六話 今度こそ加護ゲット?
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ありがとうございます。
しばらくぶりに堕女神が帰還、やっと加護を貰えるはずが……
翌日の朝。
昨日とは違って自分の屋敷で初めて迎える朝だ。辺境伯の屋敷のベッドもふかふかで良かったが、自分の屋敷となるとやっぱ違うな。何とも言えない優越感、達成感がある。
前世ではボロい安アパート暮らしだったから尚更だ。やはり男ならば一国一城の主を目指さないとね。
それにしても、この屋敷の敷地はかなり広い。完全に俺の手に余る広さだ。警備についてはどうにかなったが、掃除や庭の管理など執事のロイドとメイドのサラの二人だけでは手が回らないだろう。もう少し人手が必要なんじゃないか?
と言ってもメイドの伝手なんて無いんだけどな……。
あ、そうだ、孤児院があるじゃないか。エレーナにお願いして孤児院からメイド見習いとして何人か見繕って貰おう。別に借金を返せというつもりはないんだが、孤児にも社会経験を積む必要があると思うので、その辺は孤児院の理念や目的にも則っていると思う。
いや、俺は幼女メイドハーレムとかそんなやましい事を考えているわけではない。ただ単に孤児達の社会進出を後押しする事のみを考えているのだ。うん。全くもって健全だな。
「…………」
というかいつもならここでアストレイアのウザいツッコミが来るところなんだけど……、あいつはまだリディルのところなんだろうか? まさかリディルを引き戻す事に失敗して邪神にやられたとか? こうも連絡が無いとちょっと心配になってきたな……。
俺がそんなことを悶々と考えていると。
《おや? 響介さん。私のことを心配してくれているのですか? もしかして寂しかったですか? そうなんですね》
不意にアストレイアのウザい念話が聞こえた。
《え? アストレイア戻ってきたのか?》
《あれ? それだけですか? なんか反応薄くないですか? 感動の再会なんですよー?》
ぐ……、やっぱりウザい。でもここ最近アストレイアがいなくてなんか物足りないなー、と思ってたのは悔しいが認める……。なんだかんだ言っても五年の付き合いだからな。
《そうでしょう、そうでしょう。響介さんは素直じゃないですねー》
《く……まあ、それはいいから、リディルの方はうまくいけたのか?》
戻ってきたという事はうまくいったと考えていいのかな。
《ちょっと時間かかっちゃいましたがなんとかなりました。ちなみにリディルちゃんは響介さんが粉々にしちゃったので、回復のために今眠りについてます。しばらくは目が覚めないかもですが》
《え? マジで? もしかしてやりすぎたのか?》
しかし、SSランクのレッドドラゴン相手に手加減はできないしな。下手したらレーニアが壊滅していたかもしれないし。
《いえ、リディルちゃんは精神まで邪神の邪気に侵されていたので、アレくらいやらないとダメだったかもしれません。気に病むことはないですよ。リディルちゃんも響介さんに感謝していましたし》
《そ、そうか、それなら良かった。ところでリディルはお前を許してくれたのか? ずっと放置していたわけなんだし》
《そうですね。リディルちゃんにはひどいことをしてしまったのですが、なんとか許してもらえました》
リディルって結構心が広いんだな。俺だったら絶対許してやらねーけど。でもまあいいか、とりあえず大体の現状確認はできた。じゃあ、これから先どうするか、それを決めないとな……。
《これからリディル以外の他のドラゴンも開放していくんだろ? お前どこにいるか知ってるか?》
《そうですね……多分この国にはシグルーンちゃんがいるはずですので、そこに向かうのが一番だと思います》
《シグルーン?》
《あ、それは私が付けた名前です。この世界の人々からは嵐竜テンペストって呼ばれてますが》
炎龍と同じで嵐竜もアストレイアが付けた名前と、人々が呼称している名前は別なのか。
《前から気になってたんだけど、ちゃん付けで呼んでるってことは……ドラゴンは雌?》
《はい、ドラゴンは全員女の子ですね。だって折角作るんだったら可愛い女の子の方がいいじゃないですか》
あれが可愛い……のか? めっちゃ典型的なドラゴンだったけど。迫力あって怖かったぞ。
《あ、そうですね。響介さんはドラゴン形態のリディルちゃんしか見てませんでしたね。実は私が創造したドラゴン達は人間の姿になれるんですよ。いわゆる竜人ってやつですね。ちなみにリディルちゃんは人間の姿だと可愛い幼女ちゃんです》
折角だからって……、そういうもんなのか? まあ、俺としても野郎ばっかりは嫌だからその方がいいんだけど。
《なるほど、そういうことか。で、話を戻すけど、そのシグルーンはエレクトラ王国のどこにいるんだ?》
《はっきり断定はできませんが、恐らく王都オクスレイの可能性が高いです》
《自分で作ったドラゴンなんだろ? 分からないのか?》
《気配が……薄っすらとしか感じられないので……、多分邪神の手によって封印されているか、力を奪われているからだと思います》
《そうか、でも可能性が高いところから当たっていくしかないよな》
《そうですね。折を見て王都に向かった方が良いかもしれません》
王都か……、今あそこは国王の跡目争いの真っ最中なんだよな。なんかものすごい厄介事に巻き込まれそうな気がするぞ。
《まあ、王都にさっさと行って問題を解決したいのはやまやまなんだが、レーニアに屋敷を貰ったし、もう少し状況が落ち着いてからじゃないと厳しいかもな?》
《屋敷ですか? そういえばこの部屋って……私が居ない間に何があったんです?》
俺はアストレイアが居なくなってから後の事、暫定Sランクになったこと、準男爵に叙爵したこと、それで屋敷をもらうに至った事を話した。
《はー、なんか色々あったんですねぇ。それでレティシアちゃんにもフラグをおっ立ててしまったと》
《いや、レティシアのフラグは立ってないからな?》
《私の見立てではもう立っているも同然ですね。まったく響介さんは何人嫁を作れば気が済むんですか?》
《何人って、そんなにいないだろ?》
エレーナは本心が分からないし、レティシアは断固拒否する。そう考えるとディアナしかいないよな。
《なに言ってんですか、エレーナちゃんは確定ですよ。あとソフィちゃんと、孤児院のおチビちゃん達ですね。レティシアちゃんは将来確実に無理やり押し付けられる、そんな未来しか見えません》
《いや、ちょっと待てエレーナはともかく、ソフィさんも? というか孤児院のおチビちゃんていくらなんでもそれは無いだろ?》
レティシアは……まあ、ありうる。ハルベルトがゴリ押ししてきそうだし。でもなソフィさんは一度しか会った事無いんだぞ? まあ、その一度だけでかなりインパクトのあることをやってしまったのは確かなんだけど。それにおチビちゃん達って、あれはエレーナの悪ふざけに乗っただけだろ。
《そのおチビちゃん達をメイド見習いとして雇おうとしているのはどちら様でしたっけ?》
《げ! さっきの思考読んでたのか? どこから見てた?》
《最初からバッチリと。社会貢献というもっともらしい言い訳を考えながら、幼女を囲うとするなんて……響介さんはとんだ悪党さんですね。これからもそうやって無自覚にフラグを立てまくっていくんでしょうね》
《いや、そんなやましいこと考えてないから。それにそんなのでフラグ立たねーだろ》
《いえ、私にはフラグが見えるので、これも女神の力です》
《そんなの初耳だぞ?》
《今初めて言いましたから》
え? マジかよフラグ見えんのかこいつ。あ、そういえば……
《おい、リディルを開放して、女神の力が戻ったんなら加護も復活したんだろ? 前にも言ってたじゃないか、女神の力が戻ったら加護をあげられるかもって。それはどうなったんだよ?》
《え? もう加護は与えてますよ?》
《なに!? 本当か? それはどんな加護なんだ?》
《いえ、ですから先程から話しているじゃないですか、フラグ建築士スキルですよ》
《……ナニソレ?》
《女の子にフラグが立つイベントが自然発生するスキルです。良かったですね響介さん。これで男のロマンとも言えるハーレムが築けますよ!》
《そんなのいらねーって! もっとこう、戦闘に役立つ加護とかないの?》
《え? ないですよ? 私を誰だと思ってるんですか?》
はい、そうでした。堕女神でしたね……。というかこいつ開き直りやがった。もう期待するだけ無駄かもしれん。
《…………》
(まだ響介さんに本当の事は言えないな……。響介さんの力の秘密が分かるまでは、こうやってお茶を濁しておくしかないですね)
スキル名が御座なりなのはアストレイアが適当に名前を付けたからで、ここから一気にハーレム化が進むかどうかは未定です。でもフェイトがスキル貰った気になっちゃってるんで……




