3話 遺跡とダンジョン
R7年9月に物語を初投稿をさせていただき、勢いのみで投稿しておりましたが、文章が上手だとはお世辞にも言えず、一度戦略的撤退を致しました。
ただ、楽しく投稿はできていたので、自分なりに構成を考え直し、再投稿した物語です。
まだまだ文章は稚拙ですが、最後まで物語を描けるように、精進致します。
もし覗いてくださる方がいれば、前向きなアドバイスを頂けますと幸いです。
建物の中は窓が多く、その窓から光が降り注ぎ、とても明るかった。
さらに、考えていたよりも埃っぽくない。
建物自体の密閉度が高いためか、外の空気が入ってこなかったのであろう。
だが、密閉空間独特のカビの様な、古臭い臭いが鼻についた。
外観の雰囲気からして、とても古い建物だと考えていた。
しかし、建物に入り一歩進むごとに、ホールに足音が響き渡り、古い建物とは別の印象をを受けることとなった。
「中は綺麗だね。すこし前まで誰かが住んでいたと言っても、過言じゃない。これ、建物の機能生きてないか?」と瞬平は言う。
たまは、耳をピクピクと動かし、鼻をひくつかせた後に、答えた。
「そうだね。もしかしたら建物の内部は、劣化を防ぐなんらかの術が使われていたのかもしれないね。にいやんが、過ごすには好都合だね」
瞬平はたまの言う事には、一理あると感じた。
廃墟の中で唯一現存していることから見ても、ゴブリンがいる世界なら、そんな魔法があってもおかしくはない。
恐らく、余程大切な建物だったのだろう。
「今日は、探索は無しだ。とりあえず、安全確保できて、一息つける部屋を探そう」
とりあえず、瞬平の体力的にも螺旋階段は上がらず玄関から近い、安全そうな部屋を探す事にした。
瞬平とたまは、玄関から入り、向かって右側の螺旋階段の近くにある部屋に落ち着く事にした。
部屋は、外の巨木と反対側に位置している為、これまた、窓から斜陽が注ぎ込み、明るい部屋だった。
部屋には、アンティーク風の4人掛けソファーが2台、一枚板の大きなローテーブルが中央に置いてあった。
さらに大きな窓の前には、執務机と椅子が配置されている。
「にいやん、ここならゆっくりできるんじゃない?よかったね。あと、にいやんが睨んだ通り、この建物の機能生きてるよ」
たまは、扉付近の宝石の様な輝く石に、ジャンプして触れた。
そうすると、部屋のシャンデリアに光が灯った。
光の色は、優しいオレンジがかった色をしていた。
瞬平は、シャンデリアに灯った光を見つめソファーに座った。
この世界は、思ったよりも文明が進んでいるのかも知れない。
日本でも、電気照明が広がったのは、高度経済成長期だ。
このシャンデリアに灯る光の仕組みは不明だが、燃焼して光っているわけでない事は、見て取れた。
「これからどうしようか?」とたまに問いかけた。
「にいやんは、少しでも休んだほうがいいよ。僕が見張ってるからさ」と答えた。
たまの言葉に甘え瞬平は、少し休む事にした。
たまにお礼を言い、ゆっくりと目を閉じた。
毒の影響か瞬平は、時間を置かずすぐに
眠りに着いた。
瞬平は、甘い匂いで目を覚ました。
ローテーブルには、ナッツやベリー系、柿やりんごに似た果物が置いてあった。
たまが、瞬平の顔に頬ずりをしてきた。
「にいやん、だいぶ寝てたよ」
瞬平は、腕時計を見た。
日時は、9月18日10時23分。
瞬平は、窓を開けて空を見た。
太陽の位置が、だいぶ高い場所にある。
昨日夕方頃から寝てしまったと仮定すると、18時間程、寝てしまった事になる。
「たまごめん、寝過ぎた」
「大丈夫だよ。沢山寝て、にいやんの体調も良くなったんじゃない?」
瞬平の体は確かにとても軽かった。
頗る体調が良い様に感じる。
「たま、ありがとう。本当に助かった」
「どういたしまして」
たまが何かを訴える様に、瞬平の顔を覗いてきたので、頭を撫でた。
瞬平は、たまに断ってからテーブルの上の果物を皮ごとかぶりついた。
「にいやん、大命樹を目指すのは、当然としても、現状の説明をしてもいい?」とたまが言った。
瞬平は果物を食べるのを一旦止め、神妙な面持ちで頷いた。
「まず今いる場所は、山に囲まれていて人がいる町や村は近くにない。周りの山には、洞窟型のダンジョンが多くあり、そこからゴブリンやオークといった魔物が溢れ出てきている。だから、現状そこを通り抜け、山を越えることは、とても難しい。そして実は、この山から抜けられる道、切り通しが一つだけ現存している。でも、その切り通しを抜けた先が一番の問題なんだ。この中央大陸で、最も危険な場所として知られる、広くて深い『冥界の森』へ繋がっているんだ。その森はもちろん、魔物も闊歩している。けど、それ以上に危険なのが、その魔物達を猟る、獣や虫達なんだ。まぁ大命樹は、冥界の森の先にあるから、最終的には越えなくてはならない場所なんだけどね。けど、森とは呼ばれるものの、大命樹に辿り着く為には、5000m級の山々を超えていかなければならない。言葉を選ばずに言うと、人間には踏破不可能と思われている。現状、この廃遺跡群を抜ける事も困難な、僕たちだと、冥界の森を越える可能性は露程もないと言わざるおえない」
たまは、瞬平が口を挟むいとまを与えず、事実を淡々と告げた。
瞬平は、喉の渇きから果物を再度口に運んだ。
「聞きたい事は沢山ある。けど、たまはなんでそんな事を知ってるの?」と瞬平は言う。
たま自身が言っていた。
起きたばかりで、分からない事が多いと。
辻褄が合わないと思った。
「それについては、外の大きな木のおかげなんだ。外の木は、命樹達に連なる木で、僕は命樹達やそれに連なる木達の近くにいれば、その木と交信する事が出来るんだ。それで、教えて貰ったんだ」とたまは言った。
命樹により把握できる領域が違うものの、把握できる領域内なら、過去から現在に至るまでの事象を記憶していて、その木が伝えられる範囲内で、脳内に直接イメージや音を伝えてくれるとの事だ。
それゆえ、たまは周りに凶悪な魔物がいることと、現在の大まかな位置が把握できた。
「たまの情報が正しいと、この場所は、自然の牢屋だね。要するに、大命樹を目指す事は、夢のまた夢で、この遺跡群すら抜け出せないって事だね」と瞬平は言いながら、頭を抱え項垂れた。
「現状は、そういうことになるね。そこで、にいやんに相談なんだけど?」とたまが言う。
瞬平は頭を上げ、たまの目を見ながら、再度聞く体制に移行する。
「遺跡とダンジョン攻略しない?」
「えっ?」
たまの発言に、瞬平は意表を突かれた。
「まず、遺跡とダンジョンの説明が必要だね。はじめにダンジョンの説明をした方が、分かりやすいと思うから」とたまは前置きを入れて話し出した。
「ダンジョンが発生する正確な理由や場所は、解っていないけど、この星が、溜め込んだエネルギーを外に放出する為に、ダンジョンは、誕生すると言われている。いわゆる、星の代謝機能と考えられていて、ダンジョンコアや、魔物(魔石)という形で、エネルギーを発散している。それと、エネルギーが溜まりやすい場所がダンジョン化しやすいとの統計があるみたい。そのエネルギーが、溜まりやすい場所というのが、洞窟や遺跡、廃城や廃タワー、後は、格が高かった枯木などがある。ちなみに、ダンジョンコアや魔石は、人達の生活を支えるエネルギー元になっている。ここまでは、大丈夫?」とたまが言う。
瞬平は、うんうんと頷いた。
「それで遺跡は、古代人が作った建造物で、建造物自体が超技術で作られていたり、超技術で造られたアティーファクトが、発見される事があるんだ。それで、遺跡は大きく分けると4つに分けられる。龍人遺跡、ダンジョン遺跡、非活性化遺跡、廃遺跡。龍人遺跡は、まだ動力が生きていて防衛機能が働いている遺跡。ダンジョン遺跡は、非活性化遺跡か廃遺跡がダンジョン化した遺跡。非活性化遺跡は、なんらかの理由から遺跡の機能を停止している遺跡。廃遺跡は、完全に機能を失った遺跡。とされている」とたまは言い、ふーと一息ついた。
「それで、遺跡やダンジョンには人間が定めた、危険度や貴重さで決まるGからSまでの8段階の基準があるのだけど、恐らく今いるこの館は、運がいい事に非活性化遺跡で、基準で言うと、一番上のSか、その次のAに位置する遺跡だと思う。上手くいけば、にいやんの力になる物が出てくるかも知れない。加えて、この辺り一帯が、遺跡群になっているから、さらに期待できる」とたまは言う。
理屈は理解できる。
座して待つより、遺跡やダンジョンをクリアして、冥界の森を越える力を身につけるべきだとの話だ。
再度瞬平は、頷いた。
「あとこれが大事なんだけど、にいやんには、ダンジョンを踏破できる様になってもらう為、訓練をするね」
瞬平はどんな訓練か尋ねると、基本は、走力強化とアークという未知の技術の訓練をするとの事だ。
アークについては、後日説明してくれるとの話に纏まった。
瞬平は、テーブルのナッツやベリーを全て食べた。
たまと落ち着いて話す事ができ、目標が定まった。
短期目標としては、現状、踏破出来そうな遺跡を探し、アティーファクトを集める。
中期目標は、戦闘能力を強化し、ゴブリンが出現するFかGクラスのダンジョンをクリアする。
最終目標は、もちろん大命樹に到達する事だ。
冥界の森を、踏破できる実力をつけなければならない。
時間はかかるかも知れない。
だが、死んでしまっては本末転倒だ。
力をつけ、家族に辿り着く為に、まずは、この館の探索開始だ。
瞬平は、部屋の扉を開けた。




