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砂漠の聖都  作者: 神代奈々
第2章 大聖堂
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キタムの話



「キタムも、騎士団員の稽古、受けるんだろ」

  

「一応ね。運動は苦手だけど、全員参加することになってるから」 

 

 

 本に興味のあるアリフは、図書館でよく会うキタムと話をするようになった。

 キタムはアリフより少し年上だった。

 


 サリーフと気が合いそうだな、とアリフは思った。

 そういえば、あいつらどうしてるだろうか。

 



「騎士団、って、空飛ぶラクダに乗ってくるんだってな」

  

「うん。アリフは、空飛ぶラクダのことは知ってる? 」

 


「ああ、もちろん。空の商人も使ってるやつだろ。

 王家や貴族、騎士団しか使えないやつだろ」

 


「うん。空飛ぶラクダはパギリングって呼ばれてるよ。

 遺伝じゃなくて突然変異で生まれるんだ」

  


「パギリング? 変な名前だな」

 

「ギンアカージャの葉しか食べないから、草食のクモにちなんだ名前なんだ」

 

「へえ。ギンアカージャしか食べないって、偏食だな」

 


「でも今、ギンアカージャがあちこちで枯れてしまう現象が起きてて、パギリングのエサの確保が大変なんだ」

 


「え、なんで枯れてんの? 」 

 

「原因はわからないけど、気候変化のせいじゃないかって言われてる」

  

「エサがなきゃ、そのラクダ、どうなるんだ? 」


 

「死んじゃうよね。ほかのものを食べないか探してるみたいだし、栄養素を直接体に入れるような研究もされてるらしい」


  

「腹減ったら、つらいよな…。何か、可笑しいか? 」 

 

「ごめん。だって君が、まるでラクダを人間みたいに言うから」



「動物だって同じだろ。腹減ったら生きていけない」

 

「確かに、そうだよね」

 

「でも、空飛ぶラクダなんて、なんか楽しみだな」


 

「うん。騎士団が来ると、パギリングも人気だよ。

 乗せてもらいたがるナリドやナリダがたくさんいる」


 

「そうだろうなあ、俺も乗ってみてーな。キタムは乗ったことあるのか? 」


「いや、僕は、ないよ」

 

「ふうん。そういや、騎士団が来る日は、この図書館はいつもみたいに開いてるのかな」


 

「いや。図書館は閉められてるよ。ナギやナダたちは騎士団のもてなしとかもあるし。

 騎士団が来てたら、図書館に来るやつなんていないだろ。」


 

「そっか、そうだよな」


 

 稽古の脱出先にしようと思ってたけど、無理か。

 


「アリフ、どうかした? 」

 

「なんでもない」

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