騎士団の来訪
大聖堂は、朝から落ち着かない。
大聖堂長はじめ、ナギやナダたちが慌ただしく動き回っている。
「アリフ。そろそろ中庭に集合だぞ」
「わかってる。ちょっと用を足してくる。先に行っててくれ」
「わかった」
マシュアもほかのナリドやナリダたちも、みんな中庭へと向かっている。
しかしアリフはひとり、中庭とは別の方向へ向かった。
騎士団に稽古なんかつけてもらいたくない。
……でも、少しくらいは見てみたい。
アリフは、隠れて中庭の様子を見ていられる場所を探しておいた。
それは、聖堂の裏側の外壁。
木をつたい、外壁の段差まで登るのだ。
中庭には人が集まり、ざわついた声が聞こえてくる。
そんなざわつきを聞きながら、アリフは木をよじ登り、壁に這いあがった。
(……ふう。やったぜ)
中庭からは、生い茂る木の葉や枝で見つかりにくい。
だが、こっちからならそれが好都合。
枝葉の隙間から中庭の様子がうかがえ、声も聞こえる距離だ。
アリフはまんまと、特等席に陣取った。
「そろそろ来られる頃だ。粗相のないように……」
聖堂長が落ち着かない様子で、皆に声をかけた。
「あ、あれじゃない? 」
「そうかも……」
「そうだ! 」
ひとりの呟きが、そこにいた全員にみるみる広まった。
小さな点ほどだった空に浮かぶ影は、次第にその姿を現わしてきた。
わあああぁ……。
沸き起こった歓声は、近づいてくる姿とともに大きくなっていった。
それはもう、空飛ぶラクダに乗った五人の騎士の姿として見てとれる。
歓声は、興奮に変わった。
中庭の真ん中に、五人の騎士は降り立った。
「ようこそいらっしゃいました。どうぞこちらへ」
大聖堂長が、彼らを中庭の一角にある東屋へ案内した。
そのあいだも彼らは、皆の歓声に手をあげ、笑顔で応えていた。
東屋には、ティーと軽食が用意してある。
「どうぞ。まずはお寛ぎください。
そのあいだに、ナリドとナリダによる演武をご覧ください」
ナギとナダが、その場を鎮めた。
10人ほどの演武者が、東屋の前に並んだ。
(アシュバルだ。ラビサもいる)
アリフは、遠目ながらも二人の姿を見てとった。
(ほかの人たちも、騎士団入団の候補者なんだろうな)
最初は型の演武。
ザッ、ザッ、と、10人の動きが揃っている。
それでいて、鋭く、速い。
(……すげえ)
次は、二人ずつの組手。
それが終わると、スラを使ったアシュバルとラビサの演武になった。
カンッ! カンッ!
スラのかち合う音が、アリフのいる場所まで響いてくる。
(すごい迫力だ……)
——強い。
あいつらは、俺なんかよりも、ずっと強い…。
(……くそ)




