ。


「う……いやその。いきなりお前の部屋に忍び込んで悪かった」

「ま、まあ。それは良いとして……いや、本当は良くないんだけど。どうして下着姿でここにいるんだよ」


 俺の問いに、一度下に視線を落としたシルヴィアは、意を決したように口を開いた。


「殿方の寝所に下着姿で忍び込む……、その目的は……一つしかないだろう。女の口からそれを言わせるのか?」


 え? これっていわゆる夜這いってやつか? リアルでこんな経験無いから戸惑っちまったよ。というかなんで? こいつ俺を嫌っていたよな?


「昼間は俺を敵視していたように見えたが……どういう心境の変化なんだ?」

「それは……男には分からないかもしれないが、女にはその……そういう時があるんだ」


 そう言うシルヴィアの肩は震えており、明らかに無理をしているのがバレバレだ。


「それは、自分の意志、自分の本心なんだな?」

「!? も、もちろんだ!」


 ……嘘だな。恐らくこれはマイア王女の命令だろう。


「はぁ……なぜマイア王女を諌めなかった? それが従者であるお前の役目だろ?」

「い、いや。マイア様は関係ない! 私が……私がただお前に抱かれたい。そう思ったからここに来ただけだ」


 王女の名前を出され、明らかに動揺するシルヴィア。


「……さすがにそれを信じろというのは無理があるぞ。しかし、それにしても王女には困ったものだな。王女は俺を女をあてがえばこちらになびく、その程度の人物と見ているのか?」

「それは違う! マイア王女は何が何でもお前を味方に引き込みたかった。でも、こうした政治的な駆け引きとは無縁のお方だから……」


 シルヴィアの声は次第に尻すぼみとなり、最後の言葉は聞き取ることが出来なかった。


「出した答えがこれ、ということか」

「その通りだ。だが、確かにお前の言う通り、これは悪手だ。私があの時、マイア王女をきちんと諌めておけばこのようなことには……。でも決してお前を低く見ているわけではない事だけは理解して欲しい」


 そう言って、下着姿のまま膝を折り、頭を深々と下げるシルヴィア。

 まあ、シルヴィアには悪気はないと思うから、別に責める気にはなれない。むしろその王女のために自分の身を犠牲にするその頑ななまでの忠誠心に好感さえ覚える。

 ……そんなことよりも、アレだ。下着姿での土下座ってのはヤバイな。破壊力が凄まじいんですけど。


「別に怒っているわけではないから、頭を上げて欲しい。意地悪なことを言って悪かったな」


 俺のかけた言葉が意外だったのか、キョトンとした表情で俺を見上げるシルヴィア。


「お前のその王女を想う忠誠心に免じて、今回の件は気にしない事にするよ。それから王女の申し出は受けようと思うから、明日改めて話をさせてくれないか?」


 元々初めから王女の話には乗ろうと思っていたんだけど、それを言ってしまうとシルヴィアの決意や行動が無駄って事になってしまう。さすがにそれは可哀想だから言わない。


「な!? それは本当か?」

「ああ、ただし最終的な判断は王都に行って、王族派のトップと会談し状況が整理できた後だ」


「わ、分かった。私たちはお前を王都に案内すれば良いんだな?」

「そういうことになるな。よろしく頼む」


 それを聞いたシルヴィアは極度の緊張感から開放されたためか、ヘナヘナとその場にへたり込んでしまった。


「ご配慮痛み入る……」


 涙声でそう応えるシルヴィア。失敗すればあの王女から何をされるか分からない、でもそのためには好きでもない男に抱かれる必要がある。そこには余程の決意や葛藤があったのだろう。それにしても自分の腹心の部下に、しかも同じ女にこの様な思いをさせるマイア王女は最低の人物だな。


 俺の中のマイア王女に対する評価は地に落ちた。でも王都での目的を果たすためには利用せざるを得ないのだけどな。


 と、俺はそこでもう一度シルヴィアに視線を落とす。シルヴィアは床にへたり込んだ体勢そのままで、俺をじっと見つめている。


「あ、いや。もう話は済んだと思うんだけど、そろそろ服を着てくれないかな? 正直目のやり場に困るんだけど」

「…………」


 俺がそう言っても一向に動こうとしないシルヴィア。


「あの? もしもし? 聞こえてますか」

「ああ、聞こえている……ひとつお願いがあるんだが」


「ん? なんだ?」


 あ、あれ? なんかシルヴィアさん。妙に女らしいというか、色っぽい雰囲気が出てきたんだけど、これはどういうことなんでしょうかね。


「私にも従者……いや、女としてプライドというものがある。ここまでしておいて何もなく帰るというのも……私の女の部分を否定されているようで正直我慢ならない。だから頼む、その……私に恥をかかせないでくれ」


 シルヴィアは急に立ち上がり俺に抱きついてきた。うひゃー、なんか引き締めるところは引き締まってて、出るところは出ている。そして、柔らかいところは柔らかい。なんというけしからんボディなんでしょうか。やばい、このままじゃ俺の理性持たねーぞ。


「ちょ、ちょっとシルヴィアさん」

「シルヴィアと、呼び捨てでいい」


「じゃ、じゃあ。シルヴィア。お前俺が嫌いだったんじゃなかったのか?」

「いや、確かに最初はそうだったかもしれない……でも、今は別にお前ならいいと思っている」

「…………」


《響介さん……天然ジゴロって言葉知ってますか?》

《え、いや……ジゴロ? これが?》


 俺を両腕でがっちりホールドし、胸に顔を埋めてくるシルヴィア。えー、これどうしたらいいの? これも例の加護のなせる技なんでしょうか。俺は為す術もなく、シルヴィアのホールドを許した状態で立ち尽くしていると、急に部屋の扉が開け放たれ、誰かが部屋の中に入ってきた。


「なんか女の人の声がすると思ったら! フェイト! これはどういうことなのか説明してくれないかしら?」


 そこには鬼の形相で仁王立ちするディアナの姿があった。

 あ、終わったな。俺の人生は今この場を持って終了致しました。母さん……先立つ息子の不幸をお許し下さい。


さて、次回フェイトの命運やいかに?


評価ブクマありがとうございます!

おかげさまで評価300pt突破しました。今後ともよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ