6話 訓練開始
R7年9月に物語を初投稿をさせていただき、勢いのみで投稿しておりましたが、文章が上手だとはお世辞にも言えず、一度戦略的撤退を致しました。
ただ、楽しく投稿はできていたので、自分なりに構成を考え直し、再投稿した物語です。
まだまだ文章は稚拙ですが、最後まで物語を描けるように、精進致します。
もし覗いてくださる方がいれば、前向きなアドバイスを頂けますと幸いです。
瞬平は、フカフカのベットの上で目を覚ました。
昨夜は、ブランシュの料理を堪能した。
食事は瞬平にとっても、馴染み深い料理が多く、安心して食べられたのだ。
こんな山奥なので調味料不足を心配していたが、そんな事もなく、しっかりと味がついていた。
薄味と濃い味なら、断然濃い味派の瞬平にとては、嬉しい限りであった。
しかし、どこから食材を仕入れてきたかは、不明だ。
備蓄してあったのだろうか?
なぜか、考え始めたらお腹が痛い気がする。
まぁ、病は気からとよく言いますし、世の中には、考えない方が幸せな事もある。
瞬平は、他の事へ意識を無理矢理切り替えることにした。
「今日も情報収集するかな」
瞬平はベットから、のそのそと這い出て、スマホでIVCの配信を再生した。
『アリオン殿下が、公の場に御姿を表さなくなり、帝国民から様々な憶測が……』
地球で朝支度をしながらTVの電源をつけるように、IVCの配信を何とはなくに流した。
瞬平は、その配信の音声を聞きながら、伸びをして身支度を始めた。
流れている配信は、帝国撮影ギルドの配信であるようだ。
昨夜も、自室に戻りIVCのコンテンツを観覧し驚いたのだが、テレビ局で制作される報道番組的な配信や、ユー○ーブみたいな個人配信も数多くあり、多岐多様であった。
だが、アクセス範囲の縛りだろうか?投稿元が皇国と帝国どちらかの国の、映像ギルドまたは、撮影ギルドに所属しているチームからの配信が多数を占めていたのだ。
そんな皇国と帝国の配信を覗いていると、気になった配信があった。
それは、桃色髪をした双子の兄妹の配信だ。
まず、双子の兄妹は、皇国の皇族らしい。
さらに、年齢は恐らく10代半ばから後半。
兄は端正な顔立ちで、妹もべらぼうに可愛い。
瞬平の若返りに合わせ、好みも若返ってしまったのかと心配になるほどだ。
念の為、瞬平はロリコンじゃない、はずだ。
妻は、童顔だが。
これ以上のことを考えると、父に戻れなくなってしまうと、必死に思考を停止した。
だがもちろん、気になったのは容姿だけじゃない。
配信内容だ。
なんでも、あと数年で皇国は皇継承戦が開催されるらしい。
しかし、現時点で掟を破る過激な派閥があり、その派閥の影響で派閥抗争が勃発していて、非常に治安が悪い状況らしい。
配信者の明るい雰囲気とは裏腹に、物々しい雰囲気を感じる内容であった。
瞬平は、そんな昨夜の配信を思い出しながら、たまに優しく声をかける。
「たま、おはよう」
ベットで丸まるたまの頭を撫でた。
「にいやん、おはよう」
たまは、その場で伸びをして動き出した。
瞬平はたまを起こした足で、陶器の器に張られた水で顔を洗った。
「ふー」
器から顔を上げると、瞬平の口から吐息が漏れた。
目の前の鏡から、若い時の己の顔が覗いている。
どうせ若返るなら、もう少しでいいからイケメンにならなかったのかと、まじまじと鏡を覗いていた。
すると、ブランシュが部屋に来たようだ。
「瞬平様、おはようございます。こちらが、本日のお召し物です」とブランシュが、瞬平の服を持ち、自身は白いチャイナ服風の装いで登場した。
ブランシュの服には、深いサイドスリットがある。
そこから見える、シルバーのヒールを履いた艶めかしい脚は、朝には刺激が強すぎた。
正直に、瞬平は脚派だ。
そして、まごうことなき男である。
脚に目が反射的に動いてしまった。
その瞬平の姿をみたブランシュは、これ見よがしに脚をスリッドから出し、薄く微笑む。
ブランシュは、なかなかいい性格をしているようだ。
これは瞬平は、無視一択だと思った。
ブランシュが持ってきた服を無視して、部屋の外へ向かい歩き出した。
「瞬平様、申し訳ございません。置いていかないでください。瞬平様に喜んでいただきたい一心でございました」とブランシュが必死さを醸し出し謝罪してきた。
だが正直に、かまって欲しいのがバレバレである。
「そう?でもブランシュも服似合ってるよ」と瞬平は振り返って言った。
そうすると、ブランシュは満面の笑顔をさかせ、くるっと一回転して首を傾げ膝を少し曲げ可愛いっ子ぶった。
んーむかつくけど可愛い。
「はい、はい、めちゃくちゃ可愛いですよ」と瞬平は、仕方がないのでブランシュを褒めた。
「えーそれならもっとしっかり褒めてください」とブランシュが面倒な事を言ってきたので、瞬平は無視をして話題を変えた。
「ブランシュ、それ?俺が着るの?」
「はい、ペアルックです」とブランシュは笑顔で言った。
ブランシュが用意してくれた服は、男のチャイナ服風というか、カンフー風といえばいいのか、瞬平には分からないが、首が詰まっている白い服に、黒いズボンだ。
ブランシュの服もそうだが、生地自体は光沢もなく、そこまで派手には見えない。
その為、身に付ける事へ対して忌避感は、あまりない。
しかし瞬平は、言った。
「俺、顔でかいから首が詰まっている服似合わないよ」と。
ブランシュは、「大丈夫です」と前置きを入れて話を続けた。
「上のお洋服は、体のシルエットが大きく見えるようになっておりますので、お顔は大きく見えませんよ。また、何よりも動きやすいと思います。お靴も、今までのお靴より動きやすさ重視です」
靴は、ソールも黒いスリッポンのような靴だ。
瞬平は、ブランシュがせっかく準備してくれたので、そう言う事ならと、着替えようと思い、ブランシュに言った。
「部屋の外で待ってて、着替えるから」
「えっ!お着替えのお手伝いを」
「たま、頼む」
「にいやん、任せて」
たまは、ブランシュの目を見て体を明滅させた。
ブランシュは、たまが光った瞬間に、一瞬で退出して行った。
瞬平は、着替え終わった。
「にいやん、かっこいいよ」とたまは言う。
「ありがとう」
瞬平はたまと共にブランシュが待つ、廊下へ向かった。
ブランシュは、瞬平の姿を見ると、2回頷き言った。
「これで私たちも夫婦ですね」
「いやいや、ペアルックしたからって夫婦になる訳じゃないでしょ、妻とだってペアルックした事ないわ!」と笑いながら言った。
「でも……ペアですし、2人で1つじゃないですか?」とブランシュは振り向き、片目をパチンとつぶった。
幻影だが、瞬平にはハートがゆらゆらと飛んでくるように見えた。
瞬平はそれを手で払い、言った。
「ブランシュは、どごでウィンクなんて覚えたのさ?」
「んー可愛い女性の嗜みです。……嘘です。ドラマです」
ブランシュは人差し指を顎に当て、傾げていたが、瞬平とたまの無言の圧力に負け、直ぐに言葉を撤回した。
「私は一年に一回、館の管理の為、目覚めておりました。その際に、情報収集もするのですが、配信ドラマに目が止まってしまいまして、ここ何年かハマっております。ちなみに、好きなジャンルは恋愛で、お勧めのドラマは、『あなたに、届けこの想い』この作品は、シリーズ化しているのですが、絶対どのシリーズにも一回はヒロインのウィンクシーンが出てくるのです。もうそれが、切ないウィンクだったり、ドギマギするウィンクだったりと、心から離れません。最新のシリーズでは、私の推しが主演だったのですが、私が今したみたいに、振り向き様の突然のウィンク、鼻血ものでした。私、鼻血出ないですが」とブランシュは茶目っ気たっぷりで言った。
そのブランシュの話を聞き瞬平は、思う。
薄々感じていたが、こいつオタクだと。
さらに、オタクが勧める恋愛ドラマ……少し興味がある。
だが、自分がブランシュのおすすめドラマを鑑賞したら、きっと最後まで観れないだろうなとも。
クッションを抱えなければ、一瞬たりとも観れないであろうコテコテなシーンを想像して、瞬平は被りを振った。
その後朝食の為、食卓についてもブランシュの話は一向に終わらなかった。
「近いうち、みんなで鑑賞会です!約束ですよ」
「うん、うん、わかったよ」と瞬平とたまは、コクコクと頷く。
オタクの圧は強すぎる……
そしてブランシュが、席を立ったタイミングで瞬平とたまは、お互いを見合って苦笑いをするしかなかった。
瞬平とたまは自室に戻った。
瞬平は、ソファーに腰を落ち着け、ほっと息を吐き言った。
「たま、ブランシュのあれは精神を鍛える修行か何か?昨日夕飯時の話しだとこれから、訓練って拷問ですか?」と朝から疲弊した瞬平は、言った。
「にいやん、訓練は絶対に必要だよ。昨日も話したけど、大命樹を目指す以前に、ここテルミヌスは、戦いに溢れた世界なんだ。だから、どんな戦い方でもいい。外に出ても、生き残れる様にならないと。だから、基本は大切だよ。まずは、走れる様にならないと。あと、にいやんは体硬いからストレッチだよ」とたまは言った。
「うん、ごめん。たまが俺のこと考えてくれてるのに、不謹慎だった。よし!がんばるか」と瞬平はたまに謝罪して立ち上がった。
「にいやん、僕もお手伝い頑張るね」とたまは言い、瞬平と共に外に向かった。
外では、ブランシュがなぜか竹刀を持って、待ち構えていた。
だが、もう奴の考えは想像できる。
完全にブランシュは、形から入るタイプだ。
熱血系の先生をドラマで見たのだろう。
話が進まないから、無視だ。
「瞬平君待っていたわ!昨日伝えた通り、今日から走り込みだ。私も全力でサポートする。君も気合いを入れて訓練を行うんだ」
「うん、頑張るよ」
瞬平の返事に、ブランシュは竹刀を地面に叩きつけた。
「教官への返事は、はいかYESだ!」とブランシュが叫んだ。
「はーい」と瞬平は言った。
その刹那、ブランシュが「気合いが足りない」とマジで竹刀を打ち込んできやがった。
辛うじて迫りくる竹刀を瞬平は避けた。
だが、避けた事が間違えであった。
ブランシュは、言った。
「く、小癪な、次は外さん」と。
ブランシュが走り出した。
想像してほしい。
チャイナ服の美女が、竹刀を振りかぶって、無機質な笑顔を浮かべ迫ってくるのだ。
瞬平は、叫んだ。
「ギャー助けて」
瞬平は、全力で逃げた。
瞬平は、元々陸上部だった。
だから、走る事に自信があった。
だが、奴は化け物だ。
走っても走っても、全く距離が離れない。
後ろを振り向くと、息一つ乱さず、目を見開きニヤッと笑う。
こ、怖すぎる。
と、止まることができない……
たまがその瞬平の姿を見て、ボソッと誰にも聞こえない声で呟いた。
「僕のやる事がない」
たまは巨木の枝の上で、丸くなった。
しかし瞬平はそのまま、午前中いっぱい走り続けたのであった。
走り終わり、ブランシュとたまが言った。
「瞬平様なかなか走れますね」
「にいやん、思ったより走れてたよ」
瞬平は、息を切らし大の字のまま言った。
「お前ら、俺は人間だぞ。殺す気か」
「いえいえ、それだけ声を出せるなら、まだまだまだいけましたね」
「うん、僕もそう思う」とブランシュとたまが言い、さらにブランシュが続けた。
「まぁ今日は1日目ですし午後は、昨日伝えた通り座学です。そして、夕方は、また走り込みましょう」
その後、瞬平は疲れすぎて無理と部屋に逃げ込んだが、ブランシュに肩で担がれ、全ての予定をこなす事となった。
こんな感じで、地獄の訓練の日々が幕を上げた。




