表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/127

079 キラキラ紅竜王

あらすじ

戦争準備で大型ゴーレムを作った長道。


― 079 キラキラ紅竜王 ―


さて、デルリカへのプレゼントも済んだし、僕は次に魔物を産む泉を覗き込んでマリーさんを手招きする。


「ではマリーさん。<時間魔法>でこの谷いっぱいに魔物を作ってください。騎乗用に500匹くらいほしいので。」


「はーい、お昼までには10000匹くらい産み出しますよー。そしてお昼にハンバーグを食べるのです。」


マリーさんが時間魔法を使おうとしたので、僕はわててデルリカに叫ぶ。

「ヤバイ、時間の進行が早まって魔物があっという間にあふれてくるよ。急いでココから逃げなきゃ。地上に脱出だ!」


デルリカが淑女子に命令する。

「淑女子、わたくし達を地上に連れて行ってください。」


ゴーレムとは思えない自然な動作で、淑女子は僕らを抱きしめ地上に飛びあがった。

淑女子、空も飛べます。


抱えられて飛びながら下を見たら、あっという間に地上が魔物であふれていた。

あ、あぶなかったな。


飛び出して来たら、撤退しようとしてたヘルリユに見つかった。


「な、なんだ?!長道!大丈夫なのか!」


僕は地上に降ろしてもらうと、ちょっと心痛めながら嘘を言う。

「大丈夫だよ。ちなみにこのデッカイお嬢さんが淑女王の淑女子さん。よろしくね。」


淑女子は両手の斧を優雅に振り回して、騎士のように礼をする。


腰の引けたヘルリユは、思わず後ずさった。


「ははは、、、、流石魔王だ、、、恐ろしいな。協力に感謝する。で、では私たちは一旦退却するから。はは、はははは。」


愛想笑いをしながらヘルリユは脱兎のごとく逃げて行った。

100人ほどいた兵たちも必死に逃げてる。


うん、怖いよね。

作った僕ですら怖いんだもの、当然だ。


しかし、ゆっくりはしていられない。

デルリカたちをあとに残し、次は北の山脈に向かう。

浮遊バイクで裂け目に沿って疾走。


1人でバイクを走らせていると、やっぱり沢山の視線を感じる。

そっと周りを見渡したら、やっぱり僕の周りをキラキラが沢山ついてきていた。

なんだろう?

僕のフケだろうか?


しかし、前みたいに触ろうとするのは控えることにした。

手を伸ばしたのに、サッと逃げられるのって寂しいんだよね。

はいはい、どうせ僕は寂しがり屋ですよ。


30分ほどで北の山脈に着く。

着くと丁度、何故か里美がノリノリで空中編隊の練習をしていた。

地上から指揮者のように棒をふるって空中のワイバーンの指示を出しているの、楽しそうだな。

満面の笑みだ。


あんなにテンション上がっちゃって、、、里美は可愛いなー。


「おーい里美、ビレーヌはどこに居る?」

「あ、お兄ちゃん。ビレーヌちゃんならそこで仮眠とってるよ。」


みると離れたところで寝ていた。

なんでも徹夜で、兵士を乗せるワイバーンを集めていたようだ。

現在300匹ほど確保してあるという。


無理させてしまったかな。

近づくと、バチっと目を開いていきなり飛び起きてきた。


「長道様!わざわざ足を運んでいただいて申し訳ありません。仮眠をとってしまい、お恥ずかしい限りです。」


「いやいや、無理させてしまってゴメンね。まだ9歳なんだから無理せず睡眠はちゃんととってね。それよりもビレーヌに手駒を持ってきたんだ。ビレーヌが魔王だってバレると問題でしょ。だから魔王の代理ができるゴーレムを作ったんだ。あげるからうまく使って。」


<空間収納>から12mほどの鳥を出した。

今僕が作れるゴーレムは12mくらいが限界だから、作ったゴーレムはこの山脈に居る4頭の火竜種よりも一回り小さい。

そこでインパクトがあるような工夫をしてみた。

全身から炎を拭きだしたクジャクみたいな姿にしたのです。


どうよ、神々しいでしょ。漫画の神様が描いた代表作の鳥をパクったんだけど。

後ろで里美が「フレンツ公国、あなたは死ぬのです。」とか勝手にアテレコしてる。うん、里美にはバレバレだよね。


でもビレーヌはキラキラした目で炎の鳥を見上げている。

「これをわたくしに?素晴らしいですわ。つまりこれはワタクシをイメージして作らたのですよね。何と美しく神々しいのでしょう。本当に素晴らしいですわ。ありがとうございます長道様。このゴーレムを紅竜王として人前に出すことにいたします。」


「気に入ってくれたなら何よりだ。じゃあ起動用に人工精霊を入れるからちょっと待ってね。」


ビレーヌの人工精霊『小紅ちゃん』を呼び出して入れようとしたら…

また耳元で知らない女性精霊の声がする。


『ひゃっはー、これは良いゴーレムじゃないか。私につかわせてよ。炎の剣を操って暴れてあげるからさ。』


こんどはテンション高い人だな。


「いいけど、ビレーヌの代わりに紅竜王の代理をしてもらうよ。忠誠を尽くすと誓てくれる?』


『いいよいいよー。この旋風剣、長道君に忠誠を誓う。ついでに長道君一派に従う事も誓うよ。じゃあこのイカす炎の鳥はいただくよ。ひーはー』


声の方向からキラキラしたものが飛び上がり、ゴーレムに入る。

するとゴーレムの体から炎が剣のように吹き出し舞い始めた。


凄まじい光景だった。

炎を拭きだした巨大なクジャクが、数十本の炎の剣を体の周りに浮遊させて翼を広げているのだ。

炎の剣は舞うように付近の岩を斬り裂き、消えていった。


うわー、すげー。


ビレーヌは大興奮。

「素晴らしい!素晴らしいですわ!まさに炎の魔王に相応しいです。さすがは長道様、感謝いたしますわ。」


作った僕が思っていた以上の力を発揮している気がする。

でもビレーヌが気にいったなら良いか。


「このゴーレムの名前は旋風剣っていうんだ。仲良くやってね。」


「はい長道様!」


よし、これでいろいろ安心だ。


そのあと、300匹のワイバーンに搭乗用の鞍をつけて、騎乗訓練の場所に向かった。

準備は完了かな。


しかし、キラキラしたものや、勝手に現れた精霊たちは何なんだろうか?

もしかして、僕も康子やヘブニア様みたいに精霊にモテる体質なんだろうか。

モテ期か?だったら精霊ではなく人間にモテたいな。


ワイバーンの大軍を引き連れて浮遊バイクで街の前に向かう。

里美やビレーヌも一緒についてきた。


なんか2人は炎の鳥・旋風剣に乗ってるけど、熱くないのだろうか?

もしかして、あの炎は熱くないとか?

あとで乗せてもらおうかな・・・


いやいや騙されるな僕。

そういえばあの二人はレベル300超えの魔王と勇者だった。

スキルに<温度変化耐性>みたいのを持っているはず。

だから炎の上でも大丈夫なだけだろう。


よく見たら、里美のアクセサリーが燃えている。

やっぱあの背中、普通に熱いんだよ。


危なかった、くだらない理由で焼死するところだった。


これで淑女王と紅竜王の身代わりが出来たので、デルリカもビレーヌも普通に人として暮らせるだろう。


じつは、コレずっと悩んでいたんだよね。

魔王が生まれたことは、予言とかお告げでバレるらしく、いま何体魔王がいるかは把握されているらしい。

だから、いつ魔王だってバレて人の街を去らなければいけないか不安だった。

今回、たまたま思いついただけの身代わり作戦だけど、これは意外にいい作戦かもしれないと今思っている。


ゴーレムだから、万が一討伐されても新しい体を与え直せば「わははは、我は何度でも甦る!」とか言わせて誤魔化せるし。


だったら、早めに僕の身代わりの巨大ゴーレムも作らないとな…

そんな妄想をしていたら、ついつい夢が膨らみんぐ。


楽しみが増えた。

お読みいただきありがとうござます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングアップのために、↓↓クリックしてくれると嬉しいです
小説家になろう 勝手にランキング

新作
「異世界に行きたい俺たちの戦い ~女神さまは無責任~」
もよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ