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十七話 エレーナの決意

新キャラ登場です。


 俺達は朝食後、エレーナと孤児院に向かった。ジェシカは用事があるらしく別行動だ。これには正直助かった。あのジェシカの冷めた目をこれ以上向けられていたら俺の心は完全に折れていただろう。


 エレーナの話によると、孤児院は教会と併設しており、教会のシスターが孤児たちの面倒を見ているらしい。俺はなんとなく教会は街の中心付近にあるものと思っていたがアテが外れた。エレーナは街の中心から外れた端の方へ歩いて行く。この方角はスラムがあると聞いているのだが……。


 しばらくして教会が見えてきたが、案の定スラムから程近い所にあった。それほど大きな教会ではなく、だいぶ古い。ところどころ壁にヒビの様なものが見える。


 俺達はエレーナに案内され、教会の中に入る。中は高い天井にステンドグラスがあり、地球にある教会とだいたい同じ感じだ。奥に女神アストレイアらしき像が見えるが、これは……。


「はい、ダウト!」


 俺は思わず叫んでしまった。


「え? フェイト、ダウトってどういう意味?」

「あ、いやスマン。何でもない。ただのひとりごとだ」


 いや、だってそうでしょう。その女神アストレイアの像はそれはそれは美しく、グラマラスな姿をしていたのですから。胸なんかボリュームがすごいすごい。


《おい、堕女神。これはどういうことだ? 完全に詐欺じゃないか》


 以前夢の中で見たちんちくりんの女神本人とは似ても似つかないその姿に俺は絶句した。


《あれは私の将来の成長した姿をイメージして作られた像なんです。だから詐欺じゃありませんよ》

《お前があんな風に成長する保証がどこにあるんだよ?》


《いずれ、絶対ああなる筈なんです! 女神としての力が復活すれば絶対に!》

《あーそうですか、そうなることを俺も祈ってますよ~》


《くぅ~、絶対に響介さんを悩殺してあげるんですから覚悟しておいてくださいね》

《おう、楽しみにしてるぜ》


 俺が念話でアストレイアとやり取りしていると、奥からシスターらしい40~50代くらいの女性が現れた。


「あらエレーナ、依頼は無事終わったの? おかえりなさい」

「うん、ただいま」


 あのシスターがエレーナの育ての親だろうか?


「フェイト紹介する。この人がマーシャ。孤児院のママ」


 やはりそうか、穏やかで優しそうな人だが、相当な苦労人なのかもしれない。かなりやせ細っていて、顔にもしわが刻まれている。


「エレーナ、そちらのお二人は?」

「この二人は命の恩人。オークに捕まったところを助けてもらった」


「まあ、それはそれは、エレーナをお助け頂きありがとうございます。ああ……女神様の導きに感謝致します」


 マーシャは胸の前で手を組み、祈りを捧げるようなポーズを取る。


《ふふーん》

《いや、お前は何もしてねーだろ》


 むしろ、サボって惰眠をむさぼってただけじゃないか。まあ、とりあえず堕女神のことは置いといて。


「いや、俺達は大したことはしてないです」

「そうよ。当然のことをしたまでよ」


 と、俺とディアナは控えめにマーシャに答える。


「いえ、お礼もしたいですし、ここで立ち話もなんですから、孤児院の方へいらしてください。見ての通り貧しい教会ですので、大したおもてなしはできませんが」

「あ、お構いなく」

「私もエレーナのこと色々聞きたいわ」


「ふふ……では、こちらにどうぞ」


 俺達はマリーシャさんに案内されて孤児院に移動した。孤児院は教会の裏手にあり、庭のようなところで子供たちが元気よく遊んでいた。


「あ、エレーナおかえりなさい。依頼どうだった?」

「うん。バッチリ」


 バッチリじゃねーだろと思いながらも俺は話しかけてきた女性に目をやる。彼女はエレーナと同年齢くらいで黄色かかった金髪を長く伸ばした美人さんだ。シスターっぽい服装をしているところを見ると、シスター見習いといったところかな?


 そのシスター見習いの子はエレーナとマーシャの後ろにいる俺とディアナに気がついた。


「あら? お客様かしら? はじめまして私はソフィといいます。ここでシスターとなるべく努めています」

「ああ、はじめまして。俺はフェイトで、こっちがディアナだ」

「はじめまして、ソフィさん」


 俺たちはソフィさんに簡単に自己紹介した。


「ボクとソフィは孤児院で一緒だった」


 なるほど、エレーナと一緒に孤児院で育った仲というわけか。それでソフィは孤児院で子供たちの面倒を見て、エレーナは冒険者になってお金を稼いでいるというところか。


「とりあえず中に入りましょうか」


 マーシャさんに促され、俺達は孤児院に入った。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 孤児院の中の食堂に入り、中央のテーブルの椅子に腰かけた。とりあえず、改めて自己紹介かな? 俺は椅子から立ち上がって、


「改めまして、俺はBランクの冒険者フェイトです。こちらが同じくCランク冒険者のディアナ。俺達はここから北にあるトルカナ村出身で、まあディアナとは小さい頃から同じ村で育った、幼馴染みたいなものですね」


 と、自己紹介した。


「え? Bランクですか? お若いのにすごいですね。それにしてもトルカナ村もそうですが、北方の地域は魔物の群れが襲って来て大変なことになったと聞いていました。お二人は大丈夫だったのですか?」


「ああ、そうですね。だから俺達はトルカナ村を捨てて、レーニアに移ってきました」


 それを聞いたマーシャは気の毒そうに表情を曇らせ。


「そうですか、この孤児院にも何人か北方から逃れてきた孤児を預かっています。それにしてもこの国はこれからどうなってしまうのでしょう? 魔物に蹂躙されてしまうのでしょうか? ああ……女神様。我らをお救いください」


 なるほどな、トルカナの方は俺たちがいたから犠牲者は出なかったけど、他の村や町は多数の犠牲者が出たのだろう。それにしてもマーシャさんの女神への信仰心半端ないな。その女神様がこんな堕女神だと知ったらどうなるのだろうか。


 絶望して自殺しかねないな。


《うう……、また失礼なこと考えてますね?》

《自堕落なのはその通りだろ?》


「マーシャ大丈夫。魔物はフェイトが倒してくれる。だから安心していい」


 って、おい。エレーナ勝手なことを言うなよ。まあ、襲ってくる魔物は倒すっちゃ倒すんだけど。


「え? フェイトさんが?」

「そう。フェイトはオークキングを一撃で倒して、颯爽とボクを助けてくれた。ボクの王子様」


 キラーンとエレーナの目が光る。


「え? えええ! エレーナとフェイトさんってそんな関係なんですか? それにオークキングを一撃? ええええ!?」


 急な展開にうろたえるソフィさん。どうやらパニックになりやすい人の様だ。


「いや、まだ。ディアナに先を越されたけど、負けない」

「むむ……」


 ディアナとエレーナが火花を散らす。なんか話が妙な方向に行っている気がするんですが……。


「フェイトの強さはボクが保障する。将来必ずSランクになる。超優良物件。玉の輿……」

「エ、エレーナは相変わらずだね。えっと、フェイトさん。エレーナをよろしくお願いします?」


「……いきなりよろしくされてもな」


 勝手に話を別方向に進めるエレーナと、パニクるソフィ。そこにさらにエレーナが爆弾を落とす。


「フェイト、今ならソフィもついてくる。大変お買い得」

「え!? えええええぇぇぇ!! 私、おまけ!?」


 ソフィの絶叫が孤児院に響く……、エレーナよ、お前はジャ○ネットか? それとソフィも驚くとこそこ(おまけの部分)なのか?


「エレーナいい加減にしなさい。フェイトさんも困っていますよ?」


 ついにマーシャさんのゲンコツがエレーナに落ちた。エレーナは頭を擦りながら抗議の表情をマーシャに向ける。調子に乗りすぎだ。


「いえ、別に気にしていないので大丈夫です。ソフィさんもいちいちエレーナの冗談に付き合っていたら身がもたないですよ?」

「むう……、ボクはいつだって本気なのに」


 エレーナは不満顔。ソフィは呆れ顔だ。


「というか、エレーナが俺たちをここに連れてきた目的ってなんなんだよ?」

「フェイトも見たと思うけど、孤児院はボロい、お金もない。みんな腹ペコ」


 身も蓋もない事をさらっと言うエレーナ。


「だからボクが冒険者でお金を稼がないとダメ。でも、それも限界かもしれない」

「今回のオークに囚えられた件だな」


「うん」


 冒険者家業は確かに当たれば実入りはでかいと思うが、常に死と隣り合わせの危険な仕事だ。

 今回は俺たちが助けに行ったから命はあったが、今後も同じような目に合わないとは言い切れない。


「エレーナ。あなたの気持ちは大変嬉しいのですが、孤児院のために危険な冒険者をする事はないのですよ? 死んでしまっては何の意味もないのですから」


 まあ、マーシャさんの言うことは最もだ。しかし、エレーナの決意は堅かった。


「だから決めた。ボクはフェイトについていく。フェイトがいればボクは大丈夫。それにフェイトの戦い方を見ていればボクも強くなれる様な気がする。お金もがっぽり。孤児院のみんなもボクも幸せになれる」


 冒険者を続けると言っていたが、俺に依存するつもりだったか。

 まあ、女の子に頼られて悪い気はしないんだけど……。


「……なるほど、話はなんとなく分かった。でもな、それは俺に何の利があるんだ?」


 と、俺はあえて意地悪く聞いてみる。


「だからボクがフェイトに奉仕する。それじゃダメ?」


 んー、エレーナってこう見えて結構自己犠牲の精神に溢れているんだよな。マーシャさんの教育の賜物だろうか? というか、俺はこれにどう答えればいい? このまま了承しちゃうと俺は男としてどんな評価を下されるんだろうな。


《まさに鬼畜ですね》

《はっきり言うな、おい》


「いや、奉仕とかは別にいいから。俺も孤児院の状況を見ちゃったし、それにエレーナを助けたのもなにかの運命、めぐり合わせだったんだと思う。もう乗りかかった船だから俺にも協力させてくれ。あと、意地悪な質問をして悪かった」


 それを聞いたエレーナ、ソフィの表情がぱあぁと明るくなる。


《おや? ソフィちゃんにもフラグが……》

《おい、変なことを言うな。本当にフラグが立ったらどうする》


「はぁ、フェイトはとんだお人好しね。でもそれがフェイトの良いところなんだけど」


 ディアナも呆れながらそう言った。


「と言っても、俺がやるのは間接的なサポートだぞ? 孤児院のお金を稼ぐのはあくまでエレーナの仕事だからな?」

「分かってる。それで十分」


「でも、当面の運転資金いるよな? 孤児院の状態も良くないし、孤児も増えたみたいだから、子どもたちの栄養状態が心配だ。とりあえず金貨10枚を預けておくよ。これはエレーナが後で返すということで好きに使っていい。無利子無担保無期限でOKだ」


 と言って俺が金貨10枚を机の上に出すと

 ガタンッ! と音を立ててマーシャさんが突然倒れた。


「あ、マーシャさん! 大丈夫ですか? えっと……うーん……これは、どうやら見たこと無い大金を目の前にして、びっくりして気を失ってしまったみたいですね……」


 ソフィが苦笑いする。まあ、日本円の価値にして100万円だもんな。そりゃ驚くよね。


「ボクはこれで借金の形としてフェイトのモノになるのね……」


 自分の肩を抱いて、悲壮な表情を浮かべるエレーナ。といっても、ものすごく演技臭い。


「エレーナ、人聞きの悪い事を言うなって。無担保だって言っただろ……」



私は情景描写とか人物描写が苦手ですね……孤児院の様子とか登場キャラの描写もあまり書けてません。やっぱわかりにくいですかね?

私は結構小説読む時勝手に自分の脳内で補完して読んじゃう質なので、詳しく書かれれると余計に気になります(^_^;)

その辺は個人の好みなのかなぁ…

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