005 チート会議2
登場人物
長道:主人公。11歳。元日本人だが記憶を奪われている。チート能力を持つ。
デルリカ:9歳。ブロンドの美少女。しかし妄想癖があり、ヤンデレで、好戦的。
康子:8歳。170cmはある体に隆々の筋肉。しかし中身はイケメンであり乙女。
里美:7歳。日本の記憶を持てっ居る。チート能力を隠している。
マリア:28歳。長道と里美を買ってくれた女性。ままん。
ヒーリア:ダークエルフの美人さん。道中で知り合って村に来た。
― 005 チート会議2 ―
さらに僕のステータスを書いた紙を見てデルリカが指さす。
「この人工精霊を一体所有とはどういう意味でしょうか?」
僕も首をひねる。
「うん、僕も少し気になっていたんだよね。何だろうね。」
すると里美が驚く。
「え、まだ試してなかったのお兄ちゃん?」
その言葉にデルリカと康子が顔を里美に向いた。
代表して僕が聞くか。
「知っているのか、雷電?」
「雷電って…ネタ古いな。知ってるも何も呼べば出てくるよ。呼んでみた?」
「マジか。えっと、僕の人工精霊さん出てきてください。」
すると僕の横に、半透明の長い黒髪のメイドがらわれた。
顔はキッツイ性格を連想させるが、美人さんだ。
『およびですか長道様。』
おお、話もできるんだ。
「イロイロ知りたいんだけど、僕が知っていた方がよさそうなことを教えてくれる?」
『かしこまりました。私の名は高麗と申します。高麗笛という楽器の精霊です。戦闘は得意ではございませんが、万能型ですのでメイド仕事はもちろん、魔法の代理行使や錬金錬成術関連も行えます。普通に命じていただければいつでもお力になりますゆえ、お気軽にご命令ください。』
すげえ。
康子は高麗を見つめながら疑問を口にする。
「なんか聞いていると、お兄様はチートをたくさん持っていますよね。普通は授かるチートって一つだと思いますが。」
言われてみると多い。
・究極魔法。
・日本ライブラリー
・人工精霊
そこにさらりと高麗が会話に入ってきた。
『あと、左手のヘルプにてN魔法講座が読めるようになっております。レベルを上げると読める内容も増えていくそうですよ。読める部分は早めに習得することをお勧めいたします。レベル100で全て読める状態になるそうです。』
N魔法?なんだそりゃ?
デルリカが目を輝かせる。
「N魔法!それは凄いですわ。N魔法というのは50年前に一世を風靡した賢者大魔導士が作ったと言われる幻の魔法体系ですのよ。N魔法を習得すると、好みのオリジナル魔法を作れるようになるといわれておりますわ。その知識は魔導士ならば全財産をなげうってでも欲しがるようなチートな知識ですわ。お兄ちゃん凄いです。」
デルリカのテンションが高い。
そんな凄いのか。
「普通の魔法はそうはいかないの?」
「はい、普通の魔法とちがい、とにかく効率が良い魔法体系だと聞いております。普通の魔法ですと新しい術式を1つ開発するのに魔導士が一生を費やすほどです。ですが、N魔法なら1時間もあれば作れるとか。ですから全魔導士が憧れる魔法体系ですの。」
「てことは、僕のチートは4つなのかな? なんか凄いな。」
実感わかないけど、スゴい事になっているらしい。
そこで役目を終えたという表情で、高麗が一礼してすっと消える。
おお、消えるメイド、なんかカッコイイ。
デルリカはまだテンションが高い。
「そうだお兄ちゃん!ついでですので1ポイントついてる<時間魔法>を見せてください。時間魔法は神の領域と言われる不可能にちかい魔法です。ぜひ見せてくださいませ。」
里美も食いつく。
「私も見たい。なんかやってよー。」
何も言わないが康子も見たいと目が言っている。
可愛い妹達の希望じゃしょうがないなー。
ちょっとだけだよ。
「じゃあこのティーカップをみててね。」
テーブルに置いたティーカップを指さす。
『時間魔法発動!』
すーと横に50cmほどずらした。
3秒くらいしか止められないので、これが限界。
時間が動き出すと、妹達はどよめいた。
「うわあああ、ティーカップが消えましたわ!」
「お兄ちゃん、凄いよこれ。軽々瞬間移動したよ。」
「お兄様、これを戦いで使えば無敵ですね。」
地味な行動だったのに、こんなに反響があってちょっと驚いた。
窓から落ちる時には役立に立たなかった魔法なのに。
しばらく僕のチートの事でワイワイもりあがる。
話をしながらお茶お飲んでいると、ヒーリアさんが来た。
ダークエルフのカッコいい系美人さんだ。
「マリアさん、大物を狩ったんで持ってきました。イノシシですので厨房に置いてきましたよ。」
「まあ早速ありがとうございます。代金はメイドのエプロン子から受け取ってください。」
「あ、それは先ほど厨房でいただきました。ところで相談があるのですが…」
するとマリアお母様が最後まで聞かずに頷く。
「魔法の勉強の事ですよね。でしたら長道から学んではどうでしょうか。うちの娘たちは全員長道から魔法を学ぶ予定ですので。一緒に机を並べるのでしたら構いませんよ。」
お?僕がみんなに教える?僕の事なのに僕が初耳なんですが…
ヒーリアさんは僕を不思議そうに見る。
「坊っちゃん、魔法出来るの?」
「少しだけ。」
そういうと、時間魔法で時間を止めて2メートルほど移動した。
時間が動いた瞬間ヒーリアさんが息をのむ。
「ひっ、転移魔法!嘘でしょ、こんな子供が!」
時間魔法だけど、転移魔法に見えるよね。
そういえば、究極魔法については適当に誤魔化せって言われてたから、訂正しないでおこう。
「1~2メートルだけしか移動できないんだけどね。」
「それでも凄いな。規格外だ。」
何故かデルリカと里美が、胸を張ってドヤ顔をしている。
まあいいか。
僕はそこでヒーリアさんにお願いをすることにした。
「魔法を教える代わりと言っては何なんだけど、狩りを教えてもらえますか?僕は体が弱いんで狩りも鍛えたいので。そしたらN魔法を少し教えても良いですよ。」
すると今度は飛び込むように僕の肩を掴んできた。
目が怖い。
「N魔法だって!あの伝説の賢者大魔導士が作った幻の魔法と呼ばれるN魔法?嘘でしょ…、いやこの幼さで転移魔法をつかうなら納得するところか。神殿のジージョ準大司教もN魔法で10歳の時には転移魔法を使っていたらしいし。お願い、私にもそれを教えておくれ。」
デルリカがウェーブのかかった長いブロンドをたなびかせて、素早く割ってくる。
「ですから!お兄ちゃんに狩りを教えて満足させられたらですわ。あなたにお兄ちゃんを満足させらるかしら。おほほほほ。」
満足って、なんだそりゃ。
いや狩りを教えてくれたら魔法教えるよ。
左手に見える魔法講座を棒読みするだけだろうけど。
でもヒーリアさんは覚悟を決めた表情になる。
「わかった。私も全力を尽くそう。」
全力とか言ってスパルタになったらいやだな。
すると康子が立ち上がる。
「でしたら、さっそく午後から行きましょう。私も狩りをしたかったのでお供させてください。」
なるほど。康子が一緒なら安心だ。
もう、僕は康子に全幅の信頼を置いてるから。




