空気と循環と環境と
「ねぇねぇエレンちゃん」
「なんじゃ?」
「この給湯器の魔銅線を応用して土を暖めることはできないのかなぁ?」
「可能だとは思うが・・・」
「お話し中申し訳ないです・・・それですと、他の作物にも影響が・・・出てしまうかもです。すみません・・・私なんかが意見を・・・」
「そうじゃのう。折角育てている馬鈴薯も育たなくなってしまったりしてしまうかもしれぬしのぅ」
「そっか・・・そんなに単純にはいかないのか」
「エレンもこちらに来ていたんだ。こんにちは。プルーナさんにラパさん。でなんの話をしていたの?」
「アルくん!」「おぉ!アル!」「アルフレッド殿」
「あれ?リジアさんは?」
「あぁ。今日は水門工事に行くって言ってたけど・・・見なかった?」
「じゃぁ、力自慢大会にでも参加しているのかな?それよりもなんの話を?」
「いやなに。プルーナがな、給湯器の魔銅線を応用して、土を暖められないかと話しておってのぅ。2人で他の作物に悪影響が出るのでは?と話しておったのじゃ」
「なるほどねぇ・・・確かにそのまま使ったら悪影響は出る」
「そっか・・・」
「でも・・・影響を相殺することはできるよ。その為の水路だし」
「なぬ?」
「温室を作る計画で動いてたし、これからもそのつもりではいるのだけれど・・・もう少し早めに糸瓜も芒果も収穫したいから考えてはいたんだ」
「その方法は?」
「給湯器・・・ここでは温熱器としようか。から魔銅線を延ばして、温室予定地をぐるりと囲む。その魔銅線から1米ほど離れた位置を今度は水路で囲む。水路魔銅線側の壁面に相殺するための文字を書き入れておけば、土の暖かさは他の作物に影響を及ぼさなくなると思う」
「あのっ・・・深い位置から熱が伝わるかもしれません・・・」
「あっ・・・そうか・・・」
「そうしたらさ。魔銅線の下にも文字を書き入れれば?」
「それでも熱は伝わっていくかもしれない・・・」
「そうすると温室を造る。と言うのがやはり現実的なのかのぅ」
「「うぅん」」
「じゃぁさ!この温室予定地の中心に小さく循環するように、温熱器から魔銅線を延ばすのは?」
「どうしてそうなるのじゃ?折角の熱気が逃げるじゃろう」
「あぁ!プルーナさんの考えは、周囲の気温を限定的に上げようって事だね?」
「うん!」
「でもね・・・そうすると、この島の環境が変わってしまうかもしれないんだ」
「どうして?」
「排水路を開通させた時に話したけど、少ないものでも積み重なれば、大きな影響を与える事になるんだ」
「でも・・・風が熱気を運んでくれない?」
「うん。もちろん運んでくれる」
「だったら・・・」
「プルーナ。器に一滴ずつ水を垂らしていくとどうなる?」
「それは・・・溜まっていくよ?」
「そうじゃ。アルが言いたいのは、そういうことじゃ」
「?」
「巡りめぐって、暖かい空気が蓄積されてどうにもならなくなる時が来るということじゃ。器に溜まった水は、飲み干すなり捨てるなりできるが・・・空気となると話が変わると言うことじゃ」
「ここじゃない何処かの気温が上がるとか?」
「うむ」
「そんなまさか!」
「でもプルーナさん。実際に今起きているって前に話してくれたでしょう?」
「・・・あぁ!最近寒くなってきているって話?」
「うん。魔石燃料の話はしたよね?」
「うん。周りの熱を奪っていく話だよね」
「そう。・・・最初に使われた魔石燃料はごく僅かだったと思う。それこそ、この魔核のように。だけれども・・・」
「今は大量に消費されている・・・」
「───人は生活していく上でどうしても生産と消費が必要になる。生きている以上、利便性を求めるのは当然のこと。だけど、資源の使い方に問題が生じている」
「だから気温が下がっている」
「その通り。私たちは、木々や自然が生産と消費する量と、我々がどうしても生産してしまう熱量や生活で消費されたモノによる廃棄物量の釣り合いがとれないと簡単に環境は壊れてしまう。魔石が周囲から奪う熱だって、私たちが生産した熱の他に、自然界で生産されたモノも入っているのだからね・・・」
「うん」
「排水を海に流すときと同じ。量が多いと環境に大きな影響を与えてしまう。この世は全てが循環することで成り立っているからね。その循環を人の手で壊してはならない。だから・・・」
「常に環境のことを考えて行動しなければならない」
「その通り。今この島の人口は少ない。だけれども、将来的には多くなるから、日常生活で排出されるモノを完全にまでとはいかないけれど、循環させる魔道具を作らないといけない」
「えっ・・・」
「まぁ我が国ですでに導入されているから、魔道具をここに持ってくれば問題は無いのだけれど」
「なぁんだ・・・一安心だよ」
「だから恒常的に熱を外に放出させると言う方法は採れないんだ」
「なるほどねぇ」
「あっ!あのっ!」
「ん?どうしたのラパさん」
「私なんかが意見を言ってすみません・・・。アルフレッド様の結界を地中から覆ってしまえばこの問題は解決なのでないでしょうか・・・。結界内の空気を外気と同じ温度に下げて放出する魔法式は、アルフレッド様なら簡単に創れるかと思いまして・・・」
「───!それ!凄く良い「待つのじゃ!」よ?・・・どうしたの?」
「確かにラパの考えは素晴らしく、実行しても良いモノじゃ。しかしアルよ。本当に良いのか?皆の仕事を奪ってしまって」
「あっ・・・うん。そうだね。温室を作る目的は、作物を育てる他に、皆さんに技術を身につけていただくことだ」
「そうじゃろう。じゃが・・・」
「素晴らしい考えだよ!」
「ラパ」
「はっはい!中佐!」
「これからも考え、思いついたことは是非とも述べて欲しい。だからと言って、思ったこと全てを行って良いわけではない。君が熟慮した結果を今回のように話すんだ。もっと自分の考えに自信を持ちなさい」
「はっはいっ!」
「まぁラパよ。今回の意見は本当に素晴らしい。見てみよアルのあの顔を。まるで新しい玩具を与えられた幼子のようじゃ」
ラパさんの考えは本当に素晴らしい!これならもっと色々な植物を育てられるかも!
「さてと・・・良い考えもいただいたことだし、そろそろ館に戻るよ。エレンはどうする?」
「ワシはもう少しここにいるのじゃ」
「うんわかった。それじゃぁ余り遅くならないようにね」
「ワシは子どもかっ!」
「あはは!それじゃっ2人ともまたね!」
「うん!」
「本日はありがとうございました!」
場所が変われば新しい考えも思いつく・・・。普段あまり話さない人から得られる知識・・・。これからも色々なことに目を向けないとね!さぁ帰って魔法式と陣の研究だ!




