文化都市キャンディー
人口12万の、山あいに市街をなすキャンディーは、2000万人いるセイロンの文化的首都だ。キャンディーへ行かぬではセイロンへ行ったことにならぬが、キャンディーさえ知れば、セイロンの大体は知ったと思ってよい。地図上、ほぼ島の中心にあたる。
下町区域の全部が世界遺産だ。
綺麗な町ではない。
空気が汚い。どす黒いガスを吐きながら扉をガタピシさせて走るインド製のバス。通ったあとは呼吸しかねる。
至るところにゴミが落ちている。水路は、良くこれで目詰まりを起こさないで流れるなと感心する。食べかけのロティやら乗らなくなった自転車やら、さまざま放り込んである。
町並みは、植民地時代の古ぼけた建物と、外観を今日風にあらためた商店とが入り混じり、調和を欠く。調和を欠く点は、京都と変わらない。キャンディーの場合、建物は古びるのに任せっきりで、手が入らないのが普通だ。(クイーンズ・ホテルを右にとってキャンディー湖へ突き当たる通り、『D.S.Senanayake通り』は、目障りな電線がないぶん比較的面白い景観。)
快適な町でもない。コンビニがない。疲れたからちょっとお茶なんて粋な喫茶店がない。Devon といって、以前ダーサが働いていた人気レストランは、日本の最も下のファミレスより数段落ちる。テーブルは油じみと食べこぼしが多い。席は黒ずんでいる。トイレは見たくないし嗅ぎたくない。それでも、味と衛生の両面を考えたら、やはりオススメは Devon か。でなければ、ホテルの食堂、あるいは町外れのレストラン・リヨンで食べるほかない。
不潔なテーブルで目玉のぎょろりとした蝿にたかられるのさえ気にしないのであれば、お食事処はいくらもある。
どうしてそんなキャンディーが一国の文化を代表する観光地なのかというと、シンハラ王朝最後の都がおかれたことと、釈迦の糸きり歯があることから。




