陛下の私室への道中
頑張ります。
「はぁはぁはぁ・・・きゅっ宮殿の廊下長すぎ!税金の無駄遣い!」
自身の住んでいる宮殿に文句を言いながら、件名に足を動かして国王の私室へと向かうアルフレッド。周りにいる兵士や侍従達には目もくれず懸命に走る!
「あぁ・・・遅刻か。殿下のいつものことか」
走りながら聞こえてくる冷ややかな声を無視して懸命に走る。
「だからご自分の事はご自分で管理してください。とあれだけ申しましたのに」
隣をを涼やかな表情で併走するカレンが非難がましい口調でアルフレッドに話す。
「そッそんなことッ言ったってッ・・・ゼェ・・・カレンの事をッ・・・頼りにッ・・・してるからッ・・・ゼェ」
「そういうことは、落ち着いている時に言ってください・・・。」
涼やかに走っていたカレンの顔に若干、紅が差す。
「なッなにかッいったッ?」
「いえ。別に。そろそろ陛下の私室です。息を整えてください。汗は私が拭いますので」
若干足の速度を落として、息を整えるアルフレッド。
「あッあぁゼェ。そうだねゼェ・・・。はふぅ・・・。汗、ありがとう。涼やかな風。」
息を整えつつ、得意の魔法を詠唱して、汗で額に付いた髪や湿った衣服を乾かしつつ身だしなみをカレンに整えてもらう。
一方、カレンも慣れた手つきでアルフレッドの身だしなみを整える。一見すると、長身の美男美女が良い雰囲気を醸し出しているようであるが、しかし、そこはカレン。
「アルフレッド様。後頭部の髪が生乾きです」
「背中のお召し物が乾ききっておりません」
「額から流れる汗を止めてください」
などと、毒を吐きつつアルフレッドの面倒をみる。
アルフレッドは
「あぁ」「うん」「どう?乾いた?」
などとカレンに相槌を打ち、されるがままになる。
宮殿ではいつものこと。
寝坊による遅刻は勿論のこと、式典に顔を出さない事もしばしば。
回数が少なければ、《偶然》で片付けられるが、多くなればそれだけ周りからの信用は落ちていく。
そのため、城仕えの者達からは
「お荷物王子」
と渾名されている。
しかし、アルフレッドの真の姿を知るものは─────
拙作をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字がありましたらお教えいただければ幸いです。