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049 暴れん坊皇帝

あらすじ

魔王を倒し、魔王の森を浄化したので王城に呼ばれた。

― 049 暴れん坊皇帝 ―


次の日、宿屋を出て王城に向かう。

表向きは、ダグラス団とヒーリアさんとユカエルさんだけが魔王討伐の功労者だ。

でも、何故か王都からは、僕ら家族も呼ばれてしまった。


面倒にならなければいいけど。


王城に着くと、奇妙な部屋に通された。

誰もいない広い部屋。家具も最低限しかないし、装飾品もない。


なんだろう。嫌な予感しかしない。


しばらく待つと、黒い鎧の一団が現れた。

全部で50人。


ヒーリアさんとダグラス団は腰を浮かせて警戒態勢。

まいったな。

何が起きているか分からないけど、皇帝陛下は僕らを攻撃する気らしい。

僕も一応仲間に指示をだすか。


「全員、相手を殺さないように注意してね。遺恨は少ない方が良い。とはいえ、手加減しすぎてこっちが怪我したらつまらないよね。相手が生きてさえいれば構わないから、それだけお願い。」


すると、他の騎士とは違う形の黒い鎧を着た騎士が剣を抜いて叫ぶ。

「バカにしてくれるな。そんな余裕など貴様らにはないのだと教えてやる。総員、かかれ!」


一斉に黒い鎧の騎士団が襲い掛かってきた。


僕はマリアお母様とビレーヌを守るように立つ。

ヒーリアさんとユカエルさんが僕を守るように立った。

ダグラス団は、さらにその前に壁になる。


後ろからビレーヌが炎魔法を連射した。

「デスシールは皆殺しですわ。」

「ビレーヌ、殺しちゃだめだから。」


黒い鎧は対魔法効果でもあるのか、ビレーヌの炎魔法をはじき返す。

ならば。

「ビレーヌ、自在杖を使え。魔力砲で炎魔法を撃ちこむんだ。首より上を狙ってね。」

「はい、長道様。」


ビレーヌは自在杖を出して、魔力砲オプションをつけて炎魔法を撃ちだした。

ボシュ!ボシュ!ボシュ!


勢いよく打ち出される炎魔法は、鎧の効果で消し去られる。が、衝撃は残るようで、強力なパンチを撃ちこんだかのように、騎士の頭を打ち抜いた。


食らった騎士は、KOされて次々に崩れ落ちる。


ダグラス団も、確実に敵の騎士を倒しているようで、手足を失った騎士が床に転がっている。

さすがダグラス団、強いな。


しかし思ったよりもこちらに対して押し込みが弱い。

どうしたんだろう。


周りを見渡す。

そしたら理解した。


やっぱり妹達ですよねー。


里美は、群がってくる騎士たちの攻撃を、扇子で踊るようにさばいて反撃している。

なんだろう、戦ってるんだろうけど遠目で見ると、扇子で踊るアイドルに群がるオタクファンにみえる。

それくらい里美の動きは優雅で、表情にも余裕があるのだ。


康子にいたっては、無双という言葉しか思い浮かばない戦い方だった。

自在杖を2メートルはある巨大な剣に変えて振り回し、黒い騎士達をまとめて撃ち飛ばしている。

強すぎて、黒い騎士たちが哀れになるレベル。


一番怖いのはデルリカだな。

凄い速度で空を蹴って、愛用のスコップで飛びかかっている。

空を蹴るので空中で軌道が変わる。

まるでジグザグに走り抜ける閃光のようだ。


デルリカが通り過ぎると、お腹を裂かれた騎士が倒れたり、騎士の手足が宙を舞ったりで凄まじい。

そっりゃコッチに向かってくる敵が少ないのは当然だな。


全部倒すと、鎧の騎士たちは磁石で引っ張られるように扉の向こうに消えていった。

強制救出の魔法が鎧に掛かっているのかな?

あの機能便利だな。今度僕の装備にもつけよっと。


そんな事を考えていたら、部屋の壁が赤く光った。

壁自体が魔法陣化しているのか?壁には規則的な細かい線が見える。


そこにまた50人ほどの騎士が入ってきた。


壁が赤くなるという事は特別な意味があるのは間違いない。

そしてこの空気の感触には覚えがある。

魔力封じだ。忌々しい記憶がよみがえるけど、今はそれを押しのけて冷静にならなくちゃ。


念のため僕は叫ぶ。

「全員、魔法封じ対策の戦闘に切り替えて!ビレーヌは使用可能魔法の模索を!」


僕の仲間は本当に優秀だと思う。

即座に戦闘方法を変更してきた。


その間に僕も魔法の使用を試す。

攻撃魔法、使えなかった。

回復魔法、使えなかった。

時間魔法、使えない。

純化魔法、なぜか使えた。

肉体強化魔法、使える。

空間収納、使える。

自在杖、使える。


地面に自在杖をつけて魔力砲を撃ってみた。

ボゴン

地面が砕けた。


よし、大体分かった。

「魔法は体外に放出するタイプだけ使えない。自在杖や空間収納は使える。魔法も0距離なら使えるようだ。それで戦い方を考えてみて。」


ヒーリアさんとユカエルさんは、空間収納からショットガンを取り出すと、騎士たちの足にバンバン撃ち込む。

可哀想なくらい騎士たちはあっけなく倒れて行った。


ダグラス団も危なげなく敵を倒す。

ダグラス団は全員手練れだから、初めから心配はいらないようだ。


里美も扇子でゼロ距離からの衝撃波で敵を倒し、

康子は安定の体術で無双、

デルリカは、自在杖の伸縮を利用して、素早く空中戦をしてる。


特質すべきはタケシ君。すっかり存在を忘れてた。

影が薄いので騎士を後ろからゴンゴン殴り倒してる。地味に強い。


もうなんだよみんな。

君たち、強すぎでしょ。


そのまま、また全滅させた。

ふう、殺さずに全滅って難しいはずなのに、このメンバーなら余裕だな。


また倒れた騎士たちが出口に引き寄せられるように消える。


次は何がくる。


すると、一人だけ鎧の形が違う黒鎧の騎士が手叩きながら部屋に入ってきた。


パチパチパチパチ


「いやあ、お見事だ。まさかここまでと」


ドバン!


僕は相手の胸元にショットガンをぶちかます。

喋っている最中に打ち込まれて、その男は後ろに吹っ飛んだ。

鎧は思ったよりも頑丈らしく、ショットガンで穴は開いてないないようだ。


吹っ飛ばされた男は怒った声を出す。

「貴様!余が話している途中であ」


ドバン!

弾丸をチャージして、今度は膝を打ち抜いてやった。


「うぎゃああ、まて!話を聞け!」


ドバン!


必死に手をだしてきたので手も撃つ。


「うわあ、余の手が!話を聞かぬかバカ者が」


ゴツ!


僕は無言でショットガンの銃口を兜の顔の前に突き付けた。


鎧の男の声がひきつる。

「う、撃たないよな。」


ドバン!


引き金を引いちゃった。てへ。


男は顔をおさえて転げまわる。


「うぎゃあああああ」


僕は転げる男を踏みつけて、ショットガンで装甲が砕け飛んだヘルメットをはぎ取り、銃口を男の口の中に突っ込んだ。


男は流石に黙る。

まったく、こいつは手間取らせてくれる。


「人の事を襲っておいて、上から目線で出てきて何余裕ぶっこいてるの?殺しに来た奴の話をなんで僕らが聞かないといけないの?もしもこれに意味がなくて遊びだったら怒るよ。で、なんで襲ってきたの?」


「それは、魔王を倒した者たちの力を」

ガウン!


男が話し終わる前に、デルリカがスコップでゴルフスイングのように男の頭を殴ってしまった。

当然男は気を失う。


「お兄ちゃん、ワタクシにねぎらいの言葉も掛けずに、敵のおじさんとばかりお話するのは、どうかと思いますわ。」


えーーー、今のやり取りに嫉妬するの?

さすがデルリカ、可愛いけど少し考えようね。

まあヤンデレでも可愛いけど。


しかし、ご機嫌斜めなら慰めるか。

僕はデルリカの頭を撫でた。


「ごめんねデルリカ。デルリカはよく頑張ったね。偉いぞデルリカ。」

「うふふ、お兄ちゃんに褒められちゃいましたわ。」


上機嫌になったデルリカの手を取ってマリアお母様を見ると。

呆れた顔でお母様は僕らを手招きした。


「もう魔王の褒章は諦めて帰りましょう。恩をあだで返された気持ちです。一刻も早く立ち去りましょう。」


僕も同意見なので黙ってうなずいて出口に向かった。

鍵がかかっていたけど、デルリカスコップの一撃でドアは粉々。


優々と部屋を出ようとしたところで、金髪のイケメンが走りこんできた。

そして倒れている黒い男を抱き上げて絶叫する。


「陛下!なんという事だ。お前たち、皇帝陛下に対してこのような仕打ちをして、許されると思うなよ!」


思わず素で聞いてしまった。

「どれが陛下?」

「私が抱き起しているお方が皇帝陛下だ。」


拍手しながら余裕ぶって入ってきたせいで、僕にボコられた男だった。


そうとなればやることは簡単だ。

「あっおー、やっちまったぜ。みんな撤退だー。」


逃げるが勝ちでしょ。

お読みくださりありがとうございます。

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