朝日が昇るまで
とある老人ホームでの出来事。
私は、この老人ホームで介護師をしている
25歳の独身女性です。
ここには、別に介護しなくてもいいんじゃないか?
と思ってしまうような、元気で面白いお年寄りの方々がいます。
「25歳にもなって、男の一人もいないとは・・・」
「佐藤さんには関係ありませんから。」
この人は、佐藤義雄さん。75歳。
若い彼女さんが、何人もいるみたいでいつも違う女の人が面会に来る。
そのたびに、女の人の甲高い悲鳴が聞こえてくるのは気のせい、気のせい。
彼女が帰った後、ゴミ箱にティッシュが山のように積んであるのも気のせい、気のせい。
「あぁ、今姉ちゃんいやらしい想像してただろう!!」
「それは、あなたでしょう?仲間さん。」
この中学生のような反応を見せるのは、仲間幸男さん。
自称40歳。
まぁ、そんなことはありえないんだけど。
見た目はとっくに還暦を越えているおじいちゃんだ。
口癖は
「心も身体も少年のままさ」
・・・。
ありえない、ありえない。
この爺さん、普段は天然ボケのキャラっぽいけどじつはものすごい腹黒。
面会にくる人たちは、真っ黒なスーツにグラサン、頬にはナイフで斬った後が・・・。
あはは。
しかもその人たちには、
「兄貴」と呼ばれている仲間さん。
だから、余計な詮索はできない。
誰でも、自分の命は惜しいものです。
そうおもいません??
「さっきから、誰に話しているのかな?私を無視して。」
仲間さんの顔が、近くにあった。
目は、すわっている。有無を言わさない目。
そうはおもいませんか・・・?
ねえ!
「まあまあ、そう怒らないで、仲間さん。」
「鈴木さん。」
唯一、このホームでまともな入居者、鈴木さとねさん。
優しい、優しいおばあさんだ。
「ほら、このお茶でも飲んで心落ち着けてくださいよ。」
そう言って、差し出したのはお茶と呼ぶことは一生できないだろう
まどろんだ色の黒い物体。
液体とは呼べない、ゼラチン質。
ありえない、ありえない、ありえない。
マジで、飲めない。食べれないですから。
お誘いを受けた仲間さんは、目に殺気をみなぎらせていた。
それに、笑顔で答える鈴木さん。
鈴木さんが一番怖いかも・・・。
私は、思わず人様のラブシーンを見たかのようなスピードで、その場を離れた。
この老人ホームの名前は「朝日が昇るまで」
ココには一風変わった方たちが集まってくる。
誰か、誰か私を助けてください。
ずっと、つっこみ続けないといけない。
本当は、ボケなのに・・・。
コメディーです。読んでくれた方有難うございます。
次こそは、面白いのを書きたいとおもいますので、評価・感想お待ちしています。