間話 たまの昔話 『恩返し』
僕の名前は『たま』猫である。
現在は、にいやんこと「松木瞬平」とアンドロイドのブランシュ、巨犬のはなと共に、にいやんを家族と再会させる為、大命樹を目指している。
それでなぜ僕が、にいやんと共に大命樹を目指す事になったかって?
答えは簡単!
にいやんに、前世で命を助けてもらったから。
え?
さらっと大事な事言った?
そう僕は『転生猫』である。
地球で生きていた頃は、産まれてすぐ大変だった。
母は野良猫で、兄弟がいたのかすらわからない。
ただ、気が付いたら、小さな公園で僕だけになっていた。
流石の僕も、僕だけでいるのは、お腹が減るしとっても寂しい。
だから、誰かを探して、頑張って鳴いたけど、ずっと僕だけだった。
さらに、お腹を空かせて草を噛んでいると、水が目と鼻から垂れてきた。
その水は、全然止まらなくて、顔全体がガビガビになった。
右目も、ガビガビがくっついて見えなくなった。
後になって知ったが、これは猫風邪と言うらしい。
そんな猫風邪にかかり、公園の隅っこで、もうダメだと思っていた。
そんな時、人間の男の子が僕の目の前に現れた。
その男の子が、小さい頃のにいやんだった。
にいやんは、僕を見つけると僕を抱え上げお家まで走った。
お家に着くとにいやんは、お母さんに声を掛けて、お母さんと一緒に僕をタオルで拭いてくれた。
けど、顔のガビガビが酷くて、その時ガビガビは、全ては取りきれなかった。
けど、右目が見えるようになって嬉しかった。
次に、白い飲み物と食べ物を持ってきてくれた。
僕は、夢中になって、口に運んだのを覚えている。
美味しくて、すぐお皿が空になった。
僕はもっと食べたくて、顔を上げ、周りを見回すと、にいやんが、お母さんに何か言われている声が聞こえてきた。
「瞬平は、猫アレルギーなんだから猫は飼えません。元の場所に戻してきなさい」
にいやんは悲しそうな顔をして、また僕を抱え上げた。
にいやんは「ごめんね」と言って、僕とまた公園に向かった。
道中は、何も話さなかった。
公園に着くと、にいやんはブランコに座って僕を沢山撫でてくれた。
何故かにいやんは、ときどきクシュんとくしゃみをする時があった。
僕は「大丈夫?」と思い、にいやんを見上げた。
にいやんは、鼻から水を垂らしながら、悲しそうな顔をしていた。
僕は、思った。
鼻から水一緒だね。
それから時間が経って、周りが暗くなってきた。
僕は、にいやんの暖かさで、寝てしまった様だ。
にいやんはまだ、僕を撫でていた。
にいやんは、起きた僕を見ると、僕に話しかけてきた。
「ここで猫ちゃんを置いていったら死んじゃうよ。やっぱり一緒に帰ろう」
そう言うと、にいやんはまたお家に向かって僕を抱えたまま歩き出した。
お家に着くとお母さんに、にいやんが言った。
「この子の体調がよくなるまででいいからお願い!家で飼わせて!」
そこにいた、ねいやんも何か言っている。
「少しの間ならいいんじゃない!?」
そうして、お母さんは渋々、僕を置いてくれることを許してくれた。
そして、松木家みんなで名前までつけてくれた。
名前は『たま』
なんでも、僕の体調が良くなったら他所に譲る予定だから、仮で日本の代表的な猫の名前を名付けられた。
そうして、僕はにいやん家族と一緒に住む事となった。
まぁその後は、他所に譲られる事もなく、お母さんが一番可愛がってくれた。
お母さんが言うには「一度飼ってしまうと、もう情が湧いちゃうから手放せないわね」と。
名前は、もちろん『たま』のままとなった。
にいやんが「もう面倒くさいからたまのままでいいじゃん」って言ったことは、忘れない。
その後僕は、15年松木家の家族として幸せに生きた。
だが、15年の間に、にいやんには色々と嫌がらせ……いやいや、可愛がられ、命を助けられた恩がある。
そしてなによりも、最後を看取ってくれたのが、にいやんだった。
最後の日は、拾ってくれた時の様に、にいやんの暖かい腕の中で撫でてくれたね。
あの時と違って、にいやんはとても大きかった。
そんな、大きいにいやんが、徐々に見えなくなるのは、とても怖かったけど。
その最後の時、声が出ないから一生懸命前足を動かしたんだ。
頑張って、にいやんの顔に触れようとしたんだよ。
「助けてくれてありがとう」を伝えたくて。
そしてその時に思ったんだ、次があるなら次は僕がにいやんを助けたいと。
まぁこんな訳で、にいやんと行動を共にしている。
前世の記憶がある転生猫です。
え?
にいやんには、前世の話しは伝えないのかって?
もちろん僕からは伝えない。
ドラマの展開的には、教えない方が盛り上がるよね。
気付いた時のにいやんの顔が楽しみだ。
まぁけど、気が付かないことには腹が立つ。
だから、気が付くまでの訓練は……
憂さ晴らしに、超スパルタだね。
にいやん、前世でやられた事忘れていないからね。




