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砂漠の聖都  作者: 神代奈々
第2章 大聖堂
19/25

騎士団の来訪


 

 大聖堂は、朝から落ち着かない。

 大聖堂長はじめ、ナギやナダたちが慌ただしく動き回っている。

 


「アリフ。そろそろ中庭に集合だぞ」

 

「わかってる。ちょっと用を足してくる。先に行っててくれ」

 

「わかった」

 


 マシュアもほかのナリドやナリダたちも、みんな中庭へと向かっている。

 

 しかしアリフはひとり、中庭とは別の方向へ向かった。

 

 

 

 騎士団に稽古なんかつけてもらいたくない。

 

 ……でも、少しくらいは見てみたい。

 



 アリフは、隠れて中庭の様子を見ていられる場所を探しておいた。


 それは、聖堂の裏側の外壁。

 木をつたい、外壁の段差まで登るのだ。

 


 中庭には人が集まり、ざわついた声が聞こえてくる。

 そんなざわつきを聞きながら、アリフは木をよじ登り、壁に這いあがった。


 

(……ふう。やったぜ)

 


 中庭からは、生い茂る木の葉や枝で見つかりにくい。

 だが、こっちからならそれが好都合。

 枝葉の隙間から中庭の様子がうかがえ、声も聞こえる距離だ。

 

 アリフはまんまと、特等席に陣取った。

  



「そろそろ来られる頃だ。粗相のないように……」

 

 聖堂長が落ち着かない様子で、皆に声をかけた。 



「あ、あれじゃない? 」

「そうかも……」

「そうだ! 」


 ひとりの呟きが、そこにいた全員にみるみる広まった。

 小さな点ほどだった空に浮かぶ影は、次第にその姿を現わしてきた。


 

 

 わあああぁ……。

 

 

 沸き起こった歓声は、近づいてくる姿とともに大きくなっていった。

 それはもう、空飛ぶラクダに乗った五人の騎士の姿として見てとれる。

 

 歓声は、興奮に変わった。

 


 中庭の真ん中に、五人の騎士は降り立った。 

 

 

「ようこそいらっしゃいました。どうぞこちらへ」

 

 

 大聖堂長が、彼らを中庭の一角にある東屋へ案内した。

 そのあいだも彼らは、皆の歓声に手をあげ、笑顔で応えていた。

 

 東屋には、ティーと軽食が用意してある。


「どうぞ。まずはお寛ぎください。

 そのあいだに、ナリドとナリダによる演武をご覧ください」



 ナギとナダが、その場を鎮めた。

 10人ほどの演武者が、東屋の前に並んだ。

  

 

(アシュバルだ。ラビサもいる)

 

  アリフは、遠目ながらも二人の姿を見てとった。

  

 

(ほかの人たちも、騎士団入団の候補者なんだろうな)



 最初は型の演武。

 

 ザッ、ザッ、と、10人の動きが揃っている。

 それでいて、鋭く、速い。



(……すげえ)



 次は、二人ずつの組手。

 それが終わると、スラを使ったアシュバルとラビサの演武になった。




 カンッ! カンッ!

 

 

 スラのかち合う音が、アリフのいる場所まで響いてくる。

 


(すごい迫力だ……)

 

 

 ——強い。

 あいつらは、俺なんかよりも、ずっと強い…。



(……くそ)


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