表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ勝ち〜戦略的撤退をしましたが?なにか問題でも?〜  作者: 中尾 トウヒ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/13

間話 たまの昔話 『恩返し』

 僕の名前は『たま』猫である。

 現在は、にいやんこと「松木瞬平」とアンドロイドのブランシュ、巨犬のはなと共に、にいやんを家族と再会させる為、大命樹を目指している。

 それでなぜ僕が、にいやんと共に大命樹を目指す事になったかって?

 答えは簡単!

 にいやんに、前世で命を助けてもらったから。

 え?

 さらっと大事な事言った?

 そう僕は『転生猫』である。

 

 地球で生きていた頃は、産まれてすぐ大変だった。

 母は野良猫で、兄弟がいたのかすらわからない。

 ただ、気が付いたら、小さな公園で僕だけになっていた。

 流石の僕も、僕だけでいるのは、お腹が減るしとっても寂しい。

 だから、誰かを探して、頑張って鳴いたけど、ずっと僕だけだった。

 さらに、お腹を空かせて草を噛んでいると、水が目と鼻から垂れてきた。

 その水は、全然止まらなくて、顔全体がガビガビになった。

 右目も、ガビガビがくっついて見えなくなった。

 後になって知ったが、これは猫風邪と言うらしい。

 そんな猫風邪にかかり、公園の隅っこで、もうダメだと思っていた。

 そんな時、人間の男の子が僕の目の前に現れた。

 その男の子が、小さい頃のにいやんだった。

 にいやんは、僕を見つけると僕を抱え上げお家まで走った。

 お家に着くとにいやんは、お母さんに声を掛けて、お母さんと一緒に僕をタオルで拭いてくれた。

 けど、顔のガビガビが酷くて、その時ガビガビは、全ては取りきれなかった。

 けど、右目が見えるようになって嬉しかった。

 次に、白い飲み物と食べ物を持ってきてくれた。

 僕は、夢中になって、口に運んだのを覚えている。

 美味しくて、すぐお皿が空になった。

 僕はもっと食べたくて、顔を上げ、周りを見回すと、にいやんが、お母さんに何か言われている声が聞こえてきた。

 「瞬平は、猫アレルギーなんだから猫は飼えません。元の場所に戻してきなさい」

 にいやんは悲しそうな顔をして、また僕を抱え上げた。

 にいやんは「ごめんね」と言って、僕とまた公園に向かった。

 道中は、何も話さなかった。

 公園に着くと、にいやんはブランコに座って僕を沢山撫でてくれた。

 何故かにいやんは、ときどきクシュんとくしゃみをする時があった。

 僕は「大丈夫?」と思い、にいやんを見上げた。

 にいやんは、鼻から水を垂らしながら、悲しそうな顔をしていた。

 僕は、思った。

 鼻から水一緒だね。

 それから時間が経って、周りが暗くなってきた。

 僕は、にいやんの暖かさで、寝てしまった様だ。

 にいやんはまだ、僕を撫でていた。

 にいやんは、起きた僕を見ると、僕に話しかけてきた。

 「ここで猫ちゃんを置いていったら死んじゃうよ。やっぱり一緒に帰ろう」

 そう言うと、にいやんはまたお家に向かって僕を抱えたまま歩き出した。

 お家に着くとお母さんに、にいやんが言った。

 「この子の体調がよくなるまででいいからお願い!家で飼わせて!」

 そこにいた、ねいやんも何か言っている。

「少しの間ならいいんじゃない!?」

 そうして、お母さんは渋々、僕を置いてくれることを許してくれた。

 そして、松木家みんなで名前までつけてくれた。

 名前は『たま』

 なんでも、僕の体調が良くなったら他所に譲る予定だから、仮で日本の代表的な猫の名前を名付けられた。

 そうして、僕はにいやん家族と一緒に住む事となった。

 まぁその後は、他所に譲られる事もなく、お母さんが一番可愛がってくれた。

 お母さんが言うには「一度飼ってしまうと、もう情が湧いちゃうから手放せないわね」と。

 名前は、もちろん『たま』のままとなった。

 にいやんが「もう面倒くさいからたまのままでいいじゃん」って言ったことは、忘れない。

 

 その後僕は、15年松木家の家族として幸せに生きた。

 だが、15年の間に、にいやんには色々と嫌がらせ……いやいや、可愛がられ、命を助けられた恩がある。

 そしてなによりも、最後を看取ってくれたのが、にいやんだった。

 最後の日は、拾ってくれた時の様に、にいやんの暖かい腕の中で撫でてくれたね。

 あの時と違って、にいやんはとても大きかった。

 そんな、大きいにいやんが、徐々に見えなくなるのは、とても怖かったけど。

 その最後の時、声が出ないから一生懸命前足を動かしたんだ。

 頑張って、にいやんの顔に触れようとしたんだよ。

 「助けてくれてありがとう」を伝えたくて。

 そしてその時に思ったんだ、次があるなら次は僕がにいやんを助けたいと。

 まぁこんな訳で、にいやんと行動を共にしている。

 前世の記憶がある転生猫です。

 え?

 にいやんには、前世の話しは伝えないのかって?

 もちろん僕からは伝えない。

 ドラマの展開的には、教えない方が盛り上がるよね。

 気付いた時のにいやんの顔が楽しみだ。

 まぁけど、気が付かないことには腹が立つ。

 だから、気が付くまでの訓練は……

 憂さ晴らしに、超スパルタだね。

 にいやん、前世でやられた事忘れていないからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ