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048 王都

あらすじ

ヘルウェイ開拓村が街に昇格したのを機にフィリアに移転した長道たち。

そこに行く途中でデスシール騎馬帝国第4皇女のヘルリユを魔王から助ける。

そこで魔王『食楽王』と知り合いになった。

フィリアでは腐敗した領主に天誅をあたえ、街の経済基盤である魔物の森と魔王を討伐。

その褒章のため王都に来た。

― 048 王都 ―


フィリアの地を出発したのはそれから一週間後。

その一週間の間に、少しは街に動きがあった。


埋葬するべき司祭たちの死体が消え、街中を彷徨うと恐れられたりとか。

領主には国から監査役がついて監視中。もう我侭はできなくなったりとか。


あと僕のアドバイスに従い、領主にヘルリユ皇女から鉱石と木材に経済の基盤を置くように指示があり、なんとか街は生活できる程度の状態になりそうだ。


魔物が本当に根こそぎいなくなったので冒険者も次々に居なくなり、ギルドは縮小されている。

この状態では、もしも異動願を出さなくてもユカエルさんには異動のお願いが本部から来ただろうという事だ。


そんなフィリアの街を僕らは後にした。

グロガゾウにの街に行く前に、途中にある王都に寄るそうだ。

魔王討伐の依頼は皇帝自ら出しているため、王城でしか報酬受け取りできないためらしい。

僕ら+ユカエルさんで王都に向かっている。


しかも今回は魔物の源を消した方法も報告してほしいそうだ。

表向きは、ダグラス団+ヒーリアさん+ユカエルさんが魔王を倒した事になっているので僕らも呼ばれるの謎だけど。

領主の司祭殺しの件があるから、それ関係かもしれないな。


僕としては、大事な魔物資源を潰したことを恨まれて殺されるのが怖かったけど。

マリアお母様いわく、それは有りえないそうだ。魔王が居なくなればその土地を開拓ができるし、防御の軍備も減らせるので、結果的には良い事らしいから。


そんなこんなで、王都まで一週間の旅を呑気に過ごしている。

移動しながら 能力移植核を沢山作ってみた。


妹達には<時間魔法><純化魔法><日本ライブラリー>を与えておきたいなあ。

この子たちに<時間魔法>とか与えたら、もう無敵過ぎだと思う。


それ以外にも作っておきたい魔法の品もある。

能力移植核のお陰で、可能性がぐっと広がった。


資材はたくさんあるのだ。

一番手に入らないはずのオリハルコンも、黒竜王や紅竜王の爪で大量に有る。

あの巨体の爪だから、いくら使っても大丈夫。


そうそう、転移魔法の道具とかも作ったら便利そうだな。

そうだ、<空間アファクトリー>もコピーしたらいいや。


夢が膨らみんぐ。


そんな実験を繰り返しているうちに、一週間はスグに過ぎた。


そして王都到着。

「うわああ、王都の塀も大きいなあ。しかも綺麗だ。」


見事な防壁に巨大で見事な門。

さすが王都。


門の前には検問で並ぶ列がある。

凄い長い。


マリアお母様はため息をつく。

「これは明日になりますわね。」


うわ、マジか。

僕は良いけど、御者さんとか大変だよな。

うちはゴーレムだからいいけど。普通の御者さんは辛そう。


暇なので、一日中魔法で遊びながら過ごす。

夜になると門が閉まるので、行列の動きは止まった。


だから、他の馬車はみんな外に出てキャンプの用意を始める。

うちも外に出て食事の準備だ。


デルリカが楽しそうに、外で食器を並べている。

「お兄ちゃん、お外の食事は楽しいですわね。」


子供だなー。

デルリカ可愛い。

顔がデレてしまう。可愛すぎだろ。


そうそう、エプロン子がいるので食事はどこでも完璧。

そのあと、美味しい夕食を食べた。


食事があ終わると、お茶を飲みながら、テントで寝る人と馬車で寝る人を決める。


「僕はテントが良いです。馬車は嫌ー。」

馬車はもう嫌なんですよホント。

伸び伸び寝たい。


すると妹達もテントが良いと主張しだす。

でも妹達がテントで寝ることはマリアお母様が許してくれなかった。

ナイスお母様。

なぜなら、妹達がくっついてきて寝苦しいから、外で寝たかったのです。


ダグラスさんが豪快に笑う。

「だったら俺たちのテントと隣り合わせで寝ることになるな。イビキがうるさくても怒らないでくれよ。」


「子守歌代わりに寝ますから大丈夫ですよ。」


テントを立てる。

うちの馬車の夜の番人はゴーレムと人工精霊達。

すごいセキュリティーが高いよ。

<探査>と有視界警戒で、寝ないで警備してくれる。

他の馬車は交代で睡眠をとるのに、うちは楽ちんだ。


人工精霊やゴーレムには感謝だね。


テントに入ると、後ろからビレーヌとタケシ君がついてきた。

タケシ君はともかく、ビレーヌは馬車で寝ればいいのに。

でも頑なに僕と一緒についてきた。従者のプロ意識が強いみたい。

9歳なのに責任感が強いなあ。


さらに隣のテントには、ヒーリアさんとユカエルさんが寝る。

僕としては、そっちのテントで寝たかったかも。


馬車の横に並ぶ三つのテントを、僕は密かに「いびきテント」「子供テント」「エロテント」と名付けたことは秘密だ。


まあ贅沢は言ないので僕は子供テントで大きく伸びをする。

久しぶりに手足を伸ばして寝るぞー。


ふう、妹がいないと広くていい。

さーて、明日は何して遊ぶかな。

そんな事を考えながら夢の世界に落ちるのだった。



次の日。

目が覚めると暑苦しかった。

おかしい、誰かに抱き着かれている。

横を見る。


ビレーヌがメチャクチャ良い寝顔で抱き着いていた。

人間は、隣に人が寝ていると抱き着く生き物なんだろうか。


いやちがう。

現にタケシ君は普通に寝ている。

まいったな。

こうなったら気にしないで二度寝するか。

目を瞑ろうとした。


だがテントの入り口が開いてエプロン子が僕を叩き起こす。

「ほらほら長道お坊ちゃま、女性を片手に抱いてお休みとは良いご身分でございますね。ですが朝でございます。早く起きないとエプロン子の朝ごはんを食べ損ねてしまいますよ。」


うん、この声を聴くと朝が来たって感じだ。

二人を起こしながら僕も起きる。

着替えて外に出ると、門の前で並んでいる人たちの馬車が、みんな朝ごはんを用意していた。

遠くの方まで、みんな朝ごはんの用意をしている光景は、どこか新鮮で圧巻だ。


他国に来たって感じがする。

こんな景色一つとっても、旅って楽しいかも。

朝ごはんを終えて片付けたあたりで、王都の門が開く。


よしよし、前進再開だな。

とはいえ牛歩の歩みのごとく進行は遅い。

暇なのでタブレットみたいな道具を作って妹達に与えた。


<日本ライブラリー>を付与した能力移植核で作った道具で、暇つぶしには丁度いいだろう。


デルリカに付き合って魔法少女モノのアニメを最終回まで見終わったら、やっと僕たちの馬車が門の前につく。

時間は15時くらいかな。


他の馬車は、乗車している人全員に身元確認をされたり、積み荷をチェックしたりされていたか、僕らも面倒なチェックをされるかと思ったら…

マリアお母様は杖を出し「司教です」の一言でノーチェックで門に入ってしまった。

さすが司教のご威光は凄い。


王都に入ると、そこは見事な都市だった。

完全に強国を感じさせる作りで見事の一言。

そして広かった。


王城は王都の中央にあるはずなのに遠い。

大きな城のハズなのに、豆粒みたいに見える。

それだけで、デスシール騎馬帝国の力を感じることができた。


で、まずはギルドに向かう。

そこに行けば、宿の手配もすぐにしてもらえるらしいので。


ギルドにつくなり、頭が禿げたおじさんが飛び出してきた。

「ユカエルさん、お久しぶりです!ギルド支長のハヤカトです。」


「ハヤカト、出世したみたいで私もうれしいよ。そうそうこれは手土産だ、若返りの美容薬だぞ。私も愛用しているものだから効果は保証するよ。」


ハヤカトさんは直角にお辞儀しながらそれを受け取る。

「ありがとうございます!少しでも若返り、より一層仕事に励みたいと思います。」


すごい体育会系なノリだな。

そのあと、ハヤカトさんの案内で宿に入りひと段落着く。


ハヤカトさんがギルドに帰っていったので、寛いでいるユカエルさんを見た。

「ユカエルさん、ハヤカトさんってお弟子さんか何かですか?」


「そう見えたかい?私がまだ現役で冒険者をしている時に何度か鍛えてやったのさ。それだけさ。」


絶対それだけでは無いように見えるけど。

きっと、そうとうボコられたんだな。

そう納得することにした。


次の日。

僕らは王城に行くと、明日の午後来るように言われた。

なので今日は一日暇だ。


そう思っていたら、ギルド支長のハヤカトさんが僕らの宿に来た。

「宜しければ観光の案内をいたしますので。」


ギルド支長がわざわざ観光案内なんてしてくれなくてもいいのに。

そう思っていたけど、人のよさそうなおじさんであるハヤカトさんは、頑なに案内するというので、僕ら子供とヒーリアさん、ユカエルさんだけ行くことにした。


美味しいお店や、見晴らしのいい公園とか、イロイロ案内してくれる。

いや、ここまでしてもらって正直悪いとすら思う。


疑問だったのでハヤカトさんに聞いてみた。

「ハヤカトさん、ユカエルさんに絶対服従に見えるけど、昔からの知り合いなんですか?」


すると楽しそうに答えくれた。

「ユカエルさんは私たちくらいの年代の冒険者には憧れだったんだ。ユカエルさんはS級にこそなれなかったけど、A級で面倒見が良くて美人で。その憧れの先輩が最近若返って魔王を討ったっていうじゃないか、心が躍ったよ。さすが我らのマドンナだってさ。ユカエルさんに街の案内をしたって知れたら、昔の仲間たちにはきっと羨ましがるだろうな。」


ユカエルさんって、一種のアイドルだったのか。

人に歴史ありだな。


2年前のでっぷりと&ぽっちゃりな姿を見れたのは、今となってはレアだったかもしれない。

お読みくださりありがとうございます。

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