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堕女神の願い 叶えなきゃダメですか?  作者: 基山 和裕
七章 聖教国からの使者
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三話 皆との再会

 俺は気を取り直して、皆に挨拶をする。


「とりあえず皆久しぶり。王都オクスレイに……俺の城にようこそ」


「ああ、久しぶりだなフェイト。いや、エミリウス王と呼ぶべきなのかな?」

「いや、今まで通りフェイトでいいよオスカーさん。少なくともこういうプライベートの場ではね。公の場、周囲の目があるところではそうはいかないのかもしれないけど」


 まあ、一応王としての威厳みたいなものはある程度は必要なんだろうな。成り行きでこうなってしまったが、王ってのも面倒くさいもんだ。


「それにしてもまさかフェイト君が王様になるなんてね! やったじゃないディアナ。貴族婦人でもすごいと思ってたけど王妃様よ王妃様! もう夢みたいだわ」

「もう、ママ。恥ずかしいから大きな声で騒がないでよ」


 久々のディアナ、フェリシア母娘のやり取りを見てほっこりする俺。


「ふむ。オークキングを倒してみせた時から只者ではないとは思っていたが、まさか女神様の使徒だったとはな……」

「そうよね。うちのトリスタンが迷惑かけてないかしら? それが心配ね」


「うう……母さんそりゃないぜ。俺はちゃんとフェイトのサポートはできているぞ。な? そうだろフェイト?」

「うーん。それはどう……なのかな?」


 思わず目が泳いでしまった。こいつ戦場で暴走したことがあったし……


「息子が迷惑をかけていたのなら申し訳ない。父として謝罪させて頂く」

「いや、オーランドさん。さっきのは冗談だから。トリスタンは確かに危なっかしいところはあるけど、強さはもうSランク冒険者並だから、これからも邪神に対抗するため、バリバリ働いてもらう予定ですよ」


 そうなんだよな。トリスタンのやつ、強さだけで見たら冒険者で最強クラスだからな。俺が魔力操作を教え、魔力回路を刻んだ武器を与えたとはいえ、正直ここまで強くなるとは思わなかった。ディアナとエレーナもだけどな。


「そ、そうか。それなら良いのだが。……それにしてもSランクか。使徒様に鍛えられたらそこまで実力がつくものなのか……」


 Sランクという言葉が引っかかっている様子のオーランドさん。実力で息子に越えられたかもしれない事がショックなのかもしれない。オスカーさんもそうだが、オーランドさんの武器、風神の斧にも後で手を加えてみよう。


「それから、ロイドとサラ。ソフィさんにアイリスとケイティも、長い間屋敷を任せっぱなしにして悪かった」

「いえ、旦那様、それが私どもの務めでありますから、お気遣いありがとうございます」


 屋敷の使用人を代表してロイドが謝辞を述べ、それに合わせて他の者も頭を下げる。おチビさん達もだいぶ様になってきたな。サラメイド長の教育の賜物だろうか。それにしても……。


「ソフィさん、王都にまで来ちゃってるけど、孤児院の方はいいの?」

「ふえ!? あ、はい。だ、大丈夫れふ。フェイト様から十分すぎるくらいのお給金を頂いてますから。マーシャさんからもしっかりとお助けしなさいと言われてますし。そ、それに……使徒様にお仕えする事もシスターとして当然の勤めだと思いますので!」


 相変わらずあたふたして、パニックになりながら話すソフィさん。メイド長にしごかれたとはいえ、この性格は一筋縄ではいかないか。


「分かったよソフィさん。そういうことなら、これからもよろしくお願いするね」

「は、はい! 不束者ですが末永くよろしくお願いします!」


「…………」


 ソフィさん。パニックになるのは分かるが、もうちょっと言葉を選ぼうよ。それじゃまるで……


「ソフィもフェイトのお嫁さんになるの?」

「え!? そ、そんな……私なんか恐れ多いよ。な、なんてこと言うのエレーナ!」


 おい……少しは空気を読もうよエレーナ。それからソフィさんもちゃんと否定しろよ。


 おかげで今さっきプロポーズ受けたばかりなのにもう嫁増やすのか? みたいな空気になっちゃったじゃないか。みんなからの視線が痛い。特にレティシアとディアナが……。エレーナはどこ吹く風だけど。


「でも……エレーナすごいね。使徒様のお嫁さんになっちゃうなんて……それどころか王妃様なんて」


 口で「ぶい」とか言いながらVサインを返すエレーナ。そしてそのエレーナを取り囲み「私も玉の輿!」とか言ってはしゃぐアイリスとケイティ。


 ……もうこいつらは放っておくか。


「あと、トビーも屋敷の警備ご苦労さん」

「は! 殿。勿体無いお言葉。ありがとうございます」


 トビーの俺への呼称がついに殿になった。まあ、一応国王だから間違いじゃないんだけど。


「あ、そうそう。ドミニク達もアリスンさんの下で、戦から諜報活動まですごく活躍してたから、後でねぎらってあげてね」

「あのドミニク達が……わ、分かりました」


 ん? ちょっと待てよ。ねぎらうか……そうだな。せっかくこの遠い王都まで駆けつけてくれたのだから、再会の喜びも含めてその労をねぎらう意味でも宴を開いてもいいな。


「なあ、みんなちょっと提案。今夜宴の席を設けたいと考えているんだけど、どうかな?」


「うん、それはいい考えね」

「ああ、俺達は王都に来たばかりだからこれと言って用事もないしな」


「それから、レティシアちゃんとの婚約祝いもしないとね」

「あ、ああ……そうね」


 まあ、とりあえず皆OKっぽいな。


「まあ、宴といっても、まだ王城は建てたばかりでほとんど機能してないから、料理や酒がちょっと出せるだけになるだろうけどな」

「あー、でもその方がいいかもね。フェイト」


「そうだな。気心の知れた身内だけで簡単にやろうか。えっと、それじゃロイドさんにサラさん。祝宴の準備をお願いできるかな? 来たばかりで勝手が分からないと思うけど、城の使用人にも話はしておくからさ」

「は、畏まりましたフェイト様。私めにおまかせ下さい」


 ロイドさんとサラさんは、軽く一礼して、ケイティ、アイリス、ソフィさんを連れだって部屋を出て行く……ちょっと待てよ。


「あ、ロイドさんちょっと待った」

「なんでございましょうフェイト様」


「それじゃロイドさん達は楽しめないよな。……では、アリスンさんこれでなんとかできる?」


 俺は近くにいたアリスンさんに金貨の入った袋を手渡す。


「了解しました。祝宴が開けそうな店を貸し切って参ります」

「ああ、よろしく頼むよ」


 さすがアリスンさん。何も言わなくても俺の意図を察してくれる。

 ……でも、できればあっちの方も察して欲しいんだけどな。どうもアリスンさんは、エロ方面は察しが悪い。


「な!? フェイト様、私ども気を使う必要などございません。準備は我々が致します」

「だから、それだとロイドさん達は給仕までしなくちゃいけなくなるだろ。労をねぎらう事にならないじゃないか」


「いえ、でもしかしそれでは……」

「俺が良いと言っているのだから、それで構わないだろう。その代わり明日からはしっかりと働いてもらうけどね」


 腕組みをしながらニヤリと笑う俺。

 

「そういうことでしたら……畏まりました。今回はご厚意に甘えさせて頂きます」


 ようやくロイドが折れてくれた。


 その様子を見てお互いハイタッチをして喜ぶケイティとアイリス。ソフィさんとサラさんも嬉しそうだ。他の皆も微笑ましそうにその様子を眺める。


 ……でもまあ、この間のような狂宴にならないように気をつけないとな。特にエレノアさんには深酒させないように監視しよう。


《私のことも忘れないで下さいね》

《……大丈夫。忘れてないから安心してくれ。宴の時紹介するからさ……まあ誰も女神が普通の店で飲み食いするとは思わないだろうし、変装すれば大丈夫だよね?》


 それから、この様子ではもう今日は人事の件を詰めるのは無理だな。また日を改めてレティシアとハルベルトに相談する事にしようか。


「さて、俺もまだ別の仕事が残ってるからちょっと行ってくるよ」

「え? そうなの? フェイト。最近色々あって疲れてると思うから無理はしないでね」


「ああ、ありがとうディアナ。皆は適当にこの部屋で寛いでいていいし、自由にしてて」


 俺はディアナにそう告げ、部屋を出てゆっくりと目的の場所の方に歩を進める。


 通路の突き当りにある螺旋状になった階段を登り、辿り着いたのは、王城の端に建っている尖塔の最上階にある小部屋だ。


次回の更新は11/22(水)を予定しています。

よろしくお願いします。

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