表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セレンディップな  作者: 島の住人
11/16

もう少し推理



ゆえに珍しい「現象」あるいは「場面」に出くわす感じだった。「女」を見るのではなかった。初めの一刹那は。


が、なんぼダーサでも刹那の後にはまことの事態を了解しなかったはずがない。


そこで、お得意の「道化」を演じた。それは、照れ隠しであり、人に可愛がられる所の、この男一流の作法でもあった。


「ダーサめに気兼ねなさいますな。ロッキーかルーシーのごとくおぼしめしくださいまし」


暗黙のメッセージをこめて、敢えて退室しなかった。それのみか、中へ入り、しゃべった。顔を覗き込むふうをしてほかへは目もくれない。犬が飼いぬしを見上げるように、遥か長身の相手に訴えかけた。


「お電話でございます、カミン、カミン」


つとめて事務的に、それだけを訴えた。用件がすむなり、ドアは閉めないで行った。


閉めないわけは、この事件が「事件」でない、いちいち気にとめるに及ばない茶飯事なのだ、とそういう意味を持たせた。自分にしてもお嬢様にしても、闖入しもせず、されもしない。


急いでさがりなどした日には、どうだろう。


若い女を慌てさせ、恥ずかしがらせ、辱める結果となる。ダーサはダーサで下した瞬時の判断だった。


阿吽の呼吸、立ち尽くしていた側は、そのまま立ち尽くすのが、最善の策とさとった。微動だにすることなく、いと小さき者を見すえてひとつ


「O.K.」


といいすつるや、腰に届かぬばかりの黒髪にふたたびドライヤーを使いはじめたのである。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ