虚しく焦がす夜
今構想中の定年まじかの男性と若い女性の物語からイメージして書いてみました。小説の方はこれからですが、老いた心に灯る禁断の疼き、交わす挨拶に宿る愛おしさ、そして別れの影を詩に刻みました。虚しい夜に焦がれる想いを感じてください。
君との別れまでそんなに長い時間はない
私に残された時間はあとわずか
私が君のもとを去るのか
君が私のもとから去って行くのだろうか
君のどこに心を奪われるのだろう
くっきりの二重まぶた
長いまつ毛
白く滑らかな肌
指を絡めたくなる艶やかな髪
臆することなく突き進むその強さ
若く未来も夢もある君
眩しすぎるほどに輝く君
年の離れた上司からの贈り物を
無邪気に受け取るその姿が
たまらなく愛おしかった
君の気を引きたかったわけじゃない
ただ、この想いに嘘をつきたくなかった
ただ、昔のようにはいかない
若かった頃のように
情念の赴くままに動くことなど叶わない
妻も家庭もあるこの身が
どうして君に惹かれていくのだろう
どうして心乱されるのだろう
どうにもならないこの疼きが
どうしようもなく燃え盛る感情が
今夜も虚しく夜を焦がす
毎日交わす当たり前の「おはよう」や「お疲れ様」
それがこんなにも愛おしいとは知らなかった
残された人生で
あと何回、君に会えるのだろうか
お読み下さりありがとうございました。
評価、感想を頂けると嬉しいです。




