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022 パワーレベリング決着

― 022 パワーレベリング決着 ―


<空間収納>からローポーションをだして5本ほど飲む。

驚くことに足の骨がくっついた。

しかも体力も少し回復したっぽい。


こんなに効くならローポーションだけあればいいんじゃないの?

でも普通は5本飲む時間的余裕はないし、<空間収納>を持っていなければ大量のローポーションを持ち歩くのも負担か。


さて体が復活したので行動だ。

全員で攻撃しやすそうなポジションに移動する。

そしてライフルを構えた。


「まずはライフルで攻撃。僕の指示があるまで接近戦はダメだよ。遠距離からの魔法攻撃はOKね。では構え!撃て!」


ライフルが黒竜王の目に向けて放たれる。

激痛で黒竜王は目を覚ます。


「うごおおおおおおおおお!」


咆哮した。

その大口に、ライフルの弾は容赦なく襲う。

口の中から脳に向けて徹甲弾が突き抜けていく。


それでも口を開けてこちらに向いてきた。

口の中が光る。

しかし何も起きなかったので、またライフルの弾が次々に口から打ち込まれていき、黒竜王はぐらりと力が抜けた。


ズシイイイン


轟音と共に黒竜王の巨体が再び地に倒れた。

尻尾がバシバシ痙攣している。

もう、あと一息で死ぬな。


しかし哀れだ。

最後、こちらに向けて大口を開けなければワンチャンあったろうに。

まさかブレスが<ブレス:0>になっていて撃てないとは思わなかったのだろうな。


「接近戦に移行だ!」


僕と康子とデルリカが飛び出す。


デルリカは凄い速さで飛び上がると、黒竜王の喉にスコップを突き刺した。

器用に鱗の隙間から滑り込ませるように刺しているのが地味に凄い。

そしてスコップを使って鱗をはがすように隙間を広げた。


そこは竜の弱点でもある逆鱗。


康子は同じ場所を槍で深々と突き刺す。

デルリカのスコップと鱗の隙間を滑らせるように刺し貫いたのは、さすが康子だ。

さらに刺した槍の先から魔法を撃ちこんでいるようだ。


そこで黒竜王は頭を一度持ち上げ、そして腕がばたりと地に落ちる。

消えそうな念話の声が届いてきた。


『バカな、我の力が失われている…、なにをした、人間の子供。』


「君の力をむしりとったのさ。最初に君が高笑いしないで襲ってきてたら僕らが死んでた。油断してくれてありがとう。」


『くくく、最強の我の敗因は油断か。ならば我は最強のまま死ぬという事か。それもよかろう。最後に頼みがある。』


「なに?」


『意識があるうちに、その力を奪うというのをやってくれ。どうせ死ぬのだ。ならば最後にその神の御業を体験したい。』


「…わかった」


僕はどれを引っこ抜こうか考えて、寿命を引っこ抜くことにした。

ここで戦死するんだ、寿命は持っていても無駄だろうから僕が有効活用しよう。

できるかどうか分からないけど、僕が出来ると思えばまあできるでしょう。


黒竜王の上に乗り、イモを引き抜く要領で引っこ抜く。


せいや!

 ズボ!


ごっそり抜けた。

手を見ると「寿命7万年」があった。

うわぁぁ、思ったよりも引っこ抜けた。100年くらいかと思ってたのに。うわあぁぁ。


『おお、これはすごい、我が寿命がごっそり無くなりおった。本当に概念を引き抜いたか。こんな化け物に油断したとは愚かであった。ならば我が称号も持っていくがいい。我に勝った褒美だ。』


「君が生きた証にもらっておくよ。」


ふんっ!


今度は抵抗なく取れた。黒竜王が差し出したからだろう。

称号と寿命も<空間収納>に仕舞うと、最後に僕から<槍術:1>を引き抜き、黒竜王に与える。


黒龍王のステータスに名前が増えた。


名前:槍


「死ぬのに名前が無いとお墓も作れない。お返しだ、もっていってくれ。」

『我に名を与えたか、これは良い。我は槍か。はっはっは、確かに受け取った。ではさらば・・・だ…』


黒竜王の意識が消える。

そして、その場は静寂が包んだ。


夕焼けの赤さが、黒竜王の巨体を染める。

勝ったんだ。


念のため<探査>でしらべると、魔王・槍は赤色から灰色表示になっている。

死んだのは間違いない。


力が抜ける。

へたりこんでしまった。

横を見ると、デルリカと康子も疲れ果ててしゃがみ込む。


勝ったんだ。


大変な1日だったな。


どうにか魔王・槍の上から降りると、魔王・槍の死体を<空間収納>に格納した。


「さあ帰ろう。これで村も救われたし。」

あたりは夜になってきている。


夜の森を進むとか、本当は危険だけど魔王を倒した僕たちなら余裕だろう。

…いや、魔王・槍も油断で死んだんだ。同じ轍を踏むわけにはいかないよね。


「やっぱ帰るのなし。疲れて夜の行進は危険だから、今日はここで一泊しよう。里美、結界をお願い。」


「はーい。スマ子、結界をお願い。あと夕食の準備もねー。」

『まかせてー。今夜はウチが最高のキャンプにしてあげるっしょ。』


結界が張られて、スマ子と高麗こまが夕飯の準備を始めた。


さて、では打ち合わせしないといけない話を先にしようかな。


デーク南郷が無言でみんなに椅子を出してくれる。

最初は怖かったけど、この娘も慣れると可愛く見えてきたから不思議だ。


「では、いくつか決めておきたいので先に話しますね。」


みな椅子に座って僕を見る。

よし、話を続けよう。


「魔王・槍の死体と魔法やスキルの分け前だけど。。。」


「いらないよ坊っちゃん。」

「いりませんわお兄ちゃん。」

「お兄様のものです。私はいりません。」

「お兄ちゃんが全部持って行っていいよ。」

「長道様がほとんど倒したようなものです。全て長道様のものでよいと思います。」


全員に拒否られた。


彼女たちの言い分曰く、

魔王の力の9割をそいだのは僕で、自分たちは手伝っただけという事だ。


それに…

全員、レベルが100超えしているので、結構自前でスキルとかも増えていて、貰う必要が無いというのもあるらしく、スキルや魔法はいらないっぽい。

僕は怖くて自分のステータスをまだ見ていないけど、みんなの話だと凄いことになっている模様。


最後に、それでも魔王・槍の死体を分けようとしたら、特にヒーリアさんは強硬に受け取りを拒否してきたのが印象的だった。


ヒーリアさん曰く

「これ以上は怖くてもらえないよ!」


1日で、レベル100越えの勇者になったら、そりゃ怖いか。

僕も怖いもの。レベル100超えの魔王とか。まじで怖い。

だから気持ちは分かるので、ここはゴネなかった。

こんど魔王・槍の素材で作ったモノでもプレゼントすることで茶を濁そう。


これで解決かな。


そこで夕飯ができた。

『ほいほーい、食事できたから冷めないうちに食べて食べて。』

食事にしよう。


「いただきます」

「おいひいいーー、おいひいーーー。」


僕の隣で委員長がリスみたいにほっぺを膨らませて食べはじめた。

美味しいよね、大丈夫だから飲み込んでから喋ろうね。


ヒーリアさんも目の色変えてガツガツたべている。

獲れたての魔物だから美味しいのだろう。


2人とも生きていてくれてよかった。


食事をしながら夜空を眺めて幸せを感じた。

生きていて美味しいものが食べられる。それだけで本当に幸せなんだとシミジミ思った。


お読みくださりありがとうございます。

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