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104 巨人王を倒しちゃおう1

前回までの話

感動したりガッカリしたりしながら幽玄王を倒した長道。

いそいで次の魔王を倒しに向かうのだった。

― 104 巨人王を倒しちゃおう1 ―



大量に向かってきている魔物を迎え撃つため、アンデットの軍団はその場に待機してもらい、僕は一人で浮遊バイクを飛ばし、急いで森側に戻っている。

僕の予想では、そろそろ別の魔王がもう1人釣れるはずだから。


康子と里美の待機場所に近づくと、魔物も1000程配置されているので遠くからでも黒山が見えた。

遠目からだけど、こちらの魔物の群れが、もぞもぞ動いているのが見える。


さらに近づくと、戦闘状態だった。

あ、思ったよりも早く始まったんだな。

先に配置しておいて良かった。


うちの魔物軍の中央あたりで、でっかい奴が暴れている。


一つ目の巨人。

サイクロプスってやつかな?

<鑑定>でチェックしてみる。


魔王・巨人王


その後ろを、巨大な魔物が7体ほどつきそっている。

他の魔王の支配地かもしれない場所に一緒にやってくるということは、あの7体は魔族か。


しっかし、この巨人王はデカいな。

40mはありそうだ。


まだ遠めで確認できるくらいの距離なのに、やつが地面を踏みしめるたびにズシンズシン地面から振動を感じるほどの重量感。

この距離で、地面の衝撃で僕の体が浮くほどって…どんだけ重いんだ、この巨人王は。


サビアンさんには、森で戦闘が始まったら、すぐ無理せず後退するようにお願いしていた。

おそらく森で戦えば、美蛾王とかいう魔王と、この巨人王を同時に相手しないといけなかったはず。


でも、僕の予想では森の外に逃げれば美蛾王は追ってこないと予想していた。

なにせ、森で人間に卵を植え付けるつもりだったらしいから。


だから僕は、巨人王がサビアンさんを追って森の外に出ても、美蛾王は森に残って巨人王に任せるはずだと考えたのね。

だって、連中の頭の予定では幽玄王が僕らを倒して、大量の魔物を連れて森に帰還すると思っているはずだから。


だから、サビアンさんには森の外に逃げてもらった。

里美と康子が、1000体の魔物を率いて待っている場所まで。


巨人王は棍棒を振り回しながら、周りの魔物を蹂躙していた。


「テキ、コロス!シネシネシネ!」


一振りごとに、こちらの魔物達が何体も吹き飛び砕けている。

あれはヤバイな。


浮遊バイクで近くまで行くと、僕に気づいた里美が急いで近づいてきた。

「お兄ちゃん!あのでっかい奴ヤバイよ!メチャクチャだよ。」


康子も走ってきた。

「お兄様!あの巨人はとんでもありません。体が硬すぎて剣が通じませんし、パワーもけた違いです。危なくて近寄れません。」


康子が危ないっていう事は、相当やばいな。

でも僕は落ち着いていた。


「二人ともよく頑張ったね。あとは僕がどうにかするから。」


里美が巨人から目を離さずに僕に背を預けた。

「流石お兄ちゃん、あんなんでも倒すビジョンがあるの?」


「まあ、勝てると思うよ。だってあいつバカっぽいじゃん。」


あっけらかんというと、2人は緊張した表情を和らげ微笑んだ。

「あはは、お兄ちゃんにとってはあの化け物もだたのバカかあ。さすがお兄ちゃんだね」

「やはりお兄様がいてくださると、それだけで勝てる気がいたします。」


「はっはっは、妹達よ。だけど戦うのは君たちだからヨロチクビ。」


「「はい」」


「よし、まずは化け物の足を止めておいてくれるかい。いそいでサビアンさんと作戦を詰めるから。3分だけお願い。」


康子が巨大な剣を構えて野太く笑った。

「おまかかせください。お兄様が望むだけ時間を稼ぎましょう。」


いうなり颯爽と走っていき、光の斬撃で攻撃を始めた。

相変わらず康子さん、カッコいい!

さすが「抱かれたい冒険者ランキング」第一位だ。兄より女性にモテる妹、それが康子さん!


康子の後姿を見送っていたら、里美がサビアンさんを呼んできてくれた。


「長道さん、こちらへ助勢にきてくださいましたのね。感謝いたします。」


「当然です。ところでいきなり本題に入りますが、巨人王のブレスはあの馬鹿力と思っていいでしょうか?」


サビアンさんは落ち着いてうなずいた。

「わたくしもそう考えますわ。棍棒を一振りするだけで魔物が10匹くらい粉々になっておりました。あのパワーがブレスで間違いありません。その自らのパワーに耐える体ですので、頑丈さも凄まじいものがあります。」


なるほど。

「で、サビアンさんの出番なのですが、サビアンさんの蜘糸を使って出来るだけ動きを止めてほしいんです。糸は堅い状態にせず、良く伸びてねばるようにできますか?」


困惑顔をされた。

「それはできますが、伸びてしまっては役に立たないのではありませんか?」


僕はニヤリとする。

「いいえ、糸が固いから切れるんです。こちらが大技を使うために少しずつ巨人王の動きを阻害したいのでお願いします。糸が切れなければどんどん上から糸で巻けます。そうやって動きを阻害できれば十分です。トドメは康子と里美に任せます。」


あんまり納得できていないようだけど、それでもサビアンさんは飲み込んでくれた。

「わかりましたわ。長道さんを信じます。」


いうなり、凄い速度で飛び上がり巨人王の周りに糸を巻き始めた。


ビュ

 ビュ


サビアンさんは閃光のように飛び回り、糸を巨人王に巻きつける。


サ、サビアンさん速すぎる!

目で追うのがやっとだ。

小型の魔王だからこそのスピードなのかもしれな。

あれだな、サビアンさんがつっこんできても、僕だったら反応もできないでやられる自信がある。

ホント。。。戦わないでよかった。


ネバネバの糸が巨人を絡めていく。

今度はよく伸びる糸なので巨人王も糸が切れないでもがき出す。。


力が強くても、それは手足の可動域範囲内でのこと。

全力で腕を伸ばしても切れない程よく伸びる糸は扱いづらいだろう。


「キレナイ!ナンダコレ!ジャマダ、キレロ!」


動きが鈍れば充分。


「よし、今のうちに巨人王の魔族を叩くよ。さあ我が魔族たちよ、巨人王の魔族をたたきつぶすのだ!」


叫ぶと、ここに残していた竜や大型魔族が一斉に敵魔族に襲い掛かる。


それは一瞬の殺戮だった。

巨人王が動けなくなった後の敵魔族はあっけなかった。

なんせ僕の竜型の魔族が200体。その他の雑多な魔族が200体。

さらにザコ魔物が数百体。


圧倒的な数の暴力だった。

これで巨人王に集中できる。


里美は僕の横で苦笑いをする。

「あれは流石に可哀そうだね。敵の魔族が瞬殺じゃん。」


こちらは巨人王の攻撃が怖くて近づけなかっただけで、魔族としての実力的には負けていない。

しかも数はこちらが圧倒的。だからこれは当然だ。


僕はさらに檄を飛ばす。

「よし、竜の魔族は巨人王を囲んで火炎放射だ。焼くのではなく空中に浮かせて保持する感じで頼む!」


僕の竜魔族達は素早く指示に従てくれた。

巨人王を囲むと、下から火炎を撃って巨人王を浮かせてしまう。


ドドドドドドドドド


200以上の竜魔族の連続火炎攻撃だ。

普通の魔物なら一瞬で消し炭だろう。


しかしやはり巨人王はこの集中砲火に耐えている。

だが・・・


康子も僕の傍に来て見上げる。

「竜の火炎は凄いですね。あの巨人王の巨体が下方からの連続攻撃で浮いていますね。」


そう、焼けないのは分かっている。

だから囲んで巨人王を持ち上げた。

火炎の爆風で巨人王は地に落ちることができずに空中でバタバタしだす。


怪力は地に足がついているから怖いのだ。

その破壊力は、手が届く位置まで行くから発揮される。


地に足がつかず、こちらに手が届かないところまで火炎の爆風で浮かせ続けられているなら、もう恐ろしいことはない。

ただのでっかい的だ。


よし、ここからが仕上げだな。

頑張れ、里美と康子。


お読みくださりありがとうございます。


次回予告

長道が来たから形勢逆転。

しかし

長道は口しか出してない。

頑張るのは康子と里美である。頑張れ妹達。

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