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セレンディップな  作者: 島の住人
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誇大空中都市もいいところ



シギリヤ。キャンディー市の北東に位すること自動車で三時間、セイロンで最も知られた観光地だ。世界遺産番組等が取り上げる。


入場料はべらぼうだ。25ドル、もしくは(レートによるけれども2009年8月23日現在1ドル=115ルピーで)2875ルピー。島女のクマーリなら三週間分の稼ぎ。ドル、ルピー、いずれで払っても良い。日本円だと2300円。悔しいけれども日本の金は受け取らない。探訪してみたい古代ロマンチストは、ドルか現地通貨を携帯されるように。


UNESCO認定の観光サイトは、退屈だ。


あるのが廃墟のみなのは書いた通り。大きな岩のてっぺんに1500年前の王宮跡。建物は残らない。セイロンの原風景たるココナツ林を見下ろす景色はまあ最高で、せめてもの慰みだ。


ところで、廃墟へ至るまでにはスズメバチが出る。何十人と病院へ運ばれて騒ぎになる。そういう時は道を封鎖する。


巣を取りはらったら良かろうと思う。自然にできたものは放っておくのだという。


スズメバチの日は、途中、洞穴にかいたシギリヤ・レディーを見て引き返す。絵は一見の価値がある。あるといって、月給の75%となると、どうだろう。(地元の人間は60分の1でいい。龍安寺の拝観が五百円として、ではスリランカより観光の皆さまに限って三万円ですと言ったら嬉しいか。)


加えて、職員が不良だ。道を封鎖しようと券だけは売る。角川君が「私はツーリストではない。キャンディーで働く者だ。今日は上に登って遺跡を見る為に来た。これは払い戻してくれ」と抗議したところ、「払い戻さない!うせろ!」と怒鳴りかえす。


これだったら行くにも及ぶまい。


どっちにしても、奈々さんとジナダーサが妙な話になっちゃったのは、思えばこの日、角川君がシギリヤ見物なんかに出かけたのがまずかった。



脚注

先月、(2009年)七月下旬のこと、福田康夫前首相が麻生総理大臣の命を受けてスリランカに入国した。もはやただの代議士に過ぎず、政府専用機ではなく、フツーの旅客機でフツーの人が使うビジネスクラスでのスリランカ入りとなった。空港ではお出迎えの花束もない。総理大臣時代とは違った待遇だ。

何しに来たかといえば、博物館の開館式に出るためで。ほかにも用事があったのか分からないが。キャンディーではペラヘラ祭りが始まっていたし、見たのかしらん。

博物館とは、日本国民が贈る物との触れ込みで三億数千万円使って建ててやったシギリヤ博物館だ。岩の近くにできた。

スリランカ側は、ラージャパクサ大統領以下、要人が列なり、賑々しく式が執り行われたので、ニュースだった模様。

近代的かつ立派な建物は、中に喫茶室が作られる予定だ。そうしたら、「史跡があるばかりで、遊園地は絶無に等しい。気の利いたティールーム、評判の食べ物屋もない。」の二文は、シギリヤには当てはまらなくなるだろう。



『セレンディップな』は2009年に執筆されました。それに作者島の住人が再度手を加えたのでここに掲載するものです。〔 OufPuf介護福祉研究所 〕

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