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077 戦争準備

あらすじ

魔王の配置が終わり、グロガゾウの街は万全。


― 077 戦争準備 ―


街の外で活動している間も、僕は分身を何人か街で動かしていた。

装備の開発、新兵器の量産、グロガゾウ軍の兵装の整備など。

だから、武器的な意味でも準備万端。


それは今も続行中。


で、外から街に戻ってきた僕とヒーリアさんはギルドに足を運んだ。

西部劇みたいな入り口を開けて中に入ると、とても活気がある。

戦争が近いので、冒険者にもイロイロ募集がかかっているのだろう。


受付に人がたくさん並んでいるけど、並んでいる人を無視して受付の人に声をかけた。

「横から失礼します。急ぎでギルド長のユカエルさんに取り次いでください。長道が急ぎだと伝えてもらえればわかるはずです。」


受付の女性は少しイラっとした表情になる。

「今、べつの受付をしているのが見えないんですか?並んでください。」


するとヒーリアさんが僕の肩を抱く。

「この受付さんは状況を理解していないみたいだねえ。長道坊っちゃん、気にする必要ないから勝手にギルド長室にいかせてもらおう。」


それもそうか。

僕は頷いて勝手に中に入ろうとしたら、並んでた冒険者っぽい男性が、いきなり僕の頭をわしづかみにしてきた。

その男性は世紀末で「水だ水だ!」とか叫んでいそうな風体の大男。


「おい坊主、舐めたこと言ってるんじゃねえぞ!」


うわー、これ絶対悪人でしょ。顔が怖いもん。

お金渡して見逃してもらおうかな。

怖い顔にビビっていたら、無言でヒーリアさんが冒険者を殴り飛ばした。


「げふううううう」


大男は一撃で吹っ飛び、勢い良く床に転がる。

騒がしかったギルド内が、あっという間に静かになった。


「ヒーリアさん…いきなり何するんですか…。」


恐る恐るヒーリアさんを見たら、微笑みながらハンカチを出して僕の頭を拭きだした。

「小汚い男の手で、長道坊っちゃんの頭が汚れてしまったね。」


いやいやいや、何言い出すのこの人。

いつのまにそんな過保護になったの?


列に並んでいた冒険者が、殺気立った目で僕らを囲みだす。

「おい、どこの冒険者だ。」「ギルドのルールを分かってないようだな。」「なめた馬鹿は体に教えてやるぜ。」


うわー、うわー、うわー。

よし、ここは一旦<時間魔法>で逃げよう。

そう思って魔法を使おうとしたら、奥から受付の女性と一緒にユカエルさんが走ってきた。

トラブルになると思って急いでギルド長を呼びに行てくれたみたい。助かった。


「何の騒ぎだい!今は忙しんだ、私に手間かけさせるんじゃないよ!」


叫ぶなりユカエルさんと目があった。

「あ、すいません。僕の騒ぎです。」


すると般若のように怒った顔だったユカエルさんが、一瞬で孫と遊ぶお婆ちゃんみたいな表情にゆるむ。


「長道坊っちゃーん。来てたならすぐに声をかけておくれよー。言ってくれれば最優先で何時間でも時間を作ったのに。どうしたんだい、このバカたちが何か長道ぼちゃんに無礼でも働いたのかい?」


ヒーリアさんは僕の頭をハンカチで拭きながら不機嫌に倒れた男を見た。

「あいつが長道坊っちゃんの頭をわしづかみにして、喧嘩売ってきたんですよ。殺してやろうかと思いましたが、殺すと長道坊っちゃんが悲しむんで殴り倒しただけで許してやったけどさ。」


すると出てきたユカエルさんは、倒れた大男を蹴り飛ばして僕の頭を抱きしめる。

「長道坊っちゃん、すまなかったねえ。ここの連中は乱暴な奴が多くて困るよ。それで私に用なんだろ、次は何をすればいいんだい?」


周りの冒険者は、何とも言えない目でじーっとこっちを見てる。

居づらい。


さっさと用件を終わらせて立ち去ろう。

抱きしめているユカエルさんを無理やり押しのける。


「魔王の説得は終わったので、この街は要塞並みの防御を手に入れました。ですので次は僕らの戦いの準備をしようと思います。走る魔物やワイバーンに乗って戦う自信のある人を募集してください。募集で集まった人数分だけ必要な魔物をそろえますので。」


「そりゃまた豪快な作戦だね。。。わかった、それで募集を掛けよう。相変わらず長道坊っちゃんはぶっ飛んでるねえ。で、どうやって魔物を調達するんだい?」


「この街の東西南北に魔王を配置しましたので、その魔王から借り受けます。ですので、人数制限はかけません。集まるだけ集めてください。魔物と上手くコンビが組めるか試しつつ、雇うかどうかは現地出決めますので。とはいえ数百人くらいは雇うつもりです。」


僕の言葉にギルド内がざわめいた。

当然、ギルド長のユカエルさんも目を丸くする。

「ちょっとまってもらえるかい。東の森の魔王を西に配置するだけじゃなかったのかい?」


「予定が変わりました。東の森は蜘貴王のまま。北の山脈に紅竜王、南の森に食楽王、西の亀裂には淑女王が陣取っています。」


混乱したユカエルさんが明らかに取り乱しながら僕の肩を掴む。

「ちょーとまって。さすが坊っちゃんだと思うくらい、めちゃくちゃなこと言ってるよね。南に森は無いし、西に亀裂ってどういうことだい?」


「魔王の力を借りて、深さ100mの亀裂を20kmほど作ったんだよ。そこは淑女王が縄張りにしました。同じように魔王の力で南に魔物の森を作ったら食楽王が住み着いたんです。まあ、それだけの話です。いやー、三日で谷と森を作るの大変だったなあ。ちなみに北の山脈は紅竜王が縄張りにしたから、ワイバーンはそこから借りてくるんですよ。」


僕の言葉を聞いてざわつくギルドの中で、ユカエルさんはしばらく腕を組んで「うーん」と考える。


「よし、長道坊っちゃんが出鱈目なのは今に始まったことじゃないから悩むだけ無駄だね。魔物に乗りたい冒険者を募集するよ。支払いと募集金額はどうするんだい?」


「冒険者へ支払う金額は、騎馬できる兵士を雇うのと同じくらいで良いと思う。報酬の支払元はデスケント皇子へ回してください。問題があったら僕が責任を持ちます。」


「あいよ。ほかには何かあるかい?」


「今はそれだけかな。募集で集まった人員は、明日の13時ころに街の西側の出口で集合させて欲しいです。そこで一度騎乗訓練をしたいので。明後日には敵が来ますからね。僕は今から鞍とかつくります。」


「わかったよ、人員の募集は任せておくれ坊っちゃん。」


愛想よく微笑みながらユカエルさんが僕を見送てくれた。

ギルドに居た人たちが、小声で僕らが何者か噂しあっているのが聞こえる。


目立ちすぎたな。


急いで教会に帰ると、住居部分に行き作業を始めた。

デルリカやビレーヌと携帯念話機で連絡を取りながら、騎乗用に貸し出せる魔物の種類や数を確認する。


さて、明日のお昼まで、もうひと頑張りしなくちゃな。

…と、そのまえに。


あ、それと僕はもう一つやることがあった。


今まで、密かにコツコツ作っていた大型ゴーレムの作成だ。

N魔法の設計図集に巨大ゴーレムの設計図があったから、暇な時にコツコツ作っていたけど、使うならここでしょと思うんだ。

素材は、前に手に入れた女子高生ゴーレムの残骸が沢山あったので再利用したのさ。

あの素材たち、めっちゃ高級素材ばっかりだったから助かったよ。

すでに6割がた完成していたから、本当は最後まで自分で作りたかったけど…

時間がないから、意地を張らずに人工精霊の高麗やデーク南郷に手伝ってもらて一気に完成させてしまおうと思う。


これが無いと、後々大変なことになるから。


いろんな意味で秘密兵器だ。

お読みくださりありがとうございます。

ここまで30万字ほどかいたのですが、今まではスタート地点に立つための準備でした。

ここから本番。スタート地点まで長かった(汗。

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