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116 ちょ、おま

― 116 ちょ、おま ―


水竜城のついて、あっという間に一日たった。

グロガゾウに残していた魔族を、この地に召喚したためだ。


1200体の魔族の召喚・・・つらかった。

呼んでも呼んでも終わらない。

すべて呼び終わったときは朝日が見えていたっけ。


で、昼間ねていた。

もっとぐっすり眠りたかったけど、、、


ピピピ、ピピピ、ピピピ


ダグラス団から通信のせいで目が覚めた。


『長道坊っちゃん。ある程度情報を集めたから中間報告だぜ。』

「うぐぐ、眠い。。。。でもありがとうダグラスさん。で、どうでした?」


『調べたらヒドイ連中だったぜ。街では強奪や強姦はあたりまえ。気に入らなければ『勇者に逆らうやつは許さないぞ』って叫んで、人を殺すこともシバシバらしい。あいつらやりたい放題だ。王の後ろ盾があるから領主の貴族も強く出られないらしいが、そうとう煙たがってるって感じだったぜ』

「うわー、地球の近代国家の軍とは思えない連中ですね。それが一歩間違えば日本に来ていたのかと思うとぞっとするな。」


『それだけじゃないぞ。』

「ヤバい事?」


『俺はヤバイと思う。連中、はじめは8人しかいなかったらしい。』

「え?」


『日に日に増えてるんだとよ。武器も兵隊も。しかもかなりの数の亜人が城に連れていかれて帰ってこないらしい。これってアレじゃないか?生贄とかじゃないか。いまも目の前で10人ほど捕まって連行されていた。』

「うそでしょ。そんな野蛮なことが許されて良いの・・・」


おいおいおい。

思ったよりも事態はヤバそうだ。

そして、思った以上に『時間を置いたら不利になる』可能性が高いようだ。

まさか、現在進行形で召喚し続けてるっぽいとは。

悪夢だ。


これはスピード解決の必要がある。

『もう少し調べてみるけどよ、ヤバくなったら逃げていいか?あいつら街中でも暴れすぎてて、いつ火の粉がかかるか分からないんだよ。』

「わかった。万が一の時はダグラスさんたちの判断で逃げてね。もしも僕らと連絡が取れなくなったら、そのままグロガゾウまで帰って良いから。出来る範囲でよろしくです。」

『連絡取れなくなったら?おいおい長道坊っちゃん、それは縁起でもないぜ。』

「あくまで可能性の話さ。一応万が一のことも考えないとね。」

『そんなことが無いように祈るぜ。じゃあ、また連絡するよ。』


ブチ


連絡が切れた。

思ったよりも、グルニエール王国も混乱していそうだな。

起きて皆を探そうと部屋を出ると、すぐに悪霊大神官フレディーが待っていた。


「お目覚めですかわが神よ。みなさまはお昼だそうですが合流されますかな?」

「うん、急いで会議もしたいからよろしく頼むよ。」

「はい、お心のままに。」


デカい骸骨のくせに、相変わらずイケメンボイスだ。


死霊大神官フレディーに案内されるまま歩くと、すぐに皆が見えた。

巨大な白いサメ『水竜王』を囲むように食事中だった。


「あ、みんな。これからの動きについて相談したいんだけど・・・」


そこまで言ってから、みんなの表情が暗いことに気づく。

「あれ?なんかあったの?」


すると『食楽王』マリーさんが僕を手招きして、隣に座れとというジェスチャーをした。

この人には逆らうだけ無駄なので、おとなしく言うことを聞いて座る。


「長道、あなたも私の話を聞くのですよー。私の予想が正しければ大変なことになっているのです。」


一瞬背筋が寒くなった。

予感としか言えないけど、マリーさんが深刻な顔をしていたことに恐怖する。

あのマリーさんが深刻になるレベルの話って、、、


「聞きたくないなー。」


そんな僕を、マリーさんはがっしり捕まえた。

「無理やりにでも聞かせますよ。ダグラスから異世界召喚がバンバン行われていることは聞きましたか?」

「ええ、寝起きで聞かされました。」


「それが問題なのですよー。」

「異世界召喚自体が問題って事ですか?」


マリーさんは静かにうなずいた。

「異世界人召喚は、人間を神々の手で受け渡しするか、エネルギーだけにして無の空間を通り抜けさせるのがセオリーなのです。異世界転移が前者で、異世界転生が後者ですねー。」

「?。で?」


「やつらの異世界召喚は不完全ですので、向こうの神が勢いよく投げつけてきて壁を突破させているのですよー。」

「それって何が問題なのですか?」


マリーさんは魔法でシャボン玉と針を出した。

シャボン玉は大量に飛び出し、テーブルの上に落ちると5個ほどのシャボンが密着する。


「今はこういう状態です。」

マリーさんは素早くしゃぼんに針を刺し、素早く抜く。

でもシャボンは割れなかった。


「で、これからこうなります。」

マリーさんは素早く何度もシャボンを指す。

10回ほど刺したときにシャボンが割れた。


パシャ


密着していた他のシャボンも巻き込んで、一気にすべてのシャボンが割れた。


その説明を見て、僕は今度こそ本当に背筋が凍り付く。

「もしかして、これがこの世界の運命かもしれないって事ですか?」


深刻そうな顔で静かにうなずいてくれた。

「本来、異世界召喚はとてもデリケートな術なのですよー。なのに乱暴に行われればいつこうなっても不思議ではありません。召喚にあと10回耐えるかもしれないですし、次の召喚で世界が割れるかもしれませんねー。」


「それ、、、、めっちゃヤバくないですか?」

「だから困っているのですよー。」


そいえばこのところマリーさんは珍しく静かだったな。

「もしかして、マリーさんは気づいていました?」

「なんとなくですが。世界が何度かパルルンって震えたので気になっていましたがここにきて確信したのです。おそらくさっき召喚が行われました。この距離までくれば分かりました、世界に異物が突き刺さって飛びこんできたのが。」


マリーさんは普段はバカっぽいけど、強い魔王だけあって物知りで世界や天界の事にも詳しい節がある。

そのマリーさんがここまで深刻な顔をするのだからマジなのだろう。


僕は今の言葉をかみしめて、そして決断した。


「では敵勇者のことは出来るだけ無視することにしましょう。彼らによってどれだけ被害が出ようと後回しです。今はグルニエール王国が行う異世界召喚をつぶすことに集中しないとですね。」


見渡すと、仲間たちはみな頷いてくれる。

でも念のため最後の確認をしようかな。


久しぶりだけど、あれをやることにした。

手を組んで目をつぶり祈る。

「大天使様!ちょっと相談に乗ってください。」


今日はマジでお願いします大天使さん。ちょっと確認したいことがあるので教えてください。

もしかして、いま世界はヤバいですか?


すると空中に炎が現れ、その中から金髪で釣り目の女性が現れた。

金髪縦ロールがトレードマークの大天使。

大炎姫様だ。


「我が名は大炎姫。長道殿、ちょうど良いタイミングで呼んでくださったな。そのことで相談したかったのだ。」


大天使が出てきたので水竜王さんやサビアンさん、それに死霊大神官フレディーはビビってるけど、まあそのうち慣れるでしょ。


「っということは、ヤバいんですね。」

「うむ、かなり危険です。」


出来たら否定してほしかった。

「それほどの危機なのに、大天使さんたちは助けてくれないんですか?」


すると大炎姫さんはキツイ釣り目を困ったように下げる。

「そうしたいのも山々なのだが、無理な召喚で割れそうになる世界を維持するので手一杯なのです。今天使も神も手が離せない。だからこそ『理不尽の断罪者』である魔王達に頼みたい。世界の危機を救ってほしい。まずは召喚術式を再現できないくらい破壊してくれ。」


なんか、ちょっと聞き逃せない言葉が入ったな。

「まずは召喚術式の破壊?じゃあそのあとにも仕事があるんですか?」


大炎姫さまは申し訳なさそうにうなずいた。

「そのとおりです。まずは危険な状態を脱する。、次は報復。こんな暴挙を行った向こうの神を倒してほしい。もしかすると他の地球の神がやってくれるかもしれないが、こちらも戦力を出さないとメンツが保てないのでね。」


「神を倒すって、、、マジですか。しかも別の地球の神が手を貸してくれる可能性もあるんですか?」

「もちろんだ。なんせこの世界が割れれば、隣接する地球の世界も崩壊に巻き込まれて割れる可能性が高い。向こうの神々も慌てているでしょう。」


そっか。さっきのシャボン玉の説明みたいに、巻き込まれて消える世界もあるんだった。

ってことは、今回はこの世界を救うと同時に地球も救う事になるのかな?


最後に恐る恐る聞いてみた。

「ちなみに世界が割れたらどうなります?」

「・・・・役職神以上の存在でなければ消滅する。人も動物も生き物すべてがパンっと割れて消え去るのみだ。あの世も割れるから、霊魂も天使もすべて割れて消える。本当に何も残らない。」


「うわぁ・・・・、あの世も消えるとかヤバさの桁がマジでルナティック。」


「そういう訳だ。我らは動けないのでたのみましたよ。未来視を行い、この断罪の為に大量に魔王を作ったのに、この大事なところでまさか半分以下になっているとは思わなかったが、本当にお願いしましたよ。長道殿、あなたに全てを委ねます。」


「え、ちょ、なにそれ!」


慌てて問い詰めようとしたら「では忙しいので」と言い残し、大炎姫さまは炎となって消えてしまった。


・・・・うそー。


皆を見る。

マリーさん以外青い顔をしている気がする。

あ、ヒーリアさんはガングロだから、土気色かな。


誰も口を開こうとしない。

しかたない、僕が場を和ませるか。


「てへ、任されちゃった。(テヘペロ)」


誰も反応してくれなかった。

心にダメージ受けたのはわかるけど、無反応はないでしょう。

僕は、ボケが滑ったことで心に追加ダメージを負うのだった。


最終回に向けてまとめ始めます。

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