↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/1

第1話 魔王に正義なんて分からない!!

俺は魔王だ。そして今現在、絶賛勇者パーティーと交戦中である。

今まで蹴散らしてきた勇者パーティーの数は計り知れない。

だというのに今闘っている勇者たちは今までとは比べ物にならないほど強いようだ。

「クッ。人間風情が生意気な。」

「口を動かす前に身体動かしたらどうなんだい?魔王さん。」

気づけばそいつの顔が俺の眼前にまで迫っていて、、、


グサッ


「この俺が、、、刺された?」

気づけばそいつの剣が俺の腹部に深々と突き刺さり、

貫通した後に壁に突き刺さり俺は身動きが取れなくなった。

そして動けない俺に対して魔法使いが最大火力の魔法を放ってくる。

「これで終わりだ、魔王。炎に焼かれて灰となれ。」


インフェルノ


そういうとともに辺り一帯が一瞬で炎に包まれる。

この俺が、死ぬ?いや、そんなわけがない。

「俺はやすやすと死なねぇよ。」

俺は腹部に刺さっていた剣を抜いて薙ぐ。

すると炎が避けて何もない空間ができあがる。

そして勇者の剣はこちら側にある。

その隙を俺が見逃すわけもなく剣を投げ捨てて一瞬で

勇者の懐に入り込む。勝った。そう思った。

しかし俺の拳は止められた。勇者に手首を掴まれていた。


「爆ぜろ」


そいつがそう言うとともに俺のまわりは火炎に包まれた。

ゼロ距離かつ手首を掴まれていた。避けることはできなかった。

しかしゼロ距離で魔法を放つということは勇者自身も避けられないということだ。


そしてこの世界から魔王はいなくなった。

勇者という正義の象徴を犠牲にして。


目を覚ますとベッドの上だった。

「あれ、俺死んだんじゃ、、、」

ひとまず身の回りの情報を集めてみることにした。

わかったことは今の俺が人間であることと

なぜか国王の城へ招待されていたのだ。

状況が掴めないままとりあえず国王のもとへ向かうことにした。


「ずいぶん派手な城だな。」

自分が澄んでいた魔王城との雰囲気の違いに感心しながらも

俺は城の中へと入っていった。

入って真っ直ぐ進むと大きなスペースに出た。

そこには鎧を着た護衛のような人が100人程度部屋の中心を

囲うように立っていた。そして真ん中のスペースには3人ほど立っていた。

1人は斧使い、1人は魔法使い、1人は賢者といったところだろうか。

「勇者パーティーか?」

俺はそうつぶやいて真ん中のスペースへと歩を進めた。


国王と覚しき人が部屋に入ってきた。数段高いところにある椅子に

深々と腰を掛ける。そしてその男は言った。

「よく来てくれた。歓迎するぞ、

アックス(斧使い)、ヘルメス

魔法使い、輪廻

賢者、ミカエル


勇者 ゼノ


この世界の正義の味方として、よろしく頼んだぞ。」

まて。俺は周りを見回す。あいつがアックス。あいつが魔法使い。

あいつは賢者。そして、他にこのパーティーらしき人はいない。

となると。俺が、、、勇者?正義の味方?

え待って全然嫌なんだけどなんで他のやつのために闘わないといけないの。

そもそも俺は魔王であって、、、

「ゼノ殿?大丈夫か?」

国王は不思議そうに俺を見つめながら言った。

あ、ゼノって俺のことか。なんか適当に言っとくか。

「何でもありません。ご心配感謝します。」

そして勇者パーティー誕生の式典が開かれた後に4人で集まっていた。


「俺の名前はヘルメス。見ての通り斧使いだ。

前衛なら任せてくれ。」

「私は輪廻。魔法使いよ。どんな魔法でも割と使えるけど、

一番得意なのは光を応用した魔法よ。」

「私はミカエル。賢者よ。よろしくね。」

、、、あ、次俺か

「俺は、えっとぉゼノ?勇者らしいです。よろしく。」

なんで疑問形なんだよ、と言うツッコミとともに笑われてしまった。

勇者って所謂正義の象徴だろ?俺正義とかわからないんだけどなぁ

待てよ。

勇者という存在において必ず必要なものはなにか。


魔王


それこそが勇者を勇者たらしめる存在である。

絶対的な悪がない状態で絶対的な正義はいらないのだ。

ってことはこの世界には魔王がいるのか?

気になったので聞いてみることにした。

「この世界って魔王いるのか?」

「魔王いなかったら勇者パーティーが組まれるわけないですよ。」

ミカエルが教えてくれた。さっきから変なこと言うやつだなと

ヘルメスと輪廻が笑ってくる。俺が笑いものにされてる?

殺してやろうか。

あぁ、ここで殺したいと思うあたりやはり俺に正義は向いてないらしい。


一旦解散して宿に戻った。旅の出発は明日の朝かららしい。

正義の味方、嫌だなぁそう思っていると

1つ面白いことを思いついた。


「旅始まる前に逃げるか。」


そうとなれば善は急げだ。

正義が何なのかわからない俺が勇者なんてやったら迷惑だろう。

うん、そうに違いない。きっとそうだ。

そして俺は荷物をまとめて夜の街を歩いていくのだった。


1人で旅を初めて1年くらい経っただろうか。

どうやら俺は逃げた勇者として指名手配をかけられており

勇者自体は別の人がその座に座ったらしい。

指名手配をされているせいで時々声をかけられる。

「お前、逃げた勇者だよな。弱いから逃げたんだろ?

だったら大人しく俺について来い。そしたら手は出さないから。」

お金に目がくらんだ愚かな人間はだいたいこう言ってくるのだ。

でも相手が悪い。なんたって俺は元魔王なのだから。

俺はゼロ距離でそいつに蹴りを叩き込む。

それだけでそいつの身体は数百メートルほど飛んでいく。

「身の程をわきまえろ。」

もうそこにはいない人間にそう言う。


そしてさらに歩き続けて数日間、

ついに目的の場所に俺はたどり着いていた。

重たい空気、禍々しい城、黒雲に覆われた空。

そう、魔王が統べる国だ。

俺は魔王だったときのオーラを全開にしてその街を歩く。

するとあら不思議。

魔物たちが襲ってこないのである。

どうだこの俺に恐れおののいたか。

そう気分上々で城に入ろうと思ったときに

門番と覚しきやつが声をかけてきた。

「誰だ、お前。人間か?」

「いや、元魔王だ。」

「は?何言ってるんだお前。そんなこと言ってると牢にぶちこ」

その瞬間


ゴォン


という轟音が響き渡る。

城壁にそいつがめりこんだ衝撃音だった。

もちろんそうしたのは俺だ。

話が通じなそうでめんどくさかったからしょうがないよね。

うん、しょうがない。


そして俺は魔王城に入っていくのであった。

前世の記憶を思い出しながら俺は魔王の部屋に向かう。

見張りに見つかるとめんどくさいので

ただの魔物には視認されない程度の速度で移動した。

「よし、ここだな。」

俺は無事魔王の部屋の前までたどり着いていた。

ドアを開ける。

そいつと目が合った。

「あ?何だお前。」

魔王と覚しき魔物はそう言った。

さすが現役魔王だ。他のやつとは比べ物にならない圧だ。

「元魔王ってところかな。元魔王さん。」

そういうとそいつは頭に血が上ったのか地面を蹴る。

すさまじい速度だ。だが

「遅い。」

俺はそいつの拳を片手で受け切る。

「なっ。人間ごときに、止められた?」

「だから言ってるだろ。俺は"元魔王"だ。」

そして俺の拳は簡単にそいつに突き刺さる。

流石にこれで死んでないよな?

そいつは立ち上がった。よかった死んでなかった。

「最初は勇者かと思ったがどうやらその強さ、

本当に魔王だったのですか?」

「だからそう言っているだろう。」

「だったら貴方様は、、、」


そうしてなんやかんやあって俺はこの世界の


"大魔王"


として世界に君臨することとなった。


大魔王、そう呼ばれたのは過去に1人しか存在しなかった。

魔王と呼ばれるには強すぎる、この世界のバグのような

存在。それこそが大魔王である。

そんな大魔王が今この瞬間誕生した。

それからは楽しい生活だった。

昔のように配下を操り人間の勢力と戦う。

昔のような生活だ。

人間でありながら魔物の頂点となる。

そんなことが許されるのかと思うかも知れないが

魔物の世界は強さが全てだ。

俺はこの強さで人間を滅ぼす。

人間となったことでどうやら魔王のときより

スペックがあがったらしい。

棚からぼた餅ってやつか。

やはり俺の根底にあるのは悪。

俺は決して正義の味方になんてならないのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。