004 チート会議
登場人物
長道:主人公。11歳。元日本人だが記憶を奪われている。チート能力を持つ。
デルリカ:9歳。ブロンドの美少女。しかし妄想癖があり、ヤンデレで、好戦的。
康子:8歳。170cmはある体に隆々の筋肉。しかし中身はイケメンであり乙女。
里美:7歳。日本の記憶を持てっ居る。チート能力を隠している。
マリア:28歳。長道と里美を買ってくれた女性。ままん。
― 004 チート会議 ―
お昼の時間、食堂に呼ばれると、部屋の中央にある大きなテーブルに目を腫らしたデルリカが先に座っていた。
デルリカは僕を見つけるなり半泣きになる。
「お兄ちゃん、申し訳ありませんでした。ワタクシ、はしゃぎ過ぎてしまいまして…」
僕はデルリカの横に立つ。
「気を付けてね。いつか僕もあの程度では怪我しないくらいレベルアップするかもしれないけど、今は貧弱坊やだからさ。」
「はい、、、申し訳ございません。」
”シュンとしたデルリカ可愛いな。”
デルリカは急に顔を上げる。
「あの、落ち込んでいるワタクシは可愛かったですか?」
「え?ヤベ、今声に出てた?」
「はい、小声でしたが。」
「あっおー。忘れて。恥ずかしいから忘れて。」
「いいえ、生涯忘れません。」
恥ずかしいいいいい。
頭を抱えて、思わず仰け反るほど恥ずかしい。
そこにマリアお母様と里美と康子が来た。
里美はマリアお母様に手を引かれている。結構馴染んだようだ。
「長道、あなたの席はどこが良いでしょうか。そうですね、そこにしましょうか。」
マリアお母様が指さしたのは、縦長のテーブルの右側の一番前。
マリアお母様は、長方形のテーブルの一番前なので、僕はマリアお母様の左前だ。
僕の正面にはデルリカ。左横には里美。
康子は、デルリカの隣となる。
長 里
母|
デ 康
こんな感じ。
まあ妥当な席順かな。
食事はメイドさんが運んできてくれたけど、みんな顔に仮面をつけている。
不思議に思っていると、僕の視線から考えていることが分かったのかデルリカが話しかけてきた。
「お兄ちゃん、ここのメイドは全員ゴーレムですのよ。自律しているのは2人だけで、それ以外はそのゴーレムが動かしていますの。仮面をつけているのは全部子機ゴーレムですわ。」
おお、なんか凄い。
「かっこいい!ゴーレムだらけでなんかワクワクするね。」
「こんどお兄ちゃんも作ってみますか?きっと楽しいと思いますわ。」
「おお、面白そう。やりたいやりたい。」
そのあたりで食事が行き渡ったので、マリアお母様が祈りのポーズをとる。
「では黙とうを。今日の糧に感謝を」
僕らも手を組んで黙とうした。
そして食事へ。
そして僕は焦った。
全員所作が優雅で上品なのだ。
マリアお母様、デルリカ、康子までは良いでしょう。
里美!お前もか!
うわあ、僕だけ庶民作法だ。
ちょっと肩身が狭い気持ちで食事をした。
その様子に気づいたのかマリアお母様が、こちらを見て微笑む。
「長道、作法は気にしなくてもよいのですよ。好きなようにお食べなさい。美味しくいただくのが一番ですよ。」
「はい、了解です。」
マリアお母様は優しいなあ。
できるだけ下品にならないように気を付けて食事を終えた。
うーん、食事の作法は課題だな。
食事が終わってお茶が出されたあたりで、みなが雑談を始める。
どうやらお茶が出たらおしゃべりをしても良い様だ。
マリアお母様は僕を見て優しく語りかけてくる。
「では長道、あなたのこと聞かせてください。話したくないことは言わないでも結構ですが嘘はないようにおねがいしますね。」
言われて僕はどこまで言おうか悩んだ。
だって、女神に呼ばれて記憶が無い状態で地上に送られたとか。
チート能力をもらったけど、どんなチートをもらったか聞けないで転移させられたとか。
妹超可愛いとか。
どこまで言えばいいのだろうか。
悩んでいると、マリアお母様は僕の頭をなでる。
僕が言葉を出すまで手持ちぶたさで頭を撫でただけだったろうけど、それだけで僕は急に細かいことがどうでもよくなった。
『今はこの人がお母様なんだから、すべて信じて任せよう。』
そう決めてすべて洗いざらい話した。
最初は驚いた顔をしていたけど、それでも最後まで聞いてくれる。
こんな非常識な話は、普通途中で止められてしまうだろう。
でも最後まで聞いてくれた。
デルリカの電波発言で慣れていたのだろうか。
次に里美も僕に話したのと同じ内容をマリアお母様に語る。
ただ前世の年齢は『それは思い出せない』と誤魔化していたけど、まあそのくらいは良いでしょう。
さらに里美が話している間に、僕はステータスについて紙に書いた。
それを見たマリアお母様はゴクリとつばを飲み込む。
「なるほど、このステータスのメモを見る限り、今の話に信ぴょう性が高まりましたね。」
このステータスで?なんで?
「なぜこれが証明になるんですか?」
「まず『日本』という単語が入っています。これは勇者や王族や神殿の者しか知らない国名です。さらに究極魔法の名前が正確に入っています。世間に流れるデマの究極魔法の名前ではなく、本当の究極魔法の名前が。」
すると康子が驚いた顔をする。
「これが本当の究極魔法なんですか?学校では<転移魔法><生体魔法><ゴーレム魔法><精霊魔法>が四大究極魔法と教わるのに。」
マリアお母様は康子に頷く。
「とくにこの<一意多重存在>と<原始魔法>の存在は、神殿の幹部と、一部の勇者しか知らない究極魔法です。これを魔法として持っていると言う事は、たしかに天界の意思がかかわっていると考えるべきでしょう。」
っていうか、それを知っているマリアお母様に驚く。
そして僕と里美を見た。
「このことは以後決して他人に教えてはいけません。究極魔法を使うのは構いませんが、他人に説明する時は嘘をついても本当のことを言ってはいけません。よろしいですね。」
「はい。」
よーし、家族以外には嘘をツキまくっちゃうぞ。
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