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あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
港街の立て直し
27/213

街へ

「んー・・・」

何かぬくもりを感じる・・・。だんだんと意識が覚醒していく中で感じる違和感。───そうだ。昨日は───



「では。アルフレッド様お休みなさいませ」

「おやすみ。カレン」

「おやすみなのじゃ」

リビングと二部屋の小屋・・・もう普通に家と呼んでも差し支えないサイズの建物。部屋数は男女で分けるため。カレンが切に訴えたため、アルフレッドが必要資材に上乗せした形でスキルを使って建てたものだ。

しかし、アルフレッドの後ろを着いていく影・・・

「どこ行くんですか?この駄精霊!」

「いただだだだ!何をするんじゃカレン!頭が割れるであろう!」

「コッチの台詞です!アルフレッド様の部屋に行こうとしたのでしょう?」

「───♪」

「口笛を吹かない!と言うか吹けていない!」

しれっとアルフレッドの部屋に行こうとしたエレンを捕まえて、女子部屋に連れて行くカレン。体格差もあり、軽々と連れて行かれる。

ウルウルとアルフレッドを見つめるが、当の本人は、眠くてあくびでもしたのかなぁ。などと全くの見当違いな事を考え


「おやすみ。二人とも」


と言って自室に入った。

と言うことを思い出したアルフレッド。ではなぜ温もりを感じるのか・・・


「んー・・・あっ・・・」

目を開けてみると、長いまつげに金色の髪のエレンがいた。布団の中に。自分の隣に寝ている・・・。

「エレン・・・起きて。なんでここに居るの?」

「んぁぁ・・・おはようアル」

「おはよう。エレン」

起き上がって伸びをしてアルフレッドを見下ろすエレン。

「ワシにカギなど有ってないようなモノじゃ」

「・・・元の姿に戻って鍵穴を通ってきたのか・・・」

「その通りなのじゃ!」

「あぁ・・・来てくれるのは嬉しいけれど・・・その・・・」

「ん?なんじゃぁ?照れておるのかアル?」


ムフフと笑いながら、自慢げに話すエレンに忠告しようとしたが、途中で口を噤んだアルフレッド。その様子が照れたように見えたのか、更に弄ろうと、エレンが口を開こうとした時、頭が何者かに捕まれた。

「エ・レ・ン」

「いだだだだ!痛いのじゃぁ!話せばわかるのじゃ!」

「問答無用です!何故貴女はだめだと言われていることを率先して行うのですか!」

「そこにアルガいるから・・・」

「まったくもぅ!」

エレンの頭を掴むカレンの手から、ギリギリと音が聞こえてきそうなほど、力が込められている。

身体強化でもしているんだろうなぁ。とぼんやり眺めていたが、そろそろ朝食を摂って街に繰り出さなければならない。

─有力者と話をつける─

朝から気が重くなる事ではあるが、この国の王族として、不法占有は認められない・・・。


起き抜けに、カレンとエレンの漫才を見て、面倒なことを考えていると、漸く頭が冴えてきた。

「カレン。程ほどにね」

「アル!」「アルフレッド様・・・」


アルフレッドからの言葉で、カレンは手を離してシュンとし、エレンはパッと花が咲いたような笑みを浮かべた。が・・・


「カレン。エレンは暫く甘いものはいらないそうだよ?」


「──!!!」「畏まりました。アルフレッド様」


今度は、カレンが笑顔を浮かべエレンが沈んだ。


(一寸言い過ぎたかな?でも・・・鍵穴からは流石になぁ・・・)


決着が付いたところでカレンが、朝食ができていることを告げ、エレンを伴って居間へと向かっていった・・・。

(ん?カレンは良いとして、エレンは着替えない・・・?んんん?)

魔法による早着替え。そのことが頭から抜けているアルフレッドは、いそいそと着替えて居間へと向かった。



「「ごちそうさま」」

「お粗末様でした」

海で捕れる魚と、上陸した近くに実っていた果物を使っての簡単な朝食を食べ終え、街に出向いた際の対策を考える三人。


「あっ・・・そう言えば・・・この島に前来たことが有って・・・確か悪意を持つ存在を感知すると・・・」

「「すると?」」


「気分が悪くなるように設定したんだ」


「「へ?」」


「あぁ・・・風邪とかではないんだけど・・・なんとなく嫌な気分になるようにしていて・・・ほら!気味が悪い。引き返そうって言うあの感じ?になるようにしてあるんだ」

「ほえぇ・・・そのようなこともできるとは。アルはやっぱり器用じゃのぅ」

「なるほど。と言うことは、その機能を止めれば・・・」


「いやっ。機能は止めないよ。大事な防犯対策だから。少なくとも街を把握するまでは。ね。」


「そう・・・ですか。止めれば英雄視されて、受け入れられやすくなるかと思ったのですが・・・」

「ワシもそう思うがのぅ」


「いやっ。私たちはこの王国の正式な統治者。そんな小細工より、堂々としていれば良い」


「なぜですか・・・?」


「あぁ・・・なんとなぁく分かったのじゃ。しっかし・・・考えていることが小悪党的発想じゃなぁ」


「まぁね。でも、使わない手はないだろう?」


「えっ?えっ?二人で会話を完結させないでください!」

二人の会話に置いて行かれている。そう感じたカレンは、アルフレッドに説明を求めるが、見ていれば分かるよ。大丈夫。乱暴なことにはならないから。と言われて渋々引き下がった。


「よしっじゃぁ街に向かってみよう。昨日は暗くて分からなかったから、どんな建物が建っているか楽しみだ!」


気合いを入れて家から出るアルフレッド。そして後ろに続いて出る二人。街へは歩いて四半刻程。そう遠くはないが、未舗装の道をかき分けて向かうのであった。

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