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二話 堕女神降臨!

堕女神登場です!


「お、やっと会えましたね。川本響介さん!」


 あれ? おかしいな。確か誕生日パーティーは終了。ディアナも家に帰って、俺は自分の部屋のベッドで寝てたはずなんだけど……。


「あれ? ……聞こえてないのかな?」


 それにしても、ここはどこだ? 見渡す限り何もない、ただ真っ白いだけの空間。音もない静寂の世界。そうか、これは夢だな。夢に違いない。


「夢なのは確かですよ。でもただの夢ではありません。私が響介さんの夢に干渉して入らせてもらってるんです」


 それにしても……今まで気付いていない振りをしていたが、目の前のこのちんちくりんの女の子は誰だ? 金髪碧眼で可愛らしいっちゃ可愛いんだけど、12歳くらいかな? 小さいな。それになぜこいつは俺の名前を知っているのだろう。


「えー。ちんちくりんってひどいですよ。今の響介さんと同じくらいじゃないですか」


 『今の』ってどういう意味だ? それにこいつは俺の思考でも読んでいるのだろうか……夢だからなんでもありなのか? ものすごく怪しいけど、こいつをこれ以上無視しし続けても事態の進展は望めないみたいだし……しかたない、相手してやるか。


「いや、スマンスマン。状況が飲み込めなくてな。ここは俺の夢の中……ということであってるんだよな?」

「そうですよ。響介さんの夢の中ですよ!」


 渋々といった体でようやく話してくれた俺にご立腹なのか、少々語気を強める女の子。

 いきなりわけの分からない所に放り込まれた俺の身にもなってくれよ。


「で、あなたは誰?」

「えっへん。よくぞ聞いてくれました! 私こそがこの世界、プライアスを管理する創造神、女神アストレイアですよ」


「…………」


「あれ? どうしたんですか? 響介さん?」


 そう言いながら俺の顔を覗き込む女神アストレイア。


「…………」

「? ノックしてもしもお~~~し」


 あ~アレだ。そーいやここは俺の夢の中だったんだ。J○JOネタが出て来る時点で俺の夢だ。間違いない。なんか面倒くさそうなんでとりあえず一旦目覚まそうか? そうすればこの変な夢からも抜けられて、この怪しいヤツともおさらばできるだろう。


 さあ、起きようか。


「あぁぁ! ちょっと待ってください! 私の話を聞いてください! J○JOネタ知ってるのも私が地球の管理も担当しているからなんですよ」


 ちゃんと伏せ字になってないのはいいのかな? と思いつつ、そんなことよりも……こいつ地球のこと知っているのか!?


「ということはまさか?」

「はい。ご察しのとおりです。あなたを地球からこちらの世界に転生させたのは私です。どうですか? すごいでしょ!」


 と、薄い胸を張る女神アストレイア。まあ、年相応と言えないことはないんだけど。

 まあ、それにしても、こいつが女神で、俺をこっちの世界に転生させた張本人だと? なんとなくラノベのテンプレっぽい、ありがちな展開になっているような気がするが、いざ当事者となってみるとものすごく胡散臭く感じるものなんだな。


「あ~、マジかよ。お前の言っていることを信用したワケじゃないんだが、とりあえず話を聞こう。なんで俺をこっちの世界に転生させたんだ? しかも前世の記憶を残したままで」

「ふぃ~、やっと話を聞いてくれる気になってくれましたか……ヤレヤレだぜ」


 ため息をはきながら、かぶりを振る女神アストレイア。ああ……こいつ胡散臭いというより、ウザい。


「……やっぱ俺、帰ろっかな?」

「待ってください! ふざけ過ぎました! ごめんなさい! お願いですから私の話聞いてくださいよ!!」


 とうとう泣き付かれてしまった。俺の腰のあたりにしがみつくアストレイア。ああ……鼻水ついちゃってるよ。

 そんな切羽詰まってんならちゃんとはじめから真面目にやれよ。


「はぁ、こんなやり取りしても(らち)が明かないな。できれば単刀直入に説明してくれ」

「イエス! サー!」


 シュタッと立ち直る女神アストレイア。創造神がこんなに軽くて良いのか? 俺、だんだん不安になってきたな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 アストレイアの話によると。彼女は地球とプライアスの両方を管理している女神様だったが、地球の日本の文化、特にラノベや漫画、アニメにどっぷりとハマってしまった。それで日本に入り浸り、惰眠を貪る日々を送っていたらしい。結果、プライアスの管理が疎かになった。


 そしてある日、たまにはプライアス側も見ないとダメだよね~ってな感じで、プライアスの管理メニューを開こうとしても開けない事に気づく。最初は故障かと思ったけど、どうも様子がおかしい。調べてみると誰かに管理権限を奪われている痕跡があった。これはまずいと慌てたアストレイアはプライアスで唯一残っていた権限である地球からプライアスへの魂の転送、転生を実行。その時たまたま死んで転送されたのが俺だったというわけだ。


「つまり誰でも良かったと? 俺への想いはウソだったのね?」

「ちがいます! ちがいます! 確かにあまり時間的な余裕はなかったんですけど、響介さんの魂から強い魔力を感じたので、響介さんならいけるって思いました。誰でも良かったわけじゃないですよ。信じてください!」


 軽くからかうつもりで言っただけだったんだが……まあいい。それよりも「いける」ってどういうことだろう?


「つまり、俺にプライアスでやってほしい事がある……ということだな?」

「さすがです響介さん! 鋭すぎます! 私が見込んだとおりです。というわけで私が響介さんにやって欲しいことは……」


 はぁ……調子のいい奴。それはさておき、アストレイアが俺にやって欲しいこと、それは……まずプライアス側でアストレイアの管理権限を奪ったヤツをやっつける。そして、管理者権限をアストレイアに取り戻して欲しいということだった。


 まあ、なんというか。予想通りだな。完全に他力本願だけど。


「え~、それって完全にお前の尻拭いじゃないか? やだよそんなめんどくさいこと。他に方法は無かったのか? おまえ創造神だろ?」

「そ、そんな。協力してくださいよ。でもそうですね。他の方法はないことはないです。宇宙全体を統治する主神に報告して、私よりも更に上のマスター権限でプライアスの権限を復活させるとかでしょうか」

「なんだ、まともそうな方法があるじゃないか。それでちゃちゃっと権限取り戻せばいいんじゃないの?」


 と、俺が言うとアストレイアは顔を青くして言い訳を始める。


「え、でもそれやると私がプライアスの管理をサボってたってことが主神にバレちゃうじゃないですか? イヤですよそんなこと。下手したら女神辞めさせられて、駄女神どころか堕女神になっちゃいますよ」


 なるほど堕女神……堕天使の女神バージョンか。うまいこと言うなこいつ。もっともこいつの堕は堕ちるというよりも、自堕落の堕の方が似合ってそうだが。


 俺は思わずアストレイアに向けてサムズアップした。それを見たアストレイアは口を尖らせ、両腕を振り回し露骨に不満をアピールしている。ああ、そうかこいつ俺の思考が読めてるっぽいしなぁ。というか自堕落はその通りだろう。素直に認めろよ。


 人は自分の失敗、無能さを自覚して初めて成長できるんだぞ?


「いや、あのな。社会人にとってホウレンソウ(・・・・・・)は基本中の基本だろ? 上司や上役への報告、連絡、相談をしないで自分だけで問題を抱え込んでいると取り返しのつかない事態に発展するぞ?」

「いえ、それは安心してください。もう既にその『取り返しのつかない事態』になっちゃってるので! ナハハ~!」


 おい、こら! この堕女神! もう取り返しのつかない事態になってるってなんだよ? 笑い事じゃねーよ。安心もできねーよ。


「それって、もう手遅れって事なんじゃ?」

「うぐ……どうもその権限を奪ったヤツというのが、邪神みたいなんですよねー。邪神に管理している世界を奪われるとか女神にあってはならない失態なんです。バレたら即クビです。だから主神にバレないうちに秘密裏に問題を解決して、無かったことにしたいんですよ。解りますよね? 響介さん」


「…………」


 いえ、全然解りません。無かったことにって……自浄作用が働かない、腐った組織のトップみたいなセリフ吐きやがって。

 あー、だめだこいつ。早くなんとかしないと……。誰だよこんなのに女神やらせたの。責任者出てこい!


「響介さん? 絶対に協力してもらいますよ?」

「嫌だよ。さっきも言ったが、自分のケツは自分で拭けよ。あきらかに自業自得だろ?」


 俺の拒絶の言葉にアストレイアの目つきが鋭くなる。

 お? ついに本性が出るのか?


「私のお願い聞いてもらえないのですか?」

「ああ。断る」


 俺が断固として断る意志を伝えた直後、アストレイアがニヤリと笑った。


「ふっふ~ん。なかなか強情ですね。ですがこれを見ても断ることができるんですかねぇ~?」


 ん? あれ? なんか雲行きが怪しくなってきたぞ? なんで急に強気になってんのこいつ? と、俺が(いぶか)しんでいると、おもむろにアストレイアは右手を上げ、指を鳴らした。すると、空間にスクリーンが現れ、そこに映し出されたのは……。



「あ、あれは!」




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