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手の持ち主
息苦しさで目を覚ました。
襟首が首に食い込んでいく。
次第に息をするのも困難になってきてはっとする。
後ろからもの凄い力で引っ張られていく。
布団に仰向けで寝ているのに何故服が引っ張られる?
何が起こっているのか状況が理解できない。
助けて、と叫ぼうとしたが声がほとんど出ない。
バタバタと暴れたがより締まりはキツくなるだけだ。
意識がもう危うくなり、よだれが垂れてきた。
これ以上はまずいと思い、力任せに飛び起きた。
服が破れる音がした。
なんとか起き上がる事が出来、すぐさま枕元を振り返る。
二本の手が布団から垂直に飛び出しており、破れた服をしっかりと掴んでいた。
俺は目を丸くしたがそれは次第に下へと引っ込んで行った。
悪い夢か何かだろうか?
少しして一階から階段を登って来る音が聞こえる。
やがてノックの音がして
「結城?どうかしたの?」
と母の声が聞こえた。
俺は少しホッとした。
大丈夫、ちょっと変な夢を見ただけと答えた。
「そう、ホントに大丈夫?ちょっと入るわよ。」
と母が言ったが、部屋には鍵をかけている。
そのことを言おうとした時、母の手が扉を通り抜けて鍵を開けた。
ギーと音がなり扉が開いた。




