4話 ブランシュ
R7年9月に物語を初投稿をさせていただき、勢いのみで投稿しておりましたが、文章が上手だとはお世辞にも言えず、一度戦略的撤退を致しました。
ただ、楽しく投稿はできていたので、自分なりに構成を考え直し、再投稿した物語です。
まだまだ文章は稚拙ですが、最後まで物語を描けるように、精進致します。
もし覗いてくださる方がいれば、前向きなアドバイスを頂けますと幸いです。
瞬平とたまは、ドアを閉めた。
閉めたドアの音が、ホールに響き渡る。
たまと、この館を探索するにあたり、上から虱潰しに調べると決めたので、屋上を目指した。
この館は三階建で、三階からさらに階段を上がり屋上に出る事が出来た。
屋上からは、外の遺跡群を上から確認できた。
やはりこの建物の周辺には、倒壊せず残っている建物は見当たらなかった。
だが、巨木と館の後ろの更に先に、その建物は残っていた。
「おー絶景」と瞬平は思わず、声を発した。
まずは、左右の山に聳え立つ塔が2基確認できた。
この2基はいずれも、過ぎた年月相応に朽ちている様に見受けられた。
そして、更に奥の断崖絶壁上に、8つの尖塔が特徴的な古城が、鎮座していた。
外観は、太さや長さが違う塔が8つ崖側から、1・2・3・2基と並んでる様に見えた。
「たま、あのお城はなんだかわかる?」と瞬平はたまに質問した。
「あれは、この辺りにを治めていた人達の本拠地みたいだよ」とたまは答えた。
この辺りは、その昔も自然豊かで山と海に囲まれていた。
昔もこういった地形は、守りやすく住みやすいとされていた。
それゆえに、当時の権力者達が自身の力を誇示する為に、奪い合った歴史ある場所だとのことだ。
「いずれは、あのお城にもいけるかね?」と瞬平は、言った。
「そうだね」とたまは頷いた。
館の中に戻り、3階から順に部屋の確認を行った。
部屋は空き部屋が多かったが、ベッドや机が置いてある部屋、大きな机が置いてある部屋、調理場に浴室、各階に給仕室やトイレがあり、設備が生きていているので、最低限の清潔と人間らしい生活は確保できそうであると瞬平は、胸をなでおろした。
1階の1部屋を残し全て見終わった。
今までの部屋からは、めぼしい物が見つからなかった。
ちなみに、正面入り口入って1階左の部屋には、修練場らしき大きな部屋があり、その奥には地下への階段があった。
階段を降りていくと、錆びた臭いが充満した牢屋があった。
瞬平は、白骨死体かなんかが出てくるのではないかと、ヒヤヒヤしながら確認作業を行なったが、特に何もなく取り越し苦労となった。
「最後の部屋だね。恐らく動力室的な部屋かな?」と瞬平は言った。
「恐らくそうだと思うよ」とたまが同意を返してくれた。
最後の部屋は、他の部屋よりも大きな扉であった。
扉を開けると、さらに左右に扉があり、中央には地下へ続く階段があった。
まずは、向かって左側の扉から確認を行なった。
左側の部屋には、簡単な机と椅子が置いてあり、部屋の奥には階段が続いていた。
階段を降りていくと武器庫があった。
武器は、ハルバードやグレートソードといった大型の武器が多い。
ハンマーや弓も置いてあるが、瞬平に扱えそうな、大きさの武器はあまり無かった。
「これはナイフかな?」と瞬平は言った。
長さは40cmぐらいだろうか、地球で言うサバイバルナイフに形状は似ていた。
瞬平は、護身用として頂戴する事にした。
次は、右側の部屋を確認した。
この部屋は、残念ながら調べる事ができなかった。
正確に言うと、部屋には入れたがその先の扉が、全く開かなかった。
そして、最後は部屋中央地下への階段だ。
地下へ階段を降りていくと、これまた大きな扉があった。
大きな扉を開けると、なんらかの機械の中央に大きなクリスタルが設置してある。
クリスタルは、今にも消えそうな弱々しい光を放っていた。
部屋は、他の部屋同様に入り口付近のスイッチを押すと、明るくなった。
明るくなった部屋には、クリスタルをぐるっと囲う様に、機械というよりコンピュータに近い機器と20脚の椅子が配置してあった。
「こ、これは、管制室?メチャクチャ、近未来的な感じでかっこいい。アニメに出てくる司令室の様だね」とテンション高めに瞬平は、言った。
「アニメってよくわからないけど、恐らくここが、制御室だよ」とたまが冷静に答えた。
そして、明るくなり気がついたのだが、上座の奥に、先進的なデザインの鎧が、3領立位状態で並んでいる。
瞬平は、この星の文明レベルは地球の現代よりも低いと考えていたが、この空間だけを見ると見当違いの可能性があると、認知したと同時に、地球と同じ物差しで物事を測ってはならないと認識をあらためた。
コンピュータを調べていると、上座のコンピュータの画面に大きな手のマークが、薄く光っていた。
瞬平は、何とは無しにそのマークに手を合わせてみた。
その瞬間、クリスタルの光が強くなった。
手がマークにくっついた。
『8色確認。マスター登録完了。パワーセービングモード解除。施設稼働率20%へ移行』
たまは、瞬平の元に駆け寄ってきた。
「にいやん、大丈夫?」と焦った声色で言った。
瞬平は、手をマークから離そうとしているが、磁石の様な力で引っ張られ、手を離す事が出来なかった。
それどころか瞬平の体から何か、得体の知れないエネルギーが吸収されていると感じ、体が強張った。
だが、わずかな間を置いて手のマークから手を離せた。
瞬平は、自身の手を凝視後、たまに、自身に異常はないか確認した。
たまは、瞬平の周囲をぐるりと一周し、ホッと息を吐いて言った。
「問題ないよ」
瞬平も、ほっと息をついた。
その時、『ガチャン』と何が動く音がした。
瞬平とたまが、その場で一瞬固まり、後ろへ振り向くと、鎧の中から白髪の端麗な女性が、白いボディースーツを身に纏い、非の打ち所がない笑顔でゆっくりとこちらに向かってきた。
「にいやん、動いちゃダメだ。あれはアンドロイドだ。木と更新した時見たよ。絶対に敵対しちゃダメだよ」とたまは、硬い声色で言った。
アンドロイドが足音をたてずに近付いてきて、瞬平達の前で立ち止まった。
そして、すっと片膝をつき口を開いた。
「お初にお目にかかります。当館の再稼働にお力添え頂き有難う御座います。今後は、私ブランシュが当館の管理と主様の身の回りのお世話を致します。どうぞよろしくお願いします。また、差し支えなければ、主様のお名前をお聞かせいだだけますか?」
「主?」と瞬平は自身に指を指し聞いた。
ブランシュと名乗ったアンドロイドは、そのまま頭を上げずに、返事をした。
「はい」
ブランシュの声は、機械じみることもなく、抑揚がしっかりとあり、端的に言うと、耳心地が良く美声であった。
そして驚かされたのは、その容姿だ。
雪の様な白髪は長く、透き通た肌、金色の瞳に9頭身の体。
さらに出るところは出ている、女性らしい均整が取れたスタイル。
完成された美に、頭を殴られた様な衝撃を受けた。
異世界にきてまだ2日。
夢であって欲しいと、心のどこかで思っていた。
だが、やはりここは地球でなくテルミヌスであると、女神と見誤るほど美しいアンドロイドを見て、異世界である事を改めて痛感した。
恐る恐る瞬平は、口を開いた。
「松木瞬平と申します」
ブランシュは立ち上がり、満面の笑顔を咲かせ先程までの恭しい態度を一変させ、軽快に話し出した。
「瞬平様ありがとうございます。お察しの通り私は、この世界でアンドロイドと呼ばれております。繰り返しとなりますが、当館の管理維持と館主の身の回りのお世話を主な任務としております。前主人は、自身がこの館を離れる際に、館の所有権の破棄と次世代にこの館を残す為に、私たちとメインシステムを休眠させました。そしてこの度、めでたく瞬平様がメインシステムを再起動させた訳です。またその際に、当館の主人登録が完了いたしました。これからは、瞬平様へ降りかかる火の粉は全て、当館と私が排除いたしますので、ご安心ください。私は、こう見えましても、身の回りのお世話から戦闘まで、万能に熟します。正直に言いまして私は、かなりのハイスペックです。見た目は、可憐で美しいですが、そんじょそこらの、魔物ならちょちちょいのちょいです。また、お料理に付きましては、見た目通りかも知れませんが、お菓子作りが大好きでして、パイからケーキまでなんでも美味しく作れます。さらに、大事な食事に関しましても、栄養バランスバッチリな食事をお好みに合わせ朝昼晩三食しっかりご提供いたします。瞬平様は、ご飯派ですか?パン派ですか?それとも麺ですか?念のため、お伝えしておきますが、私は全部得意料理です」
「ちょっと待って」と何やら必死になって話すブランシュを遮り言ったが、話が止まらない。
「え?足りませんか?まだまだできることありますよ。もちろん、お掃除はチリ一つ残しません。お庭のお手入れだって、欠かしませんので、あ!大事な事をお伝え忘れてました。ですが、今からお伝えする事は、今までの主には、提供しておりませんでしたので、余り自信がございませんが、ご要望とあらば夜伽のお世……」
「ストップ、お前は急に何言ってんだ?俺は既婚だぞ」と瞬平は、ブランシュにチョップした。
ブランシュは、床に崩れ瞬平を見上げながら、言った。
「痛いです。てか、ちっ既婚者かよ。若い見た目だから、それで落とせるかと思ったのに、いや、でも私の可愛さなら結婚してても落とせるか?どうにかして、ここにいてもらわないと」と不穏な事を呟いた。
「ブランシュさん少し落ち着いて」
「私には、敬称は必要ございません。また、私は落ち着いております。何なら、寝室にて証明してみせます」
その後、暴走気味のブランシュを何とか宥め、事情を詳しく聞くと、もう長い眠りに着くのは飽き飽きで、さらに1人でいるのは寂しい。
それゆえなんとしても、瞬平をこの館に留めようと考えたらしい。
この千載一遇のチャンスを逃すまいと、空回りして墓穴を掘ったと舌を出した。
また、瞬平達についても会話の流れで一通りの状況説明をして、お互いの事情が把握できた。
ブランシュは、なにか納得した様に一つ頷き、瞬平の手を取り、懇願する様に口を開いた。
「瞬平様、お願いがございます。この館の稼働率を100%にすると共に、周りの施設も再稼働をお願いできないでしょうか?この館と周りの施設が、完全に機能を取り戻せば、大命樹へご家族に会いに行くお力になれると思います。また、この辺りの施設は、当館の関連施設になり、私や今はまだ眠りについている兄弟姉妹が、補助できる範囲が広がりますので」
ブランシュの兄弟姉妹は、この辺り一帯の施設管理を任されているかなり上位の、アンドロイドであり結晶生命体らしい。
核となる結晶に、それぞれの記憶や人格が存在していて、結晶を介して機械の体を動かしている。
感じ方や考え方は、人間と近いものがあり、皆それぞれ個性や得意分野が違う為、問題対処の幅が広がるとブランシュは話した。
たまが、瞬平の肩に乗り耳元で呟いた。
「願ったり叶ったりだよ。ブランシュには聞かれたくないけど正直に、戦闘力含め、能力的にはかなり上位の存在だと思うよ。敵対しないだけでもラッキーなのに、味方になってくれるなら、100人力だよ」
ブランシュは、たまの声が聞こえていた様で、何度も頷き、付け加えた。
「そして、なにより絶世の美女でございます。瞬平様は、こんな美人を配下に加えることができ、羨ましい限りです」
その後、ブランシュより館のレクチャーを受け、一旦一階の部屋で休憩を挟む段取りとなった。
だが、そこで新たな問題が発覚する事になる。




