AM02:30の独白。
研究者の、独白。
明かりのない、暗い部屋で
ふと、目が覚めた。
時計の針は、2時30分を指している。
まだ、太陽が昇ってすらいない。
……とはいえ、ずいぶんと寒いな。
「あぁ……雪、降ったのか」
地面にも、枯れ木にも、雪が積もって
庭を白く染め上げている。
どうりで寒いはずだ。
棚から、一番きれいなビーカーとガラス棒を取り出し
研究者、と聞いて連想する人も多いであろう
『ビーカー珈琲』を作る。
実際、珈琲にビーカーを使うことは
ほとんどないのだが、昨日珈琲カップを割ってしまったので
……まぁ、仕方が無い。
珈琲片手に机へ向かい
散らばった書類をまとめていく。
その時、机の上にある写真立てに気が付いた。
きっと、あの少女が置いたのだろう。
いつからあったのかわからない
俺も俺だとは思うが。
その写真は、皆と撮った唯一の写真。
このとき、少女が言った言葉は
今でも覚えている。
『私たちが出逢ったことは
運命じゃないけど偶然でもない。
これはきっと、必然だった』
「仲間、ねぇ……」
本当は、仲間になんか
なるつもりはなかったのだけれど。
だらだらと、長引かせてしまった彼等との関係は
おそらくこのまま、続いていくのだろう。
あの少女が、思った通りに。
操られている自覚はある。
それでも、手放すことは出来ないのだ。
皆、もう慣れてしまったから。
この、曖昧な繋がりに。
「なんて、くだらない」
あたたかな関係。
朝日が昇って、また一日が始まる。
今日は彼等のもとへ行き、先ほどの八つ当たりを敢行することにしよう。
街が、騒がしくなる前に。
私が書くと、短編はシリアスになるのですが
奇跡的にほのぼのと終了しました。
完璧に自己満足です。
……まぁ、ハッピーエンドってことでいいんじゃないでしょうか。
読んでいただいてありがとうございました。