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018 パワーレベリングの予感

登場人物

長道:主人公。11歳。元日本人だが記憶を奪われている。

デルリカ:9歳。ブロンドの美少女。好戦的。

康子:8歳。170cmはある体に隆々の筋肉妹。イケメン乙女。

里美:7歳。日本の記憶を持って居る。中身は80歳のはずなのに子供っぽい。

マリア:28歳。長道と里美を買ってくれた女性。司教dけど謎が多い。

ヒーリア:ダークエルフの美人さん。冒険者で長道を師と仰いでいる。

エプロン子:人工精霊ゴーレム。料理は一流。

スマ子:里美の人工精霊。馴れ馴れしいけど甲斐甲斐しい。

ビレーヌ:7歳。長い赤毛を左肩にまとめている。学校の委員長。

― 018 パワーレベリングの予感 ―


朝、目を覚ますと赤毛の少女が部屋に居た。

眠たいため頭が上手く動かないが、少女がドアの所に立ってこっちを見ているのは分かる。


数秒見つめ合った。

「長道様、おはようございます。」

「おはよう…。あれ、委員長?なんでここに居るの?」


「長道様にメイドとして雇っていただきましたから。」


そういわれて思い出した。

「そういえば、、、でもまだ朝早いけど、なんでそこに?」

「お目覚めを待っておりました。お仕事の初日ですので頑張ろうかと思いまして。」


真面目な人だな。

「そうなんだ。でも無理はしなくていいからね。朝はエプロン子が起こしに来てくれるから。勤務は8時から夕飯前までで良いよ。学校のある日はお休みでいいから。」


日本出身としては、ブラック雇い主とか言われるのが怖いのです。


「では明日からそのようにいたします。」


そしてまた僕をじーっと見る。

着替えしたいけど、見られているとやりにくいな。


そうだ、他のお願いをして追い出そう。

「それじゃあ、里美の面倒を見てきてくれる?あの子は朝ボーっとしているから。」

「承知いたしました」


委員長は一礼すると部屋から出て行く。

ふう、僕って臨機応変だ。


急いで着替える。

そして食堂に降りた。


食堂に行くとパタパタとエプロン子達が朝食の準備をしていた。

「あらあら、まあまあ坊ちゃま、自分で起きてくるとは珍しいですね。邪魔にならないようにお庭ででも遊んできてくださいませね。」


「はーい」


食事準備中のエプロン子には逆らわない。

これ、ここで生きていくための鉄則。機嫌損ねておかずを減らされたら悲しすぎるから。


庭に行くと、康子とマリアお母様が植物の世話を行っていた。

あの二人は優雅だなあ。

邪魔になるといけないから、そっと裏庭の方に行く。


そこにはデルリカ毒草園がある。


どれどれ、いい感じに育っているかな。

知らないうちに結構拡張されていて、新しい毒草も植えてるようだな。


いつか、この毒のお世話に(一服盛られる事に)ならないことを祈るばかりだ。

合掌しておこう。


そろそろいいかと食堂に行くと食事の準備が終わっていた。

いつもの席に座る。お腹空いたああ。


すぐにみんな集まってきたので朝食が始まった。

そっとマリアお母様が手を組む。

「では黙とうを。」


僕も黙とうする。

この黙とうの時って何をすればいいんだろう。お祈り?

謎だ、今度誰かに聞いておこうっと。


「では頂ましょう。」


よっしゃ!横を見ると里美の横に委員長ビレーヌも座っている。

メイドだけど良いのか?まあいいか。

僕が決めることじゃないし。


しっかしエプロン子の料理はおいしいな。

この世界は日本人が料理チートをする余地がないくらい食事が美味しい。

素材も良いし、料理法も豊富なようだ。

そうだ、この美味しさに委員長は感激しているに違いないと横を見たら…


「おいひー、おいひー」

委員長は泣いていた。泣きながら食べていた。

くっ、7歳児で食事が美味しくて泣くとかどうなのよ。

辛い人生だったのだろう。もっと食べさせてあげたくなる。


「エプロン子、今日の僕のデザートはあちらのお嬢さんへ。」

「かしこまりました坊ちゃま。お家の中で安っぽいバーのナンパみたいなことをされるとか。さすが坊ちゃまでございます。」


そういいながら、エプロン子はバーテンのようにプリンをシャーと滑らせて委員長の前に送る。

おい、キザに「あちらのお客様からです」とかいうのはやめろ!。


黙って出してあげなさい。

ほらこっち見て顔赤くして泣いてるじゃん。


「気にしないで食べていいよ。僕はクッキーな気分だから。」

そういって、マリアお母様のクッキーを一枚貰った。


そんなこんなで、朝食も終わり僕らは狩りに行くことにした。


<スマホ念話>でヒーリアさんに連絡を取った。

『もしもし、ヒーリアさん、狩り行きたいんですけどー。』

『長道坊っちゃんかい?いつでもいいよ。』

『じゃあ、今。』

『ちょうど行く予定だったから構わないよ。』

『じゃあお願いします。』


すぐに狩りにいけそうだったのでお願いする。

村の出口で待ち合わせて合流した。


「長道ぼっちゃん。今日はそっちの赤毛の子も一緒に行くのかい?」

「はい、狩りを体験したいそうなので。攻撃魔法が使えるので遠距離攻撃に参加もできますよ。」

「それは頼もしい。行こうかね。」


ダークエルフのヒーリアさんは森に慣れているのだろう。

軽々と進んでいく。さっさと森を進む姿はさすがだ。


森になれない委員長は苦労してついてきていた。

こればっかりは慣れだから手伝えないんだよね。ガンバ。


しばらくして、いつものようにヒーリアさんが立ち止まり木の上を指さす。

みるとかなり大物だ。


僕はゆっくり呼吸を整え<時間魔法>を発動。

弓を引く。そして<時間魔法>で未来を予測する。

矢が獲物に吸い込まれて、ボトリと獲物が落ちる未来を感じたところで矢を放った。


シュッ!


矢が飛び出し、獲物に尽き刺さる。

そのまま、鳴きもせずに獲物は木から落ちてきた。


木の上に居たから鳥かと思ったら、バードボアだったようだ。

羽が生えた大蛇で、グライダーのように滑空する魔物。

人間が襲われると、あんまり助からない。


目の前のバードボアは、目から矢が刺さり即死している。


委員長が感激しながら獲物に近づいた。

「すごいですわ。長道様は本当に狩りの名手ですのね。今晩もお肉ですわね。」

「蛇のお肉もおいしいから楽しみだね。」


矢を抜いて、獲物の死体を<空間収納>にしまう。


次の獲物を探して移動しようとして・・・

ふと気づいた。


「まって!今凄いこと気が付いた!<探査>を使ってみて」


みな<探査>を使った。そして表示に驚く。

ここから1kmほど離れた場所に、魔物表示で真っ赤になっている場所があったから。

もうめっちゃ魔物が密集している感じ。

あえて言うなら満員電車級。

正直言って、ヤバイよこれ。


簡易表示で『敵性生物10769体』って出てるし。


ヒーリアさんから冷や汗が流れている。

「これが村に来たら大変だ。魔物暴走の前兆じゃないの。」


急いでマリアお母様に連絡して、迎え撃つ準備をしないといけないな。

するとデルリカがニヤリとする。

その顔を見て僕はヒヤリとした。


「お兄ちゃん、チャンスですわ。これだけ倒せばあっという間にレベルが上がります。そしたら魔法講座の人工精霊作成の内容も読めるようになるのではないでしょうか?」


「いやいや、デルリカの言いたいことは分かるけど、これはヤバイから今回は逃げようね。」


しかしデルリカは退かなかった。

「だめですわお兄ちゃん。人工精霊を作ってくれるって言ったじゃないですか!絶対すすみます!」


そんなー。この妹はスパルタで怖い。


すると委員長が提案してきた。

「今朝里美ちゃんと話をしていて知ったのですが、人工精霊ならステータスの職業とか変えられるのではないでしょうか?今からたくさんの敵と戦うのでしたら、ここで職業変更をしてはいかがでしょう?職業を変えるとレベル1になりますが、一気に伸ばすチャンスではと思いますので。」


委員長!みんなを焚き付けないで!


里美がパチンと指をならしたら、半透明のスマ子が現れた。

「スマ子、みんなの職業をお勧めのモノにして。それで一気にレベリングしましょう。」

『おっけえ里美ちゃん。ウチのお勧めモードいちゃうよ。』


スマ子がみんなを周って何かを書き換えている。

あ、やめて。さらにやる気を出させないで。

ここでモチベーションを上げる必要ないから!


しかし、作業はすぐに終わった。


僕のステータス。


職業:魔王

レベル1

称号:大天使に愛されし者、マリユカの愛玩動物


なんだこりゃ!

「スマ子!僕の魔王って職業はなに?」

『カッコいいっしょ。勇者と並んで最上位職業だから憧れの職業だよー。お礼はいらないよー。』


ちなみに

ヒーリアさんは勇者

康子も勇者

里美も勇者

デルリカは魔王

委員長も魔王


全員が最上位職業だ。

こんな職業、さらっと勝手につけていいの?

勇者はともかく、魔王はダメでしょ。

勇者と魔王しかいないパーティーてどうなの!


これツッコミどころがわからないよ!


勇者3人、魔王3人って、余裕で世界を手に入れらるんじゃないの?

どうなのさ。


これで委員長のテンションがあがった。

顔を真っ赤にして喜びだす。


「きゃああ、信じられませんわ。いきなり<転移魔法:2>が付いてます。魔王最高ですわ。」


するとデルリカがニヤニヤ近づいた。

「ビレーヌさん、ところで<探査>で敵の詳細表示を見ることができまして?」

「詳細表示ですか?」

「転移って言いながら、敵性表示を触れば見れましてよ。お兄ちゃんの為に見てください。」

「わかりましたわ。…転移?」



そして委員長がシュンと消えてしまった。


「え?委員長はどこ行った?」


嬉しそうにデルリカは僕を見た。

「大変ですわお兄ちゃん、<探査>で探したらビレーヌさんは、魔物の群の真ん中に転移していますよ。助けに行かないと!」


マジか!

くそ!

デルリカ!目的のために委員長を生贄にしたのか!

僕の妹じゃなったら殴り倒すところだよ。でもデルリカは可愛いから、ちょっと許してる自分が怖いよ。


「みんな、僕の周りにきて。今から僕を中心に10メートルくらい結界でかこまれるから、結界から出ないように気を付けてね。」


手段を選んでいる暇はない。<時間魔法>発動。

ポイント5で使用可能になる、空間時間魔法の1つ、<時間結界>を起動した。


僕の周りに結界が張られて、その中だけ時間が動く。

みなが結界の中に居ることを確認した。

15分くらい発動できるけど、それが過ぎるとしばらく使えないから、使うタイミングを選ぶ魔法なんだよね。

魔力の消耗も大きいけど、<空間収納>に魔石をたくさん貯めてあるから、今は魔力消耗は大丈夫なはず。


「じゃあ小走りで移動するから。結界の外は時間が止まっているから、結界から出ないように気を付けてね。この結界は15分くらいしか持たない。だから小走りで委員長の所に行くよ。」


念のため、康子にオンブしてもらい、デルリカと里美は小脇に抱えてもらった。

これで少なくても、4人は結界から出ることはない。


「じゃあ康子お願い。ヒーリアさんは頑張って!。」


康子が森の足場の悪い所を苦もなく走る。

3人も乗せているとは思えない動きだ。

その動きはまるで大型の肉食獣を連想させる。


ほんと康子は超人だ。


後ろからついてきているヒーリアさんも感心しているようだ。

「康子お嬢さんが居ると、安心感が違うねえ。」


そしてどうにか、時間結界が切れる前に、現場にたどり着けた。


しかし周りは魔物だらけ。


あああああ、

こんな事ならデルリカに、いつか人工精霊を作ってあげるとか言わなければよかった。

委員長を狩りにつれていくとか、約束しなければよかった。


しかしもう後の祭りだ。

へへ、死神が目の前でカーニバルをしている気がするぜ。

お読みくださりありがとうございます。

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