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ロボット

ロボットには寿命がない。

永久的に錆びない合金が開発され、マシンの世界は華やかな金属音を立てて、益々栄えていった。

彼は最近調子の悪い関節のベアリングを交換するために金物屋に寄った。

腐食を知らぬ体は、小さな部品を入れ替えるだけで簡単に新品へと戻る。

彼は早く擦り切れない金属が出て欲しいと常々考えていた。


それは彼がリビングで国機放送の受信映像を、眼球の裏側のレンズに映していた時である。

「原子核リチウムイオン発電機」

なるものが開発されたと大手機械産業会社の社長が胸を張りながら語っていた。

スーツの下から見え隠れするボディはカメラのフラッシュの度に美しく映えた。

その優美な反射はロボットたちの繁栄そのものであるようだ。

実に多くのロボットたちはその大発明をすぐさま買った。

それは自分の心臓核にその機械を取り付け、心拍の運動力を利用して半永久的にリチウムイオンを発生させるというものだ。

これで月に一回の心臓核バッテリーの交換と、その際の記憶のバックアップ導入、そして動作間に起こるスリープ状態。

これら全てが一度に解決してしまうのだ。

彼らは快く過ごすことができた。

その際、いくつかの修理会社は潰れ、スクラップ業を主にして僅かに残ったが、彼らの生活にはあまり影響がなかった。

大手産業会社はさらに力をつけ、社長のボディはプラチナの如く、集められた光は止めどなく瞬いた。

世界は規則的に成長してゆく。

彼は無尽蔵にそびえ立つビルの隙間から遠慮がちに覗く太陽の光を見た。

空を覆うように手を伸ばすビルたちのせいで、世界はいつも暗がりの中に落ち込んだようであるが、暗視レンズに切り替えることのできる目には暗闇であろうと関係がなかった。

そんな暮らしがいつまでも続いた。

ロボットたちに一日の概念はあまりないため、いくら時が過ぎたのかは数えていない。

その間いくつもの技術が開発され、彼らの体はさらに軽く、強くなっていった。

高くなりすぎたビルのせいで昼夜が無くなってしまった。

美しく映えたボディは光はしない。

鈍い暗闇の中でもぞもぞ動くだけである。

産業は膨大になり、常に騒音が鳴り響いたが、彼らは電気信号のみで会話することができた。


そんなある日、彼がリビングで眼球の裏側のレンズに映像を写している時、

「反重力リチウムイオン結合機」

というものを開発したと、あの大手産業会社の社長が相も変わらない美しく滑らかな顔をして話していた。

世界はまたその大発明に酔いしれた。

しかし、ある一つの問題が起こった。

それは心臓核につけた原子核リチウムイオン発電機を外そうとすると、ショートを起こしてしまうということだった。

つまり、原子核リチウムイオン発電機を付けたものは、この大発明にあやかることができなかったのだ。

彼は愕然とした。

しかし、生活に特に変化はなかった。

悲しみも、まず感じなかった。

その内、反重力リチウムイオン結合機を搭載したロボットたちが登場した。

彼らは時代を引っ張って行く新たな分子となった。

ロボットに寿命はない。

しかし彼は思う。

老いるとは、外見や心ではなく、時の流れに乗れなくなることなのではないか。


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