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046 魔王はすぐ死ぬ

あらすじ

フィリアの街に来た長道たち。

街の住人があまりにひどいので頭に来たので、街の財源である魔物の森から魔物を全滅させることにした。


― 046 魔王はすぐ死ぬ ―


結局僕らはギルドで一夜を明かした。

分身を1人寝かせて、夜通し働いたので眠くない。<一意多重存在>さえあれば24時間戦えますよ!

それに、思ったよりも準備することが多かったんだよね。


対魔王用に戦闘服の装甲を作り直したり。

メイン武器として、強い武器を作ったり。

ユカエルさんやダグラス団に、N魔法の講習を行ったり。


そして早朝になると、ギルドに素材がそろっていた。

建物の前に山と積まれた鉱物。

それを選別しながら冒険者に報酬を出す。


予定の5倍の量が届いたが、それは問題ない。

必要な資材がそろったことがありがたい。

お金はケチらず払った。またいつか頼る事があるかもしれないし。


よーし頑張るぞ。

すぐにギルドの裏手を借りて生産を始める。

僕とクロードさんは分身しているので作業効率がメチャクチャ良い。


特に使い捨てとなる、弾丸、手りゅう弾、砲弾はたくさん作っておかなくちゃ。

閃光弾や爆発マキビシみたいな使い捨て魔法武器も作る。


一日大量に作り、それをそれぞれ皆の<空間収納>に分け与える。

そこで夜になった。


ギルドで宿を借りて一晩眠り次の朝。

みんなが寝てる間に、あたらしい設計図にあった浮遊バイクも大量に作った。

100台ほど。

クロードさんも楽しそうに寝ないで作ってくれたのが助かった。

新しいおもちゃを作るのって楽しいよね。


で、


僕らは早朝から出発するために浮遊バイクを整備した。

一晩で作ったとは思えない出来だと自負している。

タイヤのないバイクだ。

樹海を行くのにタイヤは不便だろうと思い浮遊できるバイクにした。

冒険者が、予想以上に鉱物素材を持ってきてくれたおかげで作れた感じかな。


全員が浮遊バイクにまたがる。


心配そうにギルド職員の男性がユカエルさんを引き止めてきた。

「ギルドマスター、貴女自ら出発するのは問題です。どうかお考え直しを。」

「私にはギルドよりも長道坊っちゃんの方が大事なのさ。面倒かけてすまないけど、後はよろしく頼むよ。」

「ですが…」


職員がさらに何か言おうとしたが、有無を言わさずユカエルさんは出発した。

「長道坊っちゃん、出発だよ!」


「ちょ、まって!」

僕らも慌ててスロットをひねって出発。


バイクという概念がない世界のハズなのに、ユカエルさんやダグラス団は見事に乗りこなしている。

みんな凄いな。


樹海に着くまでは、運転練習。

樹下についてからが本番だな。


途中、魔物を見つけるたびに速攻で仕留めて<空間収納>に回収。

時速100km近くで移動する浮遊バイクは、あっというまに樹海まで僕らを運んでくれた。


樹海前まで来て僕は全員に指示を出す。

「全員分身。分身した8体のうち1人はココに待機させて万が一に備えるよ。のこりの7人は突撃する。」


全員分身した。

そこに僕は、<空間収納>に仕舞っていた浮遊バイクを全員に渡す。


96人のバイク軍団。


「突撃!」


僕の号令と主に一組を除いて、全員が樹海に突撃を掛ける。


6組が魔物殲滅と、魔物を産む源のような沼を探す係り。

1組は魔王討伐隊だ。


みなバイクの上からマシンガンや手りゅう弾で攻撃をして、次々に魔物を倒していく。


僕達?が殲滅をしているあいだに、僕たち?は魔王戦だ。

魔王に向かう僕らは<鑑定探査>で真っすぐ魔王に向かった。

紅竜王。


巨大赤竜の魔王で、黒竜王と違い飛ぶ。

だから冒険者も国も討伐ができなかった。


しかし、僕らに掛かれば大丈夫。

なぜなら飛び道具が充実しているから。

それにヘルプで「赤竜」をしらべたら、「倒し方」もしっかり解説されていた。

あのヘルプ、便利過ぎでしょ。


そんなわけで自信をもって魔王の巣に向かう。

<鑑定探査>で見ていると、突然に300mほど先の赤竜王の表示が大きく膨れる。

そこで高麗の声がした。

『ブレスが来ます!』


やばい。

「ブレスが来る!全員回避!」


慌てて全員がハンドルを切って横に逃げると。

僕らが走っていた場所に、5メートルほどの赤い閃光が突き抜けた。


その閃光が通った場所は地面がえぐれ、樹海も消し飛んでいる。

凄い威力だ。

「高麗、警告ありがとう。たすかったよ。」

『ご無事で何よりです』


えぐれた大地を見る。

「みんな!ブレスのお陰で走りやすくなった。次のブレスが来る前に、このブレスの痕跡を真っすぐ走り抜けるよ。」


樹海は起伏が激しく、バイクでも速度が出ない。

だから、ブレスですべてが吹っ飛び、地面が平らになってくれたのはありがたかった。

地面が平らなら、このバイクは時速100kmは出るんだ。次のブレスは撃たせないぞ。


僕が真っすぐブレスの痕跡に乗って走ると、みな後ろをついてくる。


目視で赤竜王が見えるところまで来たら、ちょうどもう一発ブレスを撃とうとしているところだった。

させない。

<時間魔法>で時間を止めて、ブレスが溜まった紅竜王の口の中にダイナマイトを大量に放り込む。


そして時間を動かした。


ドガアアアアアン!


爆風で体が吹き飛ばされそうになるほどの爆発だった。

目を瞑って身をかがませてどうにか凌ぐ。


目を開けると、あおむけに倒れて気絶する紅竜王の姿が見えた。


赤竜の倒し方にはこう書いてあった。

『ブレスの貯めが長いので、ブレスを撃とうとしたらその口元に爆発魔法を撃ちこむとよい。ブレスが発射できずに自爆する。』


魔王にまでなった個体に対しても、普通の赤竜用の必勝法が通用したことに物悲しさを感じる。

しかし同情はしていられない。


スグにまた<原始魔法>で紅竜王の能力のすべてを奪い去った。

特質すべき能力は<竜人化>や<高速飛行>や<灼熱竜>かな。

有り難く全部いただこう。


あらゆる能力値もいただく。

寿命も奪う「12万年」


ほんと<時間魔法>と<原始魔法>は反則だよね。

強すぎると思う。


そのあたりで、妹達が追い付いてきて紅竜王にとどめを刺した。

魔王、あっけなく死亡。

いや、能力を奪ったとはいえ、この巨体の竜を軽々殺す妹達が怖いよ。

この硬い鱗ををあっけなく引き裂くデルリカのスコップとか意味が分からないし。

僕が作ったスコップだけど、そこまでの能力はないはずなんだが…謎だ。


ヒーリアさんあたりには見慣れた光景だけど、ダグラス団とユカエルさんは目を丸くして立ち尽くしてしまったね。

「まいったよ。私は長道坊っちゃんを理解したつもりだったけど、まだまだ過小評価だったらしい。」


紅竜王の死体を<空間収納>にしまう僕を見て、ユカエルさんは顔が引きつっている。

説明するのも面倒だから、かわりにお尻を軽くたたいた。


「ほら、まだ魔物殲滅が残ってますよ。これから何日もかかりますから、頑張りましょう。」


バイクにまたがり<鑑定探査>で次の魔物を探す。

そう、まだこの山には魔物が120000ほどいる。

下手したら一週間くらい掛かるかもしれない大仕事だ。

足を止めている暇はない。




で、




そのあと、本当に一週間かかった。

クタクタだ。


物理兵器を沢山用意したおかげで、魔力が切れても戦えたのは大きかったな。


魔力で戦う→魔力が切れたら物理兵器→魔力が復活したら魔法で戦いながら弾丸生産。

このサイクルで、びっくりするほどノンストップで戦えた。


物理兵器の設計図をたくさんくれた大海姫さんに感謝だ。

とはいえ魔物の山を一週間で魔物0にするのは、思ったよりも大変だ、もうやらない。


魔物を全滅させることで、あらたに魔物が生まれる場所の特定がしやすくなった。

<鑑定探査>の画面にで魔物が突然現れる場所が、魔物の生まれる源だ。


この山には5か所ほどあるっぽい。

分身パーティーをそれぞれの源に送る。

ごっぽごっぽと泡を吹く、汚い湧き水のようなものがあった。


珍しいモノらしく、ユカエルさんも驚いていた。

「これが魔物の源か。初めて見たね。でも聖なる力でも払えないらしいから、消すのは難しいんじゃないかねえ。穴をふさごうにも魔素が邪魔して魔法で穴をふさぐこともできないらしいしさ。」


僕はそこに手をかざす。

<鑑定探査>で詳細に調べて、人工精霊のデーク南郷に解析してもらった。

『なるほどな。地面の下から湧き出る魔素の吹き出し口だ。ここだけ浄化しても意味がないっていうのは当然だな。魔素が強力に渦を巻いていて半端な魔法では意味がないというのも納得だ。』


僕は<純化魔法>で穴の中のエネルギーに触る。

そして、エネルギーの流れを僕の<空間収納>につないだ。

これで湧き出る魔素は僕の<空間収納>に流れ込む。


純粋なエネルギーは距離や空間を無視できる。

いや、空間そのものも実はエネルギーだ。

なので、転移魔法のようにエネルギーをねじることは可能なのだ。

これで一時的にこの穴の魔素が無くなるはず。


「康子、土の魔法でこの穴を根元から閉じれるかな。魔素の大きな流れの脇道らしいから。一応魔素の流れは変えたけど念のため。」


康子は地面に手を突くと驚く顔になる。


「お兄様、確かにこの泉からはもう魔素を感じません。これなら穴が塞げます。すさまじいですね。」

「たいしたことないよ。後始末よろしく。」

「はいお兄様。」


康子はかなり深い所から穴をふさいでくれた。


そんな事を残りの四か所でも行い、完全に魔物がいない樹海にしてしまった。


魔物が居なくなり、経済的に街は大変なことになるだろうけど、樹海は緑も多いし動物もいる。

真面目にやる気があれば、生活には困らないだろう。


ホント、あとは真面目にやる気があるかどうかだけだ。


帰る道すがら、何とはなしに<鑑定探査>で資源を探したら、樹海にはかなり有用な鉱物が沢山あることがわかる。

樹海は火山が噴火して、流れる大量の溶岩が固まってできた森。

溶岩は本来地中深くにあるものだから、通常は地上にないような鉱物もここにはあるのだ。


「ちょ、いま気づいた!本来は地下深くに行かないとないような鉱物資源が地面に転がってるよ。地面を砕いて回収しまくらなくちゃ。」


見境なく<空間収納>に突っ込んだ。

分身してまくって何トンも回収するくらい頑張った。


さあ、みんなも地面の石とかを沢山回収しておいて!

いつか役に立つから!


みんなの<空間収納>にも無理やり突っ込む。

ほんと、いつか役に立つから!


樹海は、かなり良い鉱物の宝庫だったみたい。

これだけだって凄い資源だ。

この資源にさえ気づくことができれば、街が盛り返すのは難しくないだろう。


納得いくまで鉱物を回収して、僕らは街に帰った。


魔王討伐よりも、鉱物回収に興奮する自分もどうかと思うけど、気にしない。

お読みくだりありがとうごじざいます。

次回、長道に新たな力が目覚める。しかし、たぶん新たな力は今後全く活躍しない。

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