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第46話 戦闘開始

 出発する直前。首をかしげながら真司が俺に聞いてくる。


「ところで悠馬。僕に花音の居場所が分かるのかって聞いたけど、悠馬こそ居場所がわかるのかい?」


「ああ、俺に考えがあるんだ。イア! 悪いけど来てくれ!」


 ――同じ邪神、もとい種族同士なら感じあえたりするんじゃないか? 多分、きっと。そうに違いない!


 そんな虚空に向かって突如として叫んだ俺を、真司は生暖かい目で見つめる。


「……悠馬。誰しもそんな時期はあるし、僕自身にも覚えがあるから深く責めないけど今は……。にしても、あの悠馬がね」


「違うわい!」


 ――全く、俺はお前と違って中二病なんて……。なんて……。あー、うん。誰にだって黒歴史ってあるよな! 口には出さないけど。


「ん、どうしたの? 主」


 イアが虚空から現れると一転。真司はわなわなと震えだした。


「え? え? 突然空から女の子が!? 空間転移? いや、こんな小さい子ができるわけない。まさか……幽霊?」


 ――いや、違うから。


「む、幽霊如きと一緒にするなんて失礼。私の名前はイア。主とは文字通りの一心同体。最近の日課は朝起きた時に、ベットの中で寝ている主の頬をつつくこと」


 ――そんなことしてたのかよ……。というかイアさん? その言い方はマズイと思うんですけど!?


 イアの話を聞いた後。真司は俺を冷たい目で見つめる。


「……そういえばこの子、悠馬の好みとピッタリ合致してるよね。なるほどなるほど。さて、スマホってここから繋がるかな」


「おい待て真司。誤解……」


「もしもし警察ですか? 友人が……」


「誤解だッ!!!」





「というわけで、俺はロリコンでも犯罪者でもない。分かってくれたか?」


 粗方の事情を説明し終えると、真司はため息をついた。


「はぁ……。正直、悠馬がロリコンだって方がまだ信じられるよ」


「おい」


「だって当たり前だろう? その悠馬の性癖どストライクの子に悠馬が手を出したって方が、僕としてはその子が邪神と同族だって事よりも現実味がある」


「あのなぁ……! まあいい、今は花音が最優先だからな。……お前は後でボコすとして。イア、お前と同族はこの近くに居るか?」


「居ない」


 ――うっそん。


「だけど、近くに虫けらの気配はする」


「虫けら?」


「アイホート」


 ――あれ? そいつじゃね?


「そいつだ! 案内してくれ、イア!」


 そして、森を移動中。俺はイアに聞いた。


「というかイア、そいつって同族じゃないの? そのアイホートとやらは……いひゃいひゃい」


 俺がそう言うと、イアは不機嫌そうな顔で俺の頬を引っ張っる。


「違う。虫けら風情と私を一緒にしないで」


「ごふぇん|《ごめん」、ごふぇん《ごめん》ってば。ひょお|《頬》をひっふぁら|《引っ張ら》ないでくれ!」


 俺が涙目で許しを請うと、イアは手を離した。


「ふん」


「ごめんって、気を直してくれよ。な?」


「……じゃあ今度の日曜日、遊園地に連れていって」


「了解」


「後、主の分のおやつ三日分」


「ハイハイ。太るぞ?」


「む、太らないもん」


 俺がむくれるイアの頭を撫でていると、真司が恐る恐るイアに質問する。


「ところで、君とアイホートとやらは何が違うんだい?」


「私は父から生まれた。だけどアイホートは元々地球で誕生した。それに、私とあの芋虫モドキの虫けらじゃ存在自体の格が違う。一緒にされると途轍もなく不愉快で、はらわたが煮えかえる」


 イアは鼻を鳴らしながらそう言った。


「お、おう……」


 ――滅茶苦茶見下すじゃないか……。ああ。いつもの素直で優しくて、俺の分のドーナッツまで食べちゃって俺に見つかった後。姉さんに叱られながら気まずそうに、食べかけの俺のドーナッツを『主も食べる?』と分けてくれる優しいイアは何処へ……。あれ?これって優しいのか? まあいいや。結論。イアは可愛い尊い最高、以上。


「アイホートってヤツは芋虫みたいな姿なんだね」


「もっと醜悪で気持ちが悪い。下等で下劣な劣等神格風情が。主の邪魔になるなら、昔にめんどくさがらず消しておけば良かった」


 ――……マジでどうしたんだ? イア。


「イア、汚い言葉を使うんじゃありません! どうしたんだイア、らしくないぞ? いつもの可愛いイアに戻ってくれ」


 俺が再び頭を撫でると、イアは気持ちよさそうに目を細める。


「ん」


「なんか兄妹みたいだね……。一歩間違えば悠馬が犯罪者に見えそうなのは置いといて」


「オイ」


「だってイアちゃんって超絶美少女だし、対する悠馬は……」


「オイ、誰がモブ顔だこの野郎!」


「いや、言ってないし」


 ――上等だコラァ! モブ顔舐めんなよ!


 そして道中モンスターやアイホートの雛に襲われながらも、俺達はいよいよ崩れかかった遺跡の前までたどり着いた。




「私、まだ死にたくないよ……。お願い、誰か助けて……」


 遺跡の最深部、俺達は鎖で手足を縛られ涙する花音とスペルビア。そして醜悪な芋虫のような怪物を見つける。そして俺は花音に近づくと、感情のままに花音を縛る鎖を切り捨てた。


「……え? お兄ちゃん、それに悠馬君?」


 倒れてきた花音を支え、真司に託す。そのまま俺はこちらを見てニヤつくスペルビアとアイホートを睨みつけながら、俺は花音の助けを求める声に応える。


「ああ、俺と真司の二人でお前を助けに来たんだ。だから任せろ花音! 必ず俺達がお前を助け出す!」


 そして、俺は龍装を展開しながら剣を抜いた。


 遅くなって申し訳ない……。

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