静かな場所
寝てはいけない会議で眠くなったとき、立ち入り禁止と工事現場に書かれていたとき、葬式の場でなぜだが笑いが込み上げてきたとき。普通の人はやってはいけないことだと認識してその行為を避けるはず。でもふと思うんだ。やってはいけないことをやったらどうなるのかって。いわゆる”カリギュラ効果”だね。
会議で寝れば上司に怒られる、工事現場に立ち入れば作業している人に怒られる、葬儀の場で笑えば喪中なのに不謹慎だとその場の全員に怒られる…こうは考えられないだろうか。
”怒られることがなければやってもいい”
そう、これらは全て結果的に怒られるからやらないんだ。誰だって怒られるのは不快だろ?なるべく避けたいだろ?だからやらない。メリットもないから尚更やらない…いやメリットは一応あるか。悪いことをしているという快感はあるだろう。だがそれは一瞬だ。すぐに後悔や罪悪感に襲われる。メンタルが弱ければ一生ひきずるかもしれない。とはいえ、このような行為を何度も繰り返しているとだんだん罪の意識は薄れていき、快感を直に得られるようになる。これはいわゆる依存だ。
……話が逸れたね。怒られない世界が到来したとしたらこの世は一体どうなってしまうんだろうね。君はどう思う?…ああ、そうか。喋れないんだったね。ごめんごめん忘れてた。私はお話好きだからね。ついつい周りが見えなくなってしまうのさ。
怒られてしまった君は今どう思っているんだろう。禁止されていたはずなのにそれを破って…後悔しているかい?まあ、安心してほしい。君の命が潰えることはないと約束しよう。私だってかつては君のように向こう見ずにもここへ飛び込んでしまったからね……私かい?私は後悔なんてしていないよ。愚図どもの世界よりここは幾分か居心地がいい。君が私と同じ感性を持っているならばこの言葉の意味が時期にわかるだろう。
逃げようとしたって無駄だよ…ここから逃げることはできない。外へ行こうとしても無理なんだ。だからここは禁足地なんだ。戻ることができないから…。そう悲しい顔をするなよ。私も悲しくなるじゃないか。
心配するな。ここにはたくさんの”仲間”がいる。みんないい奴さ。たまにおかしい奴もいるが、気にしなければどうってことない。
さあそろそろ時間だ。君は一体どうなるんだろうな。ここには癒しが少ない。癒し系になってくれ。
そして願わくばここから——
……気にするな今のはただの本音だ。
——それじゃあ、いってらっしゃい。