魔科研①
「失礼するよ・・・って・・・あぁ。やっぱり」
「あっ。殿下!ようこそおいでくださいました。ですが、少々立て込んでおりまして」
魔術科学技術研究所の中に入ると、多くの所員が右に左にと忙しく走り回っていた。入り口で立ち往生していた私たちに話しかけてくれたのは、この研究所の副所長であった。
「十中八九、先程の揺れが原因なのですわ。エリ、ミリ。負傷者を見つけ次第――—」
「あいや!お客人!それには及びません。我々、魔科研でのこのような光景は、日常茶飯事ですから。手出し無用にございます。お申し出、感謝です」
「副所長!第3研究室から出火しました!」
「第2実験室では、先程の爆発を起因とした、有毒気化物の発生を確認しました!」
「はぁ・・・。まず、1班から3班までは、第3研究室の消火を。4班と5班は、第2実験室で発生している気化物の毒物の同定を。その作業が済み次第、浄化作業に。6班と7班は、気化物が第2実験室から外に漏れ出ないよう必要個所の封鎖を。8班から10班はそのほかの場所で、破損や変化が起きている場所がないか確認を」
「「「ハッ!」」」
「返事はいいから、手早く素早く動きなさい!」
おぉ・・・。さすがは魔科研の副所長。指示が的確で、所員たちも慣れているような感じがするのだけれど・・・。
「いや。まず、爆発しないよう細心の注意を払って、実験をした方がよいのではないかの・・・。こう毎日毎日このようなことが発生すれば、せっかくの研究も停止してしまうじゃろうて・・・。それに、こうも爆発が頻発しているようでは、さすがの紅土煉瓦も耐え切れんのではないかの?」
「エレンの言う通りだね。少々躯体への影響が懸念されるね。それに・・・両隣の省から苦情が来そうなものなのだけれど」
「あぁ。薬院省と国務省ですか。えぇ。連日苦情が・・・ゲフンゲフン」
「ん?なんて?」
「あっ!いえ。それよりも、事前に訪問のご連絡をいただきましたが、まさかこのような大所帯でお越しくださるとは・・・。殿下のご用は・・・」
「あぁ。ビステア所長に用があってね。彼は今どこに?」
「所長ですか?えっと・・・」
所長の居場所を副所長に尋ねると、彼女は持っていた記録簿に目を通し始めた。一体彼はどこにいるのやら・・・。
「あっ。あったあった。所長は現在、第7実験室で殿下がご依頼されていた機械の最終確認を行っているかと」
「ありがとう。第7実験室っていうと・・・」
「右手の階段を登っていただき、2階左手廊下の突き当りから3部屋目の実験室とおなります」
「重ね重ねありがとう。皆。実験室に向かうとしようか」
「「はい!」」
そうか・・・。お願いしていた機械。ほとんどできたんだ!これは楽しみだ!




