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あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
王都復旧
172/213

転移先で

「よっと。到着!さぁ。ここが私が案内したかったところだよ」


 私たちの眼前に広がるのは、赤茶色の石組みでできた、3階建ての建物だ。


「アル(にい)。一つ質問があるんだけど・・・」


「なんだい?ミュール」


「アタシたちさ。相当長い時間、兄の部屋で喋っていた気がするんだけど・・・。それにしては、日がまだ高くない?もしかして、夜通し喋ってたってこと!?」


「あはは!確かに、体感時間的には、ものすごく長かったよね。普通に過ごしていたら、確かにミュールの言う通りなのだけれど、さっきまでいた私の部屋に防音と時間経過遅延の結界を張っていたんだ」


「ほぇぇ・・・。アル君、そんなこともできるんだ!」


「まぁた・・・しれっと高度な結界術を使いおってからに・・・。」


「殿下らしいですわね。それにしても、ここ一帯の建物は統一感がありますわね。しかも、アルベロ王国にしては珍しい、石造りではありませんか」


 そう。先ほども言った通り、眼前の建物は石造り。カーサさんの言う通り、周りの建物もすべて同じ材で作られている建物だ。高さはまちまちだけれど、どれもほぼ同じ規格で建てられている。


「よくお気づきで!そうなんです!ここはいわゆる官庁街で、他国の役人も訪れる場所になっているので、見た目にも統一感を持たせるとともに、王国のどの地区とも異なった建材を用いることで、迷いなくこの場所にたどり着けるよう配慮しているんです!しかも、使用建材は紅土煉瓦(こうどれんが)と漆喰を使っているので、安心、安全なんです!」


「紅土煉瓦って?」


「よくぞ聞いてくれました!プルーナさん!紅土煉瓦は、ここ王都から西に行った火山帯の鉱山から採れる紅石土(こうせきど)から作られていて、耐火性、耐衝撃性に大変優れた材なんです!しかも、外からだけでなく、内側からの膨張・・・爆発なんかにも耐えられるので、研究施設に使うのにもってこいなんです!」


「へっ・・・へぇ・・・」


「それにそれに「だぁ!!!もういいのじゃ!」ん?まだまだ語りたいんだけど・・・」


 この建材の素晴らしいところをいっぱい語ろうとしたら、エレンに止められてしまった・・・。うぅん・・・。不完全燃焼だなぁ・・・。


「まったく・・・。ここは、魔術科学技術研究所と言ってな。黒の勇者が持ち込んだ技術に魔術を応用し、環境負荷を軽くすることを目的とし、様々なモノの研究がなされておるのじゃ。当然、未知のモノを研究しているわけじゃから・・・」


 エレンが説明しているときに、地面が揺れだした。


「へっ!?じっ地震!?」


「地面が揺れているのですわ・・・」


「地震ではないから安心してね。この王都は、安定陸塊上にあるから、めったに地震は来ないよ。多分、目の前の建物の地下で何かしら起きたんだと思う」


「えっ!?それなら猶更危ないじゃん!なんでみんな冷静なの!?」


「プルーナちゃん。冷静に考えてみて?アルト様は、最初に何とおっしゃっていましたか?」


「ココの建物は、紅土煉瓦でできていて・・・って!」


「そうです!なので・・・」


「みんな冷静になってたんだ・・・。アタシ一人で慌てて恥ずかしい・・・」


「いえ。プルーナの反応が正しいと思いますよ。知らない土地で急に地面が揺れれば、地震と思っても仕方なく、また、慌てていても冷静な部分があるのは、自分の身を守るうえでも大事な部分です。私は、よいと思いますよ」


「カレンちゃん・・・ありがとう」


「しっかりと、周りの意見を聞いて、冷静に反芻して思い出すことができるのは良いことです。私たちは、ここがどのようなところであるかは、アルフレッド様から聞いておりますので、事前知識があるので冷静なのです。もし、何か異変が起きた際は、アルフレッド様が必ず動いてくださいますので。ですよね?アルフレッド様」


「うん。大丈夫!何とかするから。私といる時は、安心していていいからね」


「うん・・・。ありがとう。アル君」


 とりあえず、プルーナさんも落ち着いたことだし、中に入るとしますか!研究の成果を見ないと。成否如何で、都市計画に影響してしまうから————。

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