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006 妹に頼って狩り

登場人物

長道:主人公。11歳。元日本人だが記憶を奪われている。チート能力を持つ。

デルリカ:9歳。ブロンドの美少女。しかし妄想癖があり、ヤンデレで、好戦的。

康子:8歳。170cmはある体に隆々の筋肉。しかし中身はイケメンであり乙女。

里美:7歳。日本の記憶を持って居る。チート能力を隠している。

ヒーリア:ダークエルフの美人さん。道中で知り合って村に来た。

― 006 妹に頼って狩り ―


で、午後からヒーリアさんと一緒に狩りに行くことになった。

妹達は3人ともついてきている。


手に持っている武器は、

僕は弓。

康子は槍。

デルリカはスコップ。

里美は扇子。


あれでしょ、康子以外は本当は狩りをする気が無いでしょ。

スコップとか扇子とか持ってくるとか、絶対狩りをする気ないよね。

まあ良いけど。


森に入りしばらく歩くと、ヒーリアさんが立ち止まる。

そして指さした。


木々の葉しか見えなかったけど<探査>で探したら、たしかに20メートルくらい先に大きめの鳥がいる。

良く見えるな。


僕は弓を引いて狙いをつけて射る。

パスン


矢は外れた。

鳥は当然飛び立つ。

あちゃあ、失敗しちゃったか。


すると僕の背後から飛び出した衝撃波が鳥にぶつかるのがみえた。


キュアアアアア

バランスを失った鳥は、パニック気味に羽をばたつかせつつ墜落した。


今の一撃はだれが?!

後ろを振り返る。みると、里美が扇子を振りぬいたポーズだ。

「お兄ちゃん、はやく止めを刺してきて!」


そうだった。

<時間停止>

3秒しか止まらないが、急いでいるからこの3秒は大きい。

弓に矢をつがえて走り、時間が動き出したところで地面でパニックを起こしている鳥に矢を放つ。

こんどは鳥に当たった。


だがまだ死なない。

矢が刺さったまま逃げようとしている。

そこに康子が走りこんで、鳥の首を槍で突き殺す。


そして鳥は息絶える。


ふう、狩り完了。


ヒーリアさんはそんな兄妹の連携をポカーンと見ていた。

すいません、つぎはスマートに頑張ります。

僕は鳥を<空間収納>にしまうと、矢を回収する。


「ヒーリアさん、なんかドタバタしててすいません。」

「え?いや充分だ。獲物をしとめる事が大事だからね。じゃあ次探そうか。しかしみんな強いな。本当に子供なの?」


そして次の獲物を探して歩き出す。

歩ていると、ヒーリアさんがまた止まった。

だが今度は顔が険しい。


「長道坊っちゃんは妹さん達を連れて逃げて。どうやら強めの魔物がいるようだ。」


<探査>でみると、40メートルほど先に敵性表示がある。<鑑定>でしらべると『ファングーウルフ』と出た。サーベルタイガーみたいな狼だ。


だがデルリカは目を輝かせる。

「それを倒せばお兄ちゃんもレベルアップできますわ。戦いましょう。」


康子が僕の横に着く。

「お兄様、行くのでしたら護衛いたします。敵の動きを止める仕事は任せてください。お兄様には決して怪我をさせません。ですので落ち着いて矢を射ってください。」


きゃ、康子ったら男前。


妹達のやる気にヒーリアさんは焦る。

「バカな事言わないんで逃げなさい。足止めは私がするから。」


逃げようかな?

戦おうかな?


迷っていたらデルリカが走り出してしまった。

「デルリカ!危ないから先行しちゃダメだ!」


もう、迷ってる暇はない。

頭がおかしくても可愛い妹だ。加勢しなくちゃ。

僕も走り出す。


ファングウルフがデルリカを見つけた。

飛びかかるのが見える。

くそ、時間を止めて矢を放とうとした。


そのとき


グワン!


素早い踏み込みをしたデルリカのスコップが、ファングウルフの頭を横殴りにとらえた。

その一撃でファングウルフはよろめく。

そこに里美が扇子でまた衝撃波を打った。

ファングウルフを倒すほどの威力は無かったが、目にダメージが入ったようで動きが挙動不審になる。

目が見えなくてパニック状態のファングウルフのわき腹を康子が槍で刺す。


動きが止まったので、僕は時間魔法を発動。

止まっているファングウルフの開いた口に向かって矢を放った。



ビシュ!


ファングウルフは喉に矢が刺さり、倒れてのたうち回る。

康子が槍でわき腹を刺したまま動きを止めてくれたので、デルリカがスコップを振り下ろし、ファングウルフの首を引きちぎって止めを刺した。


ひいいい、スコップ怖い!


すると、脳内に女性の声が響く。


『ぴろりろりーん、長道のレベルが上がった。

レベルが4になった。

長道は武技<弓:1><槍:0>を習得。

長道は魔法<衝撃波:0>を習得した。

ポイントを2手に入れた。』



おお、レベルが上がった!


ステータスを見てみよう。


―――

長道 11歳 未使用ポイント6

レベル4

職業:村人

称号:なし


スキル:<探査><鑑定><空間収納><楽器演奏:3>

魔法:<一意多重存在:0><純化魔法:0><時間魔法:1><原始魔法:0><日本ライブラリー:0><衝撃波:0>

武技:<弓:1><槍:0>

備考:人工精霊1体所有。

―――


これ以外にも、体力や素早さみたいな表示もあるけど、面倒だから気にしない。

未使用ポイントは、スキルや魔法に振り分ければいのかな?

これはあとでマリアお母様と相談して割り振りは決めようと。


今はファングウルフを回収しなくちゃ。

<空間収納>にファングウルフを収納。


ヒーリアさんに向く。

「次行きましょう。なんか妹達が居れば大丈夫っぽいので。」


彼女はなんか複雑な表情していた。

「なんか凄いね。それも魔法の力なの?」

「僕と里美は魔法を使っています。デルリカと康子は物理だけっぽいです。」


さらに歩いていると、熊型の魔物ベアウルフがいた。

これも妹達が動きを止めて、僕は止まった魔物に矢を射るだけ。そしてデルリカがトドメ。

これも<空間収納>に回収。

レベルが5に上がった。


さらに歩くと、なんかブーンといい音が聞こえてきた。

そっと<探査>と<鑑定>を使ってみる。

20メートルくらい先に、<探査>画面に敵性表示が面にみえるほど大量に映っている。

表示は「キラービー×871」


うわー、これなんだ。

左手のヘルプでキラービーとは何かを検索してみる。

すると写真が出てきた。


―――

平均して60cmくらいの蜂型魔物。

動きは素早く、30匹以上現れたらAクラスでも逃げること。

毒の針を持ち、顎は強力で鉄の刀もかみ砕く。

―――


ヒーリアさんも気付いたようだ。

「こんどは逃げるからね。突っ込んだら助けられないから。音を出さないように下がりましょう。」


僕も今度は逃げる気満々です。

さがろうとしたら、


ムニュ


僕が踏んづけて場所がなんか柔らかかった。

おや?

みると蛇魔物!<鑑定>がポイズンボアと表示してくれる。


キシャアアアア


ポイズンボアが叫ぶ。

するとその声でキラービがこちらに気づいた。


「うわあああ、ごめんなさい!ダブルピンチ!」


僕、大失敗。


前方にキラービー。

後方にポイズンボア。


ズシャ!


僕にかみつこうとしていたポイズンボアは、康子の槍で地面に縫い付けられる。

そこにデルリカが飛び込んだ。


グズリ


スコップが無理やりポイズンボアの首を引き裂く。

デルリカ凄ええええ。


すぐに里美が叫ぶ。

「我が人工精霊スマ子!一方通行の防御結界を張って!」

『おまかせしてして。ウチがんばっちゃうから。』


ぱっと周りに半円形の透明なドームが張られる。


里美も人工精霊を持っていたんだ…

知らなかったことにちょっとショック。


そんな呑気な考えはすぐに消える。

その周りをキラービーがあっという間に周りを囲み、バリアをお尻の針で突いてきている。

ドーム型のバリアは完全にキラービーの侵入を防いでくれているけど、周りが隙間なくキラービーで埋め尽くされた。


ちょっと気絶したいかも。

里美ちゃんが人工精霊とまだ会話をしていた。

「スマ子、このバリアはどのくらいもちそう?」

『今のままなら何日でもOKっしょ。』


会話の内容から判断すると、とりあえず落ち着いていいようだ。

里美はバリアに近づくと、扇子で適当なキラービーを叩く。

その一撃は、キラービーの頭をもいだ。


こちらを振り返る。

「みんな、こっちからの攻撃は通るから倒しちゃおう。でも結界から出ないように気を付けてね。」


僕は試しに弓を射る。

まだ弓はあんまり上手ではないけど、さすがに隙間も無いほどビッシリいる蜂に、10cmほどの距離から撃てば全矢当たる。


次々に射殺す。

でも矢はすぐになくなった。

まいったな。


ヒーリアさんは腰のレイピアを抜き攻撃中。

安定の康子は次々に槍でさし殺している。

デルリカは、スコップを斧のように使ってキラービーを引き裂く。

里美は扇子の衝撃波でキラービーの頭を次々と落としていた。


あ、僕も頑張らないと。

うーん、でも矢が無い。

こんどから近接武器も<空間収納>に入れておかなくちゃ。

いや、何万本も矢を入れて置く方が良いかな。


だけど今は「ガンバレ」って応援することに集中するか。


「ガンバレ、ガンバレ」


僕の応援にヒーリアさんが振り返って叫んだ。

「長道坊っちゃん。弓でキラービーの羽を一匹でも多く殴って。羽なら弓で叩いても少しダメージを与えられるから。」


意味が分からなかったが言われたままにした。

端から順にキラービーの羽を弓で叩いていく。


叩いていくうちに分かったけど、羽を傷つける事でキラービーの動きが悪くなる。

なるほど、動きが悪くなればこちらの攻撃も当てやすくなるのか。羽狙いで次々に一撃入れて行った。

こういう判断は経験の差だな。

矢のない弓でもやれることはあるのか。


2時間ほどの激闘の末、どうにか全滅出来た。

ふー地獄だった。


するとまたレベルが上がる。


ぴろりろりーん

長道のレベルが上がった。

長道のレベルが19になった。

武技:<N武道:4>を得た。

スキル:<鑑定探査><楽器演奏:5>を得た。

魔法:<純化魔法:1><時間魔法:2><衝撃波:2>を得た。

人工精霊が一人増えた。

ポイントが2増えた。



なんか、一気にパワーアップしたっぽい。

しかもなんで<楽器演奏>が上がるんだ?謎でしょ。

しかし今は疲れ果てた。


康子は毅然とした態度で立っているが、他のみんなは座り込んでいる。

ここは一番楽をした僕が頑張るか。

回収作業っと。

ポイズンボアとキラービーの死骸を全て<空間収納>に放り込む。


そして休憩のために腰を下ろすと、ヒーリアさんが僕の横に来た。

「その<空間収納>は高性能だね。まさか倒した魔物が全部入るとは思わなかったよ。」

「普通はどのくらい入るんです?」

「そうだね、平均的なのは馬車1台分くらいじゃないかな。そのあたりは人によって違うらしいけど。」

「へー、じゃあ僕は運がいいんですね。」


もう暗くなりかけているから、休憩なしで僕らは帰路に着いた。

休憩して夜になったら、生きて帰れないかもしれないから、まあしょうがない。


ヒーリアさん曰く、ここの森は魔物との遭遇率が高くて危険だそうだ。

午後から森に入ってこの収穫は、普通の森と比べたら異常らしいし。


しかし今日は疲れたかな。早くゆっくり休みたいよ。

およみくださり、ありがとうございます。

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