表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/127

098 分岐点 デルリカ3

― 098 分岐点 デルリカ3 ―


僕らは空飛ぶ板で20万の魔物が現れた地点に向かう。

その途中で、やっぱり見つけた。


<鑑定探査>で見るとすぐに見つけられたから。

なにもない草原は一面『幽玄王の縄張り』となっている。


タケシ君が目を細める。

「長道さんの予想通りになりましたね。この縄張りを奪うんですか?」


僕は地面に降りると首を横に振った。

「いや、これはこのままにしておこう。どうせ幽玄王を倒せば消えるしね。それよりもこいつを利用して裏をかこうと思う。」


タケシ君は15歳とは思えない渋い笑顔を見せた。

「やはり長道さんは、そうでなくてはいけません。相手にとって悪夢のような裏をかくのでしょ。」


「ま、そこそこ面白い程度の作戦だよ。」

負けじと僕もニヒルに微笑み返す。


するとデルリカが迫力の病んだ笑顔で割って入ってきた。

「では地獄の始まりですわね。ワタクシ達に襲い掛かってきたことを死にたくなるほど後悔させて差し上げましょう。」


僕とタケシ君は、思わず一歩下がってしまった。

デルリカさん、怖いです。


でもヤル気なのはいいことだ。

よし、デルリカには頑張ってもらおう。


そうと決まれば早速行動開始だ。

まずこの『幽玄王の縄張り』に手を当てて意識を同調させる。

<純化魔法>でエネルギーを探る。

この縄張りを支配している以上、この縄張りと幽玄王はエネルギーでつながっているはずだ。

それを探る。


エネルギーのうねりを感じる。

それを意識で追いかけると幽玄王を感じることができた。

幽玄王の位置を探る。


・・・見つけた!


「デルリカ、幽玄王を見つけたよ。サビアンさんの森の地下に隠れている。どうやら土竜王はダンジョンを掘る前に地下からサビアンさんの森に潜入路を作っていたようだ。」


「では倒しに行きましょう。」


僕はそっとデルリカを制する。

「まって。今ダンジョンから僕と康子が脱出しようとしているから。康子と合流してから攻めるよ。それまでは準備だけしよう。タブン明日のお昼には出てこれると思うから。」


「わかりましたわ。どのような準備ですの?」


「ま、その仕込みの為にもグロガゾウの西門に行くよ。」



そして20分間後。


グロガゾウの街の門に来た。

そこには、騎乗可能な魔物が集まっている。

すでに人間によりテイム済なので、魔王の縄張りに突入できる魔物だ。

その数1200。


人も参戦することは街の有力者会議で決めたため、軍や作戦参加の冒険者はもう集まっている。


その中にデスケント第1皇子もいる。

今回は、このデスケント第1皇子に魔王討伐を成し遂げてもらうのも目的の一つだ。

魔王を2体くらい倒してくれれば、デスケント第1皇子の皇位継承も安泰なので、ぜひここで決めてもらいたいところだ。


今回はデスケント皇子が指揮を執って、兵士への魔物の割り当ては粛々と進んでいる。


僕はそんな皇子に気楽に近づいた。


「デスケント皇子、調子はどうですか?」


「お、長道か。長道が騎乗用の魔物を用意してくれたおかげで皆の士気も高い。これならどんな敵も倒せそうだ。」


「じつは街の東から魔物が20万ほど攻めて来ていますけど、大丈夫そうですか?」


デスケント皇子の顔が一瞬で引き攣る。


「長道?いま20万の魔物といったか?」

「言いました。20万の魔物です。明日には東の森に到着しそうです。がんばって倒しましょうね。」


デスケント皇子は、しばし眉間にしわを寄せて目を瞑ると、いきなりすがるように僕にしがみついてきた。

「長道よ、我は勝てると思うか?長道の考えでは大丈夫なのであるよな。大丈夫だと言ってくれ長道!」


なんていうか、デジャブが起きた。

ヘルリユ皇女とそっくりなしがみ付き方だったから。

兄妹だな、ほんとそっくりなしぐさだった。


「まあ落ち着いて。僕の作戦では圧倒的な勝利を手に入れる予定です。デスケント皇子には最低でも2体は魔王を討ってもらいます。魔王をボロボロにするのはこちらでやりますから、逃げる魔王にトドメだけ刺してくれればいいので。」


デスケントウ皇子はすでに半泣きだった。

「信じているぞ長道!何体も魔王を葬った長道を信じておるぞ!」


「おまかせあれ。デスケント皇子は魔物騎兵と浮遊バイク部隊の指揮をお願いします。20万の魔物と言っても、8割がたはこちらで倒しておきますので。安心してください。」


そんな話をしていたらヘルリユ皇女が来た。

「長道、できたら安心するために長道の策を聞きたいのだが…。」


デスケント皇子も聞きたそうだ。

なら少しだけ話すか。


「じつはダンジョンで魔物を大量にテイムしましたのでそれを使います。タブン、戦闘が始まったらすぐに圧倒できる予定です。」


それでもヘルリユは不安そうだ。

「それは20万の魔物と渡り合えるほどの魔物なのか?」


「うん、スケルトンとレイスと火炎ネズミに溶岩トカゲ、地竜の群れに、七人岬に、死霊大神官。その他諸々。合計1000体程従えたから。全員話せるくらいの知能があるからかなりの戦力になると思うよ。」


20万に大して、1000体程度の魔物じゃ不安て言われるかな・・・

言ってから少し後悔しつつ、デスケント皇子とヘルリユ皇女をみた。

2人ともブルブル震えている。

ん?どうしたんだろう。


ヘルリユはブツッブツ「は、ははは。な、長道のやることに驚くだけ無駄だ。落ち着け私。長道のやる事だ。」と呟いている。

もしかして非常識なことしちゃったかな?いつもヘルリユの中の常識と戦わせちゃってごめん。


デスケント皇子も「2~3日で魔物を1000も配下にだと?そんなことができるなんて、もしかして長道は魔お・・・いやいや、そんなわけはない。」とかボソボソいってるし。

皇子、たぶんそれ正解。


「二人とも、とにかくダンジョンに潜っている僕の分身が戻ってくればそれだけの戦力が増えるから。だから安心してね。明日は僕の配下の魔物を先行させて20万の魔物にぶつけるから、彼らが撃ち漏らした分を狩ってくれればいいから。明日までに兵にその作戦を徹底しておいてね。」


面倒だから、ブルブル&ブツブツな兄妹をその場に残し移動する。

その後ろをついてきたデルリカが急に僕の袖を引っ張った。


「お兄ちゃん、この後どうしますの?」

「明日に備えて食事して寝るけど。」


すると目を輝かせてデルリカがぴょんとジャンプした。

「でしたらテントの中で恋バナしましょう。いいでしょお兄ちゃん。」


「えー、まあ良いけど。」

どうせタケシ君と楽しい生活を送っているノロケを聞かされるのだろう。

まあ、がまんして聞くよ。お兄ちゃんだから。


戦い前日なのに、精神がガリガリ削られそうで怖いな。


お読みくださりありがとうございます。

次回、里美が…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングアップのために、↓↓クリックしてくれると嬉しいです
小説家になろう 勝手にランキング

新作
「異世界に行きたい俺たちの戦い ~女神さまは無責任~」
もよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ