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ファーストコンタクト

今までSFスリラーばかり書いてきましたが、今回はラブコメを書こうと思います。


女子高校生が美少年?異星人と同居するという設定ですので、「異星人なんか信じない」「生理的に無理」という方はバックボタンでお戻りください。


もちろん、グロなし、エロなし、束縛なしです。




――友達以上、恋人以上――

 ――私はあの日のことを一生忘れないだろう――






 私が高校1年生だった春、世界中に衝撃を与えた出来事が起こった。それは今の私の人生の中でも一番大きな出来事だった。


 あの日、私は1人で町にショッピングに出かけた。町の郊外で育った私は町の中心部に行くために1時間近く電車に乗らなければならない。しかし町の中心地にはお洒落な店がたくさん。年頃の私にとって近くの郊外の地味なショッピングモールなんかより町の中心部の最新の流行を飾るお洒落なショッピングモールで買い物をしたかった。

 中学生時代、人間関係のトラブルから1人で行動するようになった私。私にとってショッピングとは友達と行くものではなく1人で行くものと化していた。


 1時間近く携帯電話を触りながら揺られ続け、町の中心部に付くと、少し歩けば行きつけのショッピングモールにたどり着く。お店を何軒かめぐり、洋服を見て回る。そして気に入った洋服を買う。


 私には物を買うと即座に使いたくなる癖がある。今日はボーダー柄のワンピースを買った。トイレに行き、今日買ったワンピースに着替え、脱いだ服を紙袋の中に入れる。そしてショッピングモールを後にする。


 空を見上げながら歩いていると、ビルとビルの隙間に何やら白い物体が見えた。初めは見間違いかと思ったが、確かに白い物体だ。楕円形の円盤の下に細い棒状の物がついている。UFOに見えないことも無い。

 すると私のオカルト好きという本能が目覚めた。私は無我夢中で、少しでも白い物体に近付こうと走った。駅の前を通り過ぎたことも気に留めず、汗ばむ中、ただひたすら走った。

 私は白い物体にあと数100メートルというところまで近づいた。直径300メートルはあるかに見える白銀の円盤。円盤の下からは1本の太いアンテナのようなものが延びていた。それは確かにUFOだった。映画やオカルト番組等で散々見てきたが、こんなに近くではっきり見えたのは初めてだ。私はすっかり見惚れてしまった。


 ブオォォォォ――


 UFOから何かが飛び立った。町の方に向かって数機の機体が上空を通り過ぎる。これから一体何が起ころうというのか。


 ブオォォォォ――!!


 「きゃっ!」

 再び数機の機体が飛び立った。今度は私の頭上ギリギリをかすめた。私は尻餅をついていた。起き上がろうとするとワンピースは砂で汚れていた。


 ブオォォォォ――


 少し遅れて一機の機体が飛び立ったかと思うと、自分の目の前に着地した。

 高さ3メートル近くはあるかに見える白銀に輝く人型の機体。ロボットなのだろうか。


 「なに……きゃっ!」


 私は立ち上がろうとしたが、腰が抜けて動けない。


 すると機体の前面中央が開き、中から異星人らしき人が現れる。異星人が乗っていた部分はクッション状になっていた。どうやらパワードスーツのようだ。

 日本人と同じうすだいだいの肌。ダークブラウンの肩までの髪。首から足先までもある黒いつなぎのようなものを着ており、手には尖った爪のような指先をした黒いアームカバーのようなものをしていた。全身黒い服を着、服には青い電極が縦に入っている。身長は170センチメートルくらい。目には黄色い虹彩。後ろからのびている、これも黒い服で覆われた細長い尻尾といった人間には無い器官もあり、性別はパッと見ただけではどっち付かず……

 目の前にいるのは美少年のようだ。だが相手は異星人。このアンバランスさに私は不気味な感じがした。


 「逃げるぞ」

 相手はそう私に話しかけた。相手は異星人なはず。だが言葉は片言どころか少しの訛りもない。なぜ日本語をあんなに上手に話せるのだろう。すると相手は私の手首を強く掴み、腰が抜けた私を起たせようとした。

 「な、何するの?やめて……触れないで!」

私は大声でそう叫んだ。

(異星人に拉致なんて絶対されたくない!)


 すると相手は私を抱っこし、パワードスーツの中に入ると私を膝の上に乗せる。クッションの上に座った状態の相手。その上に中腰状態の私。元々1人用に造られたパワードスーツ。その中に2人も入ったのだから私が動くことも出来ない。

 すぐ目の前にはSF映画に出てくるような投影型のモニターいくつもがあったが、そんなものも気に留めず、ただ中腰の体勢を維持することに必死だった。

 恐怖から冷や汗が滴れ、閉塞感から乗り物酔いし、さらに相手がペダルを操作するために足をしきりに動かすため膝の上から滑り落ちそう。

 異星人と間接的に肌を密着する。その感覚に言葉も出ない。


 今は確かに空を飛んでいる。だがそんなことに少しも感銘などしない。ただ、少しでも外の空気を吸いたかった。

次回更新までお待ちください。

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