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002 奴隷スタート

あらすじ

ここはどこ?わたしはだれ?

― 002 奴隷スタート ―


気が付いたら小汚い部屋の中だった。

部屋というより牢屋かな。


そして僕は子供の体っぽい。

なるほどレベル1スタートか。


「はあー」


溜息が出た。

しかし、不思議と怒りは沸いてこない。

どちらかというと、『やれやれ』という気持ちかな。


見渡してみる。

周りには、ぼろい服を着た大人が20人くらいいる。

薄暗い部屋だ。

大人たちは「うー」だの「あー」だのうめいていて気持ち悪い。

その部屋の隅っこで僕はしゃがんでいた。


まいった、これとんでもなく厄介なスタートだ。

僕は目をつぶって状況を整理してみる。


ここはどこなんだろう?

あの女神、人間界に僕を落とすならもっと良い場所に落としてほしいよ。


目をつぶって考えていると、目の端に不思議な光が見えた。

目をつぶっているのになんだろう?


無意識に顔をそっちに向けつつ、確認のため目を開いた。そしたら光の枠は消えた。

あれ?

もう一度目を閉じる。

右手のあたりに光の枠が見える。


もしやこれは!

本能的に少し興奮してしまったよ。

だってこれは異世界もの定番のアレでしょ。

ステータス画面だった。


そうか、目をつぶるとステータスが見れる仕組みなのか!

ひゃっほー、異世界ものならこれは必須だよな。


右手を上げると、光の枠も動いてくる。

どうやら右手の位置に見えるらしい。


―――

長道 11歳 余剰ポイント0

レベル1

職業:奴隷

称号:なし


スキル:<探査><鑑定><空間収納><楽器演奏:3>

魔法:<一意多重存在:0><純化魔法:0><時間魔法:1><原始魔法:0><日本ライブラリー:0>


備考:人工精霊1体所有。

―――


おおお、なんかテンション上がるー。

これぞ異世界ものだ!

しかし、ステータスの意味は全く分からない。

これは凄いステータスなんだろうか?

スキルにある、<空間収納><探査><鑑定>は定番だし重要だけど、それ以外が謎だ。

もっとわかりやす能力が欲しかったな。


左手にも何か書いてあるな。

何が書いてあるんだろう?見ようとして手を上げようとした。

そこで左手に誰かが抱き着いていることに気が付いた。


目を開けてみる。


長い黒髪の少女が僕の左手に抱き着いて、うずくまっていた。

誰だろう?

メチャクチャ美少女だと思う。

もうトップアイドルクラスでしょ。


そう思って見つめていると、少女は目を覚ました。

「あ、お兄ちゃんも目をさましたの?」


お兄ちゃん?

ってことは、この子が妹?


女神様の言葉が頭をよぎる。

『ふっ、魔王を一撃で殺せる妹…だとしても?』

『しかもヤンデレ属性で、どんなに逃げても追いかけてくるとしたら。』


あの時はびびったけど、実物の妹見たら気が変わった。

可愛い。めっちゃ可愛い。


魔王を殺せる?お兄ちゃんの愛情の前では小さい小さい。

ヤンデレ?お兄ちゃんとしては、むしろ推奨します。


で、返事をしようとして、言葉に詰まった。

ヤバイ、この子の名前が思い出せない。

どうしよう、ヤンデレってことは名前を忘れたって言ったら殺されるかも。

でも不安そうに「どうしたのお兄ちゃん?」とか言ってる妹を放置もできないよな。


諦めて本当のことを言おう。

だが話す順番が大事だ。


『君はだれ?』

とか言ったら怒り出すかもしれない。


だけど、

『僕はだれ?』

から入れば記憶喪失アピールができて安全ではないだろうか?。

言い方は大事です。


「あの、、、僕はだれ?自分の名前が思い出せないんだけど。」

すると妹(仮)は驚く顔をしつつ、すこし納得した表情をした。


「お兄ちゃん、もしかして記憶が無いの?女神様の遊びの反動かな?」

どうやら妹はかなり正確に事態を把握しているらしい。


「ごめん、分かっている範囲でいろいろ教えてほしいんだけど。僕の半生とか。」


妹は暫し困惑したようだったが、なぜか僕に隠れるように悪い微笑みをした。

かくして笑ったつもりのようだが見えているから。


「わかったよお兄ちゃん。お兄ちゃんの名前は長道。私は里美。前世では享年80歳だったんだよ。」

「享年?ってことは一度死んでるの?」

「うん、一度人生を終わらせてるね、で、その時先に異世界に来ていたお兄ちゃんに連れられてこっちに来たの。お兄ちゃんはこっちの世界で60年以上過ごしていたんだよ。

で、ある日いきなり女神様にゲームをしよと言われて…そのあとは何故か急にこの奴隷になっちゃってる状況ね。

ちなみにお兄ちゃんは妹の私の事が大好きで大好きで、私がいないと泣き叫ぶし、毎日10回以上ハグしないと血反して死ぬほどのシスコンだったんだよ。可哀想だからハグしてあげるね。」


そういうなり、僕を抱きしめる。

幼女にハグされてもな・・・と思ったけど、

こんな少女に抱きしめられてもうれしい。


里美が言った前半は、僕が知る話と整合性が取れている。でも後半は怪しいな。

…などと数秒思っていました。


里美にはぐされて、異常にうれしくなったので、後半の話も本当だったのでは思い始めています。

よし、ハグし返すぞ。


ううう、めちゃ可愛いな里美。

元80歳とか言ってたけど関係ないね。

可愛い!可愛すぎる!


ヤベ、僕はマジでシスコンかも。

記憶を失ったはずなのに、本能が妹をめっちゃ可愛いと叫んでいる。


満足いくまでハグしたら、里美の顔をまじまじ見てみた。

「ところで里美は今何歳?ステータスとか見れる?」


すると里美は僕が細かい説明もしていないのに、右目だけを閉じて自分の右手を見だした。

あ、ステータスを見る時は両目をつぶらなくても良いのか。

僕より詳しいじゃん…


「えっと、私は7歳になってるよ。お兄ちゃんは?」

「僕は11歳。里美はチートついてる?」

「え、能力確認?あああああ、ステータスがすっごく減ってる!どうしようレベル1に減ってるじゃない。チート追加どころか、私が大暴落してるよ。」


そうなのか…

まあ子供になったから、比例して落ちたんだろな。


「まあ、落ちたものは諦めようよ。これからレベルを上げて頑張ろう。」

「ううう、でもそうだね。お兄ちゃんにはチートついてるの?」


隠し玉は黙っておくべきか?それとも素直に言うべきか?

よーし、里美ちゃんは可愛いから全部言っちゃうぞ。


牢屋の床は埃がたまっていたので、そこに僕のステータスを書きだした。

それを見て里美は目を丸くする。


そして興奮しつつ、慌てて床に書いたステータスを消し、耳元で小声つぶやく。

「お兄ちゃん、これは凄いよ。四大究極魔法が付いてるなんて驚きだよ。しかも人工精霊があるなら、それだけでこの世界では勝ち組なんだよ。」


僕も里美の耳元で小声で話す。


「で、どれが究極魔法なの?」

「<一意多重存在:0><純化魔法:0><時間魔法:1><原始魔法:0>ね。一つでも極めると不老不死も夢ではない魔法だよ。」


ほお、それは凄い。

時間魔法だけポイントが1ついているので、現状でも使えそうだ。

完全で瀟洒な奴隷を目指そうかな。


そうなると、もう1つ気になる。

「あと<日本ライブラリー>って魔法は何だと思う?」

「うーん、聞いたことないものだから、これもチート級魔法なんじゃないかな。はやくレベルあげてポイントを入れて試したいね。」


なるほど。

これは早く試したい。


とはいえ…

「でも僕たちは奴隷でしょ。凄い力があっても微妙だね。」

「そんなことないよ。人工精霊や原始魔法なら奴隷契約魔法なんてすぐに壊せると思うよ。だからそこは心配いらないと思う。」


そうなのかー。

僕のチートに期待だな。


片目をつぶり、左手を見てみた。

そこには、なにかイロイロ説明が書いてある。

WEBの検索画面認に似ているといえばイメージしやすいかも。

お勧め記事とかも出ているし。


僕が左手を見つめているのに気づいた里美が、また小声で教えてくれる。

「お兄ちゃん、左手はヘルプ機能だよ。そこで<日本ライブラリー>を検索してみて。タブンお兄ちゃんでないと検索権限が無いから調べれられないと思うの。」


すぐにスマホを扱う要領で調べてみる。


―――

日本ライブラリー

一度でも見たり手に取ったことがある日本のコンテンツを再生できる。

レベルが上がると、閲覧できるものや外部出力できるものが増える。

ダウンロードコンテンツなら追加購入も可能。

―――


その説明をすると里美の目が輝いた。

「日本の映画や漫画が見れるって事?それ凄いよ、ナイスチートだよ!はやくレベルをあげてポイントをあげてよ!」


喜ぶ妹可愛いな。

よーし、お兄ちゃんがんばちゃうぞー。

頑張ろうと思っけど、ここは奴隷小屋だった事を思い出す。

うん、いつか頑張るからね。


しかし謎だ。女神様がくれたチートは<日本ライブラリー>って事なのだろうか。

ぶっちゃけ生きていくためのスキルとしてはショボい気がするけど。

でも、生きるのに余裕がでたら、きっと余生を楽しむためには悪くないスキルだとも思う。


そこで急に怒鳴り声が聞こえた。

格子の向こうからだから奴隷屋の主人だろうか。

「いまからお客さんが来るが、騒いだり無礼なことをした奴には罰を与えるからな。おとなしくしているんだぞ!」


おっと、奴隷を買うお客が来たのか。

牢屋の中の人たちを見ると、おっさんばっかり。

僕が客なら里美を買うな。


よし、客がエロ親父だといけないから僕の後ろに隠しておくか。

そして数分待つと、お客が来た。


その客を見て、牢屋の奴隷たちは息をのむ。

綺麗な淑女と言える女性と、その女性に手を引かれた可愛い女の子。

親子だろうか。

大人の女性の方は黒髪の上品な女性。

子供の方はブロンドの可愛い少女だった。

少女は背中に細長いケースを背負っているが、あのケースは何だろうか?


そんな違和感を大人の奴隷たちは気にしていないようだった。

牢屋の中のおっさんたちが、ガタリと立ち上がり格子に寄っていく。

そりゃ買われるなら、こういう人に買われたいよな。


だが大人の女性は、一緒に来た奴隷屋の主人にハッキリつげた。

「子供の奴隷はいますか?できたら男の子で。うちに娘の面倒を見る子が欲しいので。」


奴隷たちの視線が僕に向く。

子供の男の子は僕しかいない。


するとブロンド少女は、格子に走り寄る。

「あなたはワタクシの兄ちゃんですわね。一目でわかりましたわ。年齢は?何歳ですか?」


「11歳ですけど。」

「思った通りですわね。ワタクシは9歳です。またワタクシのお兄ちゃんになってくださいな。」


絶対知り合いじゃないよね。なんか電波?

あ、急に気が付いた。

女神は言っていたっけ、僕は妹に苦労すると。

そっか、こういう展開か。


なんかちょっと運命に逆らいたくなった。

「だが断る!!」

「ええ!何でですの?お兄ちゃんはワタクシの事が大好きすぎて、ワタクシに1日に10回以上ハグしないと吐血して死ぬ病でしたのに!」


なんか微妙に里美と言っていることが重なるのが怖い。

あ、そうだ里美だ。

そっと里美を前に出す。


「僕だけ買われたら妹の里美が大変ですもの。だから断ります。」

もちろん僕が断る権利はない。

でも、断ってみた。


後ろに居た女性が奴隷屋の主人を見る。

「ではあの兄妹を買います。2人でおいくらでしょうか?」

「まいどあり。子供ですので高めですぜ。金貨40枚になりやす。」


女性はパッパと金貨を払う。


1時間後。

風呂に入れられ、新しい服を着た僕と里美は、さっきの親子の前に連れてこられた。

綺麗になった里美を見て奴隷屋のおやじの表情がゆがむ。

「ちっ、こんな上玉だったのか。やっぱり値段変更だ小娘の方は金貨200枚だ。」


何言ってやがるんだ?

こいつふざけるなよ。


大人の女性は汚いものでも見る目で奴隷屋を見る。

「契約書にはサインをしましたしお金も払いました。追加でお金は払いません。」


奴隷屋はニヤニヤと女性に顔を近づける。

「おいおい、まだ奴隷譲渡の契約魔法は済ませていないぜ。だからこの奴隷はまだ俺に逆らえないのさ。譲渡の契約魔法をしてほしかったら追加の金を出しな。」


するとブロンドの女の子の顔が、ヤバイレベルで病んだ表情になる。

「つまり、お兄ちゃんたちをワタクシから奪うおつもりですのね。それは許せませんわ。」

「うるせえ、これだけの上物を買うなら金を出せよ。そしたら売ってやるって言ってるんだろうが。」


奴隷屋が怒鳴る。

しかし少女はまったくひるむことなく、背中のケースからから大きなスコップをとりだした。

1メートル以上あるスコップは小柄な少女が持つと、妙に違和感がある。

あの背中のケースに何が入っているのかと思ったけど、スコップだったか。

なんで?


疑問はすぐに解決した。いや、予感といっても良い。

スコップを構える少女の姿を見て、僕は確信に近いものを感じたから。

あれをスコップだと思ってはいけない。

あれは…武器だ。


少女はゆっくりスコップを振りかぶる。

おいおい、アレぜったい本気だぞ。

逃げて!奴隷屋のおやじ、超逃げて!


だが親父は少女をなめてかかっているので睨んでいる。

僕はとっさに奴隷屋のおやじの前に飛び出した。

少女が持ってきていたカバンがあったので、急いでそれを掴んで盾にするように立ちふさがる。


「そこまで!それ以上はダメだよ。ほんと洒落にならないから。」


「お兄ちゃんどいて、そいつ殺せない。」


容赦なくスコップを振り下ろしてきた。

いそいでカバンでディフェンスする。

そこでやっと奴隷屋のおやじは自分の危機的状況に気づいたようだ。

「ひい」

一歩退がる。


少女は一歩踏み込んでくる。

「お兄ちゃん、カバンで守らないで。そいつは悪い奴だから。」

だめだ、防御では解決できない。


ゆるせブロンド少女よ。

必殺!ラリアット!


「許せ、せいやああ!」

小柄な少女はその一撃で後方に吹っ飛ぶ。

イッチバーン


だが、ノーダメージだったらしくスコップを素早く構えなおしてきた。

「お兄ちゃん、ラリアットは止めて下さいませ。怒りますよ。」


もう怒ってるじゃん。

こうなったら、僕がどうにかするしかない。

「まって、奴隷契約なら解除できると思うからこれで終わりにしようよ。契約書があるから法的には僕らを連れて行っても問題ないんでしょ。」


すると大人の女性がやっと動いてくれた。

スコップを持った少女からスコップをとりあげ、僕と里美の手を引いて入り口に向かう。

奴隷屋のおやじは我に返りまた騒いだ。


「おい、金を払え。奴隷のガキたち、俺の元に戻て来い!」


奴隷屋が命じると僕と里美にタトゥーみたいな文様があらわれ、僕らの意識を奪う。


ハイ、モドリマス


僕が奴隷屋に向かって歩き出そうとしたとき、大人の女性が僕らに両手を突き出した。

「裁きの女神である大天使・大海姫様にお願い申しあげます。正当性が我にあるならばこの二人の奴隷契約の破壊を。そして報いを卑怯なるものに与えたまえ!」


部屋が光に満たされ、銀髪ツインテールの女性が半透明で現れた。

あ、あのひとは水色の女神の後ろに立っていた人の一人だ。そっかー、大海姫様っていうんだ。


半透明な大海姫様はニッコリしながら僕と里美ちゃんの頭を撫でた。

それで首の文様が砕け散る。


は!もしかしてあっけなく奴隷解放?


同時に奴隷屋のオヤジの手足が見る見る紫色に変色した。

そこで大海姫さんは僕に手を振って消えていく。

『じゃあね長道君、いつでも私の事を呼び出していいからね』


完全に大海姫さんが消えると、部屋の中が正常に戻る。

倒れたオヤジに一瞥することもなく、大人の女性は僕と里美の手を引いて外に出た。

奴隷屋のオヤジ、あれは手足が腐ったな。まあ強く生きてください。


女性は外に待たされていた馬車に僕らを乗せると、やっと表情を柔らかくした。


「いきなりの争い事で怖くありませんでしたか?奴隷契約書では二人の名前は長道と里美とありましたが間違いありませんね。」

「はい、僕は長道で、妹は里美です。」


女性は優しく僕と里美の手を取る。

「ワタクシはマリアと申します。これからは母として接してください。」

優しそうな綺麗な女性だ。


隣に座っていたブロンドの女の子も僕の手を取る。

「ワタクシはデルリカと申します。やっと会えましたわね、お兄ちゃん。」


やっとあえた?

可愛いんだけど、発言が電波っぽい。


するとマリアさんがすっごく苦笑いをした。

「貴方は賢そうですから、なんで我が家が奴隷を買おうとしたかは、この子を見れば分かるかもしれませんね。」


ああ、なるほど。

「普通に養子をとると怖がって距離を取るかもしれないからですね。『優しいお兄ちゃんでいろ。妹に話を合わせろ』と命令できるように奴隷をお兄ちゃんにする必要があった感じでしょうか。この子の頭がアレだから。」


一瞬驚いた顔をし後、真面目な顔でうなずいてきた。

「これはうれしい誤算でした…。長道、あなたにも悪い話ではないと思いますよ。奴隷でしたのに家族として迎えられるというのは破格です。あなたは賢いようですので、ぜひ息子として迎えたいと思います。やれますよね。」


一度デルリカを見る。

ニコニコしているけど、笑顔が怖い。

あれだな、断ったら殺されるな。

女神様が言っていた、魔王も倒せるヤンデレ妹は絶対この子だ。

うん、もうあきらめよう。


次に里美を見る。

疲れたのか眠っていた。

この子のためにもこの条件は悪くない。


マリアさんをみた。


「まさか、まだ見ぬ妹と再開できるとは思っていませんでした。里美同様に妹として可愛がりたいです、お母様。」


マリアお母様は満足そうにうなずいた。

「こんな賢い息子が手に入り、わたくしも嬉しい限りです。本当に安心しました。」

デルリカちゃんも嬉しそうに僕を掴む。


「お兄ちゃん、思い出したのね!」

なにを思い出すんじゃい。


「ごめんデルリカ、じつは過去の記憶も失っているんだよ。昨日以前のことは全く覚えていなくて…。でもデルリカが妹だってことは分かる気がする。だからデルリカの事を覚えていなくても怒らないでね。」


マリアお母様は感心したような顔で僕を見ている。

いえ、記憶喪失は設定ではなくてこれはマジです。


デルリカは嬉しそうにうなずいた。

「そうですか、記憶が無いとは大変ですわね。でも大丈夫ですわ。ワタクシが細かく教えて差し上げます。」

「あ、ありがとうデルリカ。」


そういって頭を撫でたら、小動物のようにうれしそうに微笑んだ。

あ、めっちゃ可愛いかも。


頭がおかしい子だけど、面倒見てあげたくなるな。

あはは、僕は絶対シスコンだ。

だって、今妹になった子でさえこんなに可愛いんだもの。


ロリコンではない、シスコンだ。

これ大事ね。

お読みくださりありがとうございます。

次回予告:頼りになる妹

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