城下でお買い物②
スコットのお店のでの一幕です。
「ちょぉっと待った!あぁ──カレン嬢だったか?」
「はい。そうですが」
「わしの事を言うのは待ってはもらえねぇか」
「なぜですか。主が知らないことを知ってしまった手前、お教えしなければ従者とは言えません」
「あぁ──お前さんも知識バカか」
「バカとは何ですか。バカとは」
「すまんすまん。別に知りたいと言うことは罪じゃねぇ。知的好奇心こそ生きる糧となる。それは否定しねぇ」
«おぉ!この苗は何だろ?あぁ!南国の果物の種が。こっちは極北の植物の苗か!育てるにはどうしたら良いんだろう・・・あぁそうだ!この苗と種探してたんだ!»
「あぁやってよぅ。両目を輝かせながら探しているアルを見ているとよ、仕入れ主兼売主としては嬉しいじゃねぇか。ヤツの知的好奇心を満たしてやっている。少し上からかもしれんが、それを見ているとワクワクしてくるんだ」
「そうですね。私もアル様の輝くような笑顔は久しぶりに見ました」
「そうだろうそうだろう!そしたらよぅ。アルの驚く顔ってのも見てみたくなるだろう。呆けたヤツの顔。傑作じゃぁねぇか。なぁ嬢ちゃん」
「それは───否定できませんね」
両目を爛々とさせ、手にから手へと種やら苗やらを見ては、育て方は。育てるために用意する環境は。必要な肥料は。その割合は。多年なのか一年なのか。などと唸りながら吟味しているアルフレッド。二人が話している内容は耳に届かない程、集中してしまっていた。
知的好奇心恐るべし!
「ほんじゃまっ。そろそろあの知識バカに話しかけるかね」
「えぇ」
「嬢ちゃん。さっきの話。よろしく頼むな!」
「かしこまりました」
二人は熱中するアルフレッドを現実に戻すため、一方は、植物に関する詳細や生育環境を伝えるため。
一方は、価格と予算とここに来た目的という現実を思い出させるため。
知識の暴走列車を止めるために近づいていった───
そろそろ旅立ちになります。城下町での活動もそろそろ終わりです。と言うことは、本章の終わりも近づいてきたわけで・・・。
漸く漸く前置きが終わります!お読みいただいている方、誠にありがとうございます。
これからも拙作をよろしくお願いします。