108 ダンジョン拡張
― 108 ダンジョン拡張 ―
土竜王を倒した時に、彼が作ったダンジョンは僕に譲渡された。
なのでダンジョンコアも僕の物になっているはずなんだけど・・・
ダンジョンコアってどれなんだろう?
ダンジョンコアを見つけないと、自力で掘った階層が登録できないので困るのです。
そこで、僕の工房に住み着いている死霊大神官のフレディーに尋ねてみる事にした。
彼は5メートルはある巨大な骨で、神官らしい豪華な服装と装飾をしている。
工房内は広いので、彼の巨体も無理なく居られるので、よく工房に来ているのだ。
「ねえ、ダンジョンコアってどこにあるか知ってる?」
僕の質問に、知的なイケメンボイスが返ってきた。
「我が神よ、ダンジョンコアは通常は最下層にあります。ですので7層目にあるのではと愚考いたします。」
「うーん。でも僕らが行った時は7層目はまだ作成中で、土竜王しかいなかったけど、それらしいものはなかったような気がする。どこにあったんだろう。」
すると死霊大神官フレディーは顎に手をやり考える仕草素した。
「ふむふむ、それは奇怪ですね。ダンジョンが存在すればダンジョンコアはダンジョン内にあるものです。もしかしますと土竜王が固有スキルとして持っていたのかもしれませんね。」
「マジか。ちょっとまて、土竜王から奪った能力をチェックしてみる。」
あわてて奪った能力を確認した。
左目を瞑り<空間収納>内に仕舞ってある能力たちをチェックする。
えっと、土竜王か奪た能力はひとまとめにしてあったはず。
スグに見つけてチェックしてみる。
<腐食ブレス><ミスリル毛皮><オリハルコン爪><トンネル作成>…
スキルを調べたけど、ダンジョンコアに関するスキルはない様だ。
「スキルではないみたい。ほかに可能性は何かあるかな。」
「ふむふむ。では土竜王が体のどこかに隠していたのかもしれませんぞ。もしくは魔族が管理していたのやもしれませんな。」
そっちかー
そういえば土竜王と魔族の死体はどうしたっけな。
あ
デルリカが持っているんだった。
すぐに魔法の<スマホ念話>でデルリカに連絡を取る。
ぴろろろん(呼び出し音)
ぴろろろん
ぴろろろん
『もしもし、デルリカです。どうしましたお兄ちゃん。』
「あ、デルリカ。じつは急いで土竜王と土竜王の魔族の死体を調べたいんだ。取りに行きたいんだけど今どこに居る?」
『ふふふ、お兄ちゃんの工房の前に居ますわ。』
「マジ?なんで工房前に居るの。」
『お兄ちゃんを監視していましたの。何か問題ありますか?』
「いや、妹に監視されても問題ないけど。。。デルリカって暇なの?」
そんな事を言ってると、後部のドアがガチャリと開いてデルリカが入ってきた。
「ふふふ、見える距離で念話するのも楽しいですわね」
見える距離で<スマホ念話>を使っても魔力の無駄なので切った。
「ストーカーしててくれて助かったよデルリカ。悪いんだけどすぐに出してもらえるかな。」
「はいお兄ちゃん」
土竜王の巨体と、ねずみ男みたいな姿の魔族3体が工房内に出される。
土竜王はやっぱデカいな。
まずは土竜王を調べる。
デカい体をくまなく探したけど、特に何も出てこなかった。
やべ、ちょっと不安になってきた。
次は魔族の方から調べてみるか。
みると魔族の一体が、リュックのようなものを背負っている。
そのリュックの中を調べると・・・
ノートPCが入っていた。
え?ノートPC?
思わず開いて電源を入れる。
すると普通のPCのデスクトップが表示された。
まさか・・・ね。
デスクトップに表示されているアイコンをチェックすると、不審なアイコンがあった。
『ハーレムダンジョン3』
ギャルゲー?
エロゲー?
まさかね。
いや、ないない。これは絶対違うでしょ。
でも妙な予感がしてダラダラ汗が出る。
僕がイメージするダンジョンコアは、こう大きな水晶みたいなものとか、いかにもコアって感じのもの。
これは絶対違うよ。
こんなのがダンジョンコアであって良いはずが無い。
こんなふざけたダンジョンコアなんて認めたくないのだ!
そう思いたいのだが、なぜか絶対違うと言い切れない。直感というのだろうか。
これがコアだったら嫌だな。。。
嫌なんだけど、直感がこれだと告げている。
恐る恐る、『ハーレムダンジョン3』のアイコンをダブルクリックした。
いかにもギャルゲー的なオープニング画面が現れ、次に警告が出た。
『警告。ハーレムダンジョンがダンジョン外に持ち出されています。持ち出してから100時間以内にダンジョン内へ持ち帰らないと、ダンジョンが崩壊します。→黒竜王窟』
え?ダンジョンが崩壊?
えっとねずみ男みたいな魔族が倒されてから5日は立っているはずだから・・・
あれ、かなり危機的状況?
よく見ると警告画面には時計がカウントダウしている。
00:15
ん?
じっと見ていたらカウントが動いた。
00:14
え?え?え?
これヤバくない?
あと14分って事じゃね?
「やばい!あと14分でダンジョンが崩壊する!急いでこれをダンジョンにもっていかなくっちゃ!」
すると死霊大神官フレディーは素早く土竜王とその魔族を<空間収納>に仕舞い、僕とデルリカを掴んだ。
「我が神よ、お急ぎでしたら我が<転移>でお送りいたしましょうぞ。」
キャー、死霊大神官さん素敵!
さすが声だけイケメン。
「頼む!急ぎでお願い」
「我が神の為に、我が力を使える事に感謝を」
パリーン
空間が割れる音がした。
次の瞬間、僕は見覚えのある暗い空間に居た。
ダンジョンの第6層。アンデットゾーンだ。
ノートPCを見る。
『ダンジョンとの同期を確認。ダンジョンコアを起動します』
と表示されている。
間に合ったのか?
しばらく見ていると、『ハーレムダンジョン3』と思われる画面だ出てくる。
ダンジョンのマップと、デフォルメされたキャラが沢山表示された。
恐る恐る第六階層をチェックすると、僕とデルリカと死霊大神官フレディーのデフォルメされたキャラが表示されている。
やっぱりこれがダンジョンコアっぽい。
なにこのゲームみたいなダンジョンコア。
ありなの?ねえ、ありなの?
風情もくそも有ったもんじゃないな。
まあいいや。
「死霊大神官フレディー。今から君に大事な仕事を任せたいと思う。ダンジョンを拡張してくれ。」
「拝命いたします。して、いかほど拡張いたしましょう。」
優雅に一礼するフレディーには迷いを感じない。
彼ならやり遂げてくれるだろう。
「僕の配下を好きに使っていい。魔物が25万体以上いるダンジョンを作ってほしい。しかも出来るだけ早急にだ。僕の人工精霊も穴掘りゴーレムに憑依させて頑張ってもらう予定だから、とにかく急いでほしい。必要なら魔物を生み出す泉も設置する。」
フレディーは僕から恭しくノートPCを受け取る。
「我が神より、縄張りの管理を任されるとはなんたる名誉。この死霊大神官フレディー、命に代えても任を全ういたしましょうぞ。」
「君、もう代える命ないけどね。アンデッドだから。」
よし、面倒な仕事は他人に押し付けることができた。
そうだ、大雑把に方向性だけでも指示しておこうかな。
「各フロアーの広さは今の五倍にして、深さは110層くらいにしてくれると嬉しいかな。」
これで計算上は、24万以上の魔物が配置できるはず。
「かしこまりました。必ずや満足いただけるダンジョンを作成いたします。」
その後、『ハーレムダンジョン3』を少し弄っていたら、瞬間配置の機能があることが分かり、僕とデルリカはダンジョンの出口まで一瞬で飛ばしてもらった。
よし、これで一安心。




