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084 学校生活

ここから第3部 

― 084 学校生活 ―


グロガゾウの街に来てから4年がたった。

いま僕は17歳。


この街に来てから、最初の一週間だけかかわった戦争以外は平和なものだった。

ただ一点大きな変化があったのは…


グロガゾウに来てから、実は僕は基礎学力まだまだ足りないことが判明し、強制的に学校に入れられてしまったのですよ。

特に社会常識的な知識が不足しまくっていた。

歴史や宗教観、この世界独特の倫理観なども危うい。


とくに魔法の常識が無い。

僕の魔法常識は、ヤバイレベルで高度すぎるので魔法をどの程度まで他人に見せていいかを知る必要もあった。

なので、学校に入れられてしまったのというわけ。

なので、この4年間は学生ライフを堪能している。


康子や里美も同じ日本人だから僕と似たようなものではと思ったけど、2人はすでにしっかり勉強したことがあるらしく、充分な常識があるという。

なんか劣等感を感じるな。


という訳で僕は、今も教室の隅っこの席で本を読んでいる。

ラノベだけど。

これ、大豊姫さんがくれたスキル<日本ライブラリー>からプリントアウトした本なので結構面白い。

やっぱ、日本人が書いたモノはツボが同じで面白いな。


昼休みを利用して黙々と読み進めていると、隣の席のジョニーが騒がしく僕の肩をゆする。


「おい長道、また小説読んでるんか?お前は本当に女みたいな趣味の奴だな。放課後一緒に狩りに行かないか?」


フレンドリーな奴だがウザイ。

平民に多い茶色の髪に、どこにでもいそうな顔の男子。

いちおう運動は得意らしいが、頭はそれほど良くはない奴だ。

モテないけど、男友達とはよくつるむタイプの男子高校生って感じだな。


僕は、底辺詐欺な男子高校生の小説から目を離さず生返事だけした。

「気が向いたらねー。」


「おいおい、いつもそう言って来ないじゃないか。男なら狩りに行こうぜ、楽しいとおもうぞお。」


キリのいいところまで読んだので小説を閉じる。

「わるい、小説を読んでるときに言われたことは多分大体聞いていない。なんか用?」


「おいおいおいおい…、まあいいか。放課後狩りに行かないか?男のたしなみだろ。」


「狩り?僕よりも他の奴を誘ってあげなよ。僕は仕事があるからいけないから。」


すると、ジョニーは何とも言えない顔で椅子に座った。

「そういえば長道は、錬金や技工師のスキルを活かして学費や生活費を自分で稼いでいるんだっけ?大変なのか?」


「別に大変じゃないよ、好きでやってるし。ただ注文した相手をあんまり待たせるのは悪いから、早めに物を作っておきたいんだ。」


「そっか。まあ長道はすでに手に職があるようだから、狩りで小遣いを稼ぐ必要はないんだな。でも狩りも楽しいぞ。」


「注文が無い時だったら参加するよ。誘ってくれてありがとうな。」


「ああ、その時は絶対参加しろよ。待ってるからな。」


悪い奴ではないから無碍にはできないけど、クラスメイトと遊ぶとか面倒だから避けたいんだよね。


そう思って再び小説を開こうとしたら、目の前に赤髪の少女が不機嫌そうに僕の前に立った。

目立つ赤い髪を左肩側にまとめている美少女。

委員長のビレーヌだ。


「長道さん!研修旅行用の書類が出ていませんよね。期日が過ぎているのに提出しないのはどういう事ですか!。今日中に提出してください!1人だけ遅いのは迷惑です、いい加減にしてくださいませ!」


いう事を言うと、キッと睨んで素早く僕に背を向けた。

昔からビレーヌの睨みは怖い。

<威嚇>スキル持ちなので、目力が半端ないので。


「長道、今日も委員長に怒られたな。委員長はお前に特にキツイよな。お前、委員長に嫌われてるんじゃないのか?」

ジョニーが小声でそういうと、ビレーヌは振り返って再度キッと睨んで女子グループの方に行った。


「ジョニーも今の無用な一言で嫌われたかもな。」


「おいおいおいおい、勘弁してくれよ。委員長を敵に回したら平和な学園生活が送れないじゃないか。」


「ご愁傷様」


「お前がいうな!」


賑やかな奴だ。


そう、ビレーヌと僕は同じクラス。

ただ学校内ではほとんど話をしない。怒られる時以外。


まあ、この生活にも慣れたからどうでもいいけど。


ゴーン、ゴーン


すると五時間目の鐘が鳴り響く。

お昼休み終了。もう少し小説を読み進めたかったのに残念。






放課後。

僕は学校が終わると、寄り道もせずに職人街にある自分の家に行った。

そう、僕は工房を兼ねた自分の家を持っている。

ここで、注文を受けたものを作る生活だ。


さて、デスシールのヘルデウス皇帝から注文を受けた最新式の望遠鏡をあと200個作ってしまうか。

工房の中で材料を取り出し、作成作業に入る。


<空間ファクトリー>で作ってもいいんだけど、最近は出来るだけ自分で作ってるんだ。

作るのが楽しいんだよね。


材料の鉱石を炉にくべてレンズの材料となる石英を取り出し始めると、攻防の入り口が開いて人が入ってきた。


「長道さん、今日もお夕飯はこちらで食べますの?」


食材を沢山持ってあらわれたビレーヌだ。

13歳とは思えない大人っぽい雰囲気に成長したと思う。


「うん、今日中にこれを作ってしまいたいからコッチで食べるよ。」


「そうですか、ではお食事の用意をしてしまいますね」


ビレーヌはニコニコしながら台所に行く。

学校とは別人のように愛想がいい。


学校に入学した当初は、ビレーヌが異様にまとわりついてきて困ったので、

『学校では仲良くしないで。女に面倒みられているとかカッコ悪いしー。用が無い時は話かけるなよなー。』

と、思春期男子っぽい理由で拒絶したのだ。


そして、今のような関係になってしまった。

もちろん、本当にカッコ悪いと思ってダメと言ったのではない。

あわよくば、ビレーヌに彼氏が出来ないかと思って、僕から遠ざけたのだ。

僕の傍にまとわりつていたら、彼氏が出来ないだろうから。


でもキツイ性格のため、いまだに男っ気ゼロである。

がんばれクラスの男子たち。

ビレーヌは何でもできるスーパー美少女だよ。

だから頑張って口説いて!

お願い、頑張って!


そんな事を考えながらも僕の手は止まっていない。

魔法を併用しつつ材料の精製を続ける。


純度の高いレンズのガラスを精製。

頑丈なボディーを作るためのステンレスを精製。

暗視能力や超望遠能力をつけるために、魔石練成もする。


すると、近くでがたっと音がした。

集中していたので誰かが来たのに気づいていなかった。


音の方を振り返ったら、ジョニーが入り口に立っていた。

「よう長道、遊びに来たけど仕事見せてもらってもいいかな?」


この4年間。

ここに関係者以外が来ることはなかったので、ひどく場違いな感じを受ける。

「良いけど、急にどうしたの?それよりもよくここがわかったね。」


するとジョニーは折れた剣とボロボロの弓を出す。

「実はこれの修理をしたかったんだけど、どうせなら知っている奴に頼んだ方が安心だろ。だから、職人ギルドに聞いてきたんだよ。」


なるほど。

「良いよ、そのあたりに適当に置いておいて。この作業が終わったら見るよ。」


そして再び作業に戻る。

幾つかの簡単な道具と魔法を併用して双眼鏡のボディーを大量生産だ。

伸ばした板を丸めて固める。

一個作るのに10秒くらいかな。

次々につくる。

200個程度、僕にかかれば1時間程度だ。


ボディーを作ったら、今度は暗視と超望遠を可能にする回路を組み込む。

魔石に魔法回路を埋め込みつつ双眼鏡のボディに設置するのは意外に大変だ。

僕でも3分はかかる。


流れ作業で10個ほど作ったところで、ふと横で見ているジョニーが気になった。

こんなの見ても楽しくないはずだ。

待たせすぎてしまったかな。


「あ、ごめん。集中していてすっかり忘れてたよ。退屈したでしょ、悪いな。剣と弓を見せて。」


ジョニーは正気に返ったような表情になる。

「いやいやいやいや、退屈なんてしなかったよ。長道、すごい鮮やかだな。ほんと職人なんだな。」


「まあ僕は腕がいい方の職人だからね。」


そう言いながら剣と弓を受け取ると、手元にある適当な材料と錬金してパッと直す。

ついでに魔法の効果も付与しとこうかな。


手早く済ませるとジョニーに渡す。

「ほい、ついでに剣には切れ味と耐久力を高める魔法を付与したよ。弓には風と集中力の魔法を付与したから、飛距離も命中力も上がったはず。お代は・・・銀貨5枚ね。」


うけとるなりジョニーは絶叫する。

「うそだろ、数秒で治るとか信じられないよ。しかも今の一瞬で魔法まで付与したのか?おいおいおいおい、しかもそれを銀貨5枚だって?魔法付与はショボい魔法を付与するだけでも、金貨10枚はかかるぞ!」


「そうなの?僕にとってはついで仕事だから、金額はそんなものでいいよ。値段交渉する前に作業しちゃったし。あ、剣の試し切りするなら、その辺の木材切っていいよ。」


受け取った剣を素振りしながらジョニーは、木材を切る。

「うわ!スパって切れたぞ。普通の鉄の剣のキレイ味じゃないだろコレ。長道は凄い職人だったんだな…。」


僕は作りかけていた双眼鏡を一個完成させてジョニーに渡した。

「これに比べたら片手間仕事さ。これ一個で卸値が金貨100枚だから、それは銀貨5枚程度で良いんじゃないかな。ちなみにこの望遠鏡を3日で200個作るのは僕くらいしかいないんだよ。800倍の望遠機能に手ぶれ防止機能付き、さらに暗視能力もあって30分の撮影機能付きだよ。」


それを受け取りジョニーはドアまで行き、感嘆の声を上げた。

「うわうわうわうわう、めっちゃくちゃ遠くまで見えるじゃんか。しかも暗い所も見えるのか!なんだこれ、覗きとかにつかったら凄そうだな。」


さすが男子高校生、最初に覗きに使う事を思いつくか。


「金貨100枚持ってきたら作ってあげるよ。」

「まじか!一生懸命お金貯めなきゃな。」


ジョニーはマジのようだ。


すると、奥から食事のいい匂いがし出した。


「長道様、お夕食の準備ができましたよ…、え、なんでここにジョニー君が?」


奥から顔を出したビレーヌとジョニーの目があった。


「え?なんで委員長がここに?え?え?え?」


ジョニーは混乱した。


うん、説明面倒臭いな。

とりあえずビレーヌを手招きする。


「食事3人分ある?あったらジョニーの分も用意してあげて。一応お客さんだから。」


まずは食事をして落ちつくことにしょう。

うん、面倒は後回しだ。


お読みくださりありがとうございます。

次回は妹もでるにゃろめ。

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