最終工区①
「ただいまぁ」
「お帰りなさいませ」「お帰りなのじゃ」
「つっかれたぁ・・・港工事の首尾はどう?」
「あらかた泥は片付きました。その殆どが汚泥・・・と言いましても、洗浄と再生を行えば再利用は可能かと」
「汚泥を取り除いた下からは綺麗な砂が顔を出してきてのぅ・・・驚いたのじゃ」
「生き物はどう?」
「「・・・」」
「やっぱり無理か・・・」
「汚泥の層が厚すぎたようです。ですが、今後は再生の可能性があります。自然は強いですから」
「じゃが、海藻が生えるのは抑制せねばな。船底や舵やらに絡むのでな」
「うん。自然と上手に共生しないとね」
「あと、乾船渠の工事も始まりました」
「おっ!どんどん港の完成が見えてきたね。───汚泥の処理に関しては、粘土や敲き土に代えてしまえば建材に使えるかな」
「それが宜しいかと。大分溜まってきてしまっていますので」
「アルよ。ワシが使っても良いか?少し考えがあるのでのぅ」
「うん。お願いして良い?」
「任されたのじゃ」
「あとは・・・島棚と港の海底差を無くす工事を残すのみとなります」
「そっか。随分と早く終わりそうで良かった」
「しかし・・・問題が・・・」
「ん?───水門が建てられないとか?」
「その通りです。島棚の水深が深く、既存の水門設備では対応ができず・・・」
「水門増設時に余った杭を試しに立ててみたのじゃが、完全に沈み込んでしもうた」
「その杭は?」
「勿論回収したぞ。その辺りに抜かりはないのじゃ」
「そっか・・・。それじゃぁさ・・・ここは我々の出番になるかな」
「「?」」
「うぅん・・・海の一部を凍らせて、天然の水門にしてしまおう」
「えっ・・・でっですが」
「生態系に影響を与えないようにするけれど、このまま水門を壊してしまうと、折角の浚渫が無意味になるし、こう言うのは手早く済ませるのに限るよ」
「私にそこまでの広範囲魔法が使えるのでしょうか・・・。ここまで来るのにもアルフレッド様の補助があってくることができましたから」
「(カレンももう一人前なのだけど・・・)うぅん」
「ワシが補助をすると言えばできるか?」
「エレンが・・・ですか」
「なんじゃ?不満か?」
「いえ・・・。エレンが補助をしてくれる・・・」
「港の岸壁から全体を見渡して魔法を行使するのじゃろう?アル」
「うん。それで大丈夫。できそう?」
「ですが・・・」
「失敗しても私が何とかするさ。心配しないの。カレンは料理でも掃除でも何でもできるんだからもっと自信を持って!」
「しかし・・・それは王宮で教育を受けているからであって」
「そこまでアルを疑うのか?」
「疑ってなんていません!」
「アルがお主にできると太鼓判を押している。その信頼に応えるのが、従者としての役目ではないのか?」
「・・・そう・・・ですね」
「ワシらはアルと伴に生きると決めた者同士。今こそ我らが主に生長の証を見せるときではないのか?」
「───やります。まだ、失敗するかもしれないですが・・・全力で挑んでも宜しいですか。アルフレッド様」
「うん!頼むよカレン。君の力を存分に発揮して!」
「仰せのままに」
「カレン。ワシも全力で補助するからの」
「頼みます。貴方の補助無しでは、やはり自信が無いので・・・」
「まだ言うか」
「───ですが、補助は本当に危うくなったときにお願いします」
「───心得た」
「明日が新月で潮も良い。天気も安定しているから波も高くない。大丈夫。失敗なんてしないさ」
「そうじゃ!景気付けに葡萄酒でも・・・」
「それは貴女が飲みたいだけでしょうに・・・それに葡萄酒を持っているのは、アルフレッド様ですし、酔って失敗でもしたらそれこそ目も当てられません」
「むぅ・・・手厳しいのぅ」
「あはは!まぁまぁ。エレン。流石にお酒は無理だけど、この間魔核を採りに行った道中で見つけた山葡萄があるから、それを絞ったもので乾杯といこう」
「───仕方ないのぅ」
「・・・貴女という人は・・・」
カレンもエレンも良い相棒だ。2人なら明日の工事も上手くいくだろう。さぁ!港工事の最終段階!ストルネ殿の艦を漸く修理できる!




