改めて自己紹介③
「先に私が自己紹介を。今回は、2人の娘が大変なご迷惑をおかけいたしましたわ」
「「ウッ・・・」」
「重ねて謝罪いたしますわ」
カーサさんの射貫くような眼光が、エルとミュールをとらえる。2人共気まずそうに俯いている。国としての罰は与えたけれど、母娘としての折檻はまだ終わっていない感じなんだろうなぁ・・・。私としては、被害こそ大きいけれど・・・。という気持ちが大きいから、そこまで深く気に留めなくても・・・。なんだけれども、さすがに口を出すと、『甘いですわッ!』って言われそうだから、口は閉じておく方が賢明かな・・・。でも、一応・・・。
「まぁ・・・。これから罪を償っていただきますから。カーサさんからの謝罪。確かに受け取りました」
「改めて感謝いたしますわ。殿下。しかしながら、甘い考えをお持ちのようですので、後ほどアリス
には、甘っちょろい考えを治すよう伝えておくのですわ」
「たはは・・・。これは・・・。手厳しい」
「夢魔を舐めないでいただきたいのですわ。殿方の考えなど、手に取るようにわかるのですわ」
あぁ・・・。失敗した・・・。彼女、夢魔だから・・・。気を付けないと、思考が筒抜けになってしまうんだよね・・・。いくつになっても女性には勝てない・・・。か。
「そうですわ。女性はいつでも強いのですわ!んん。話がそれてしまいましたわ。すでに種族を明かしましたので、名前を。カーサ・フォン・ディアボロ。ディアボロ王国。普人族の間では、『魔王国』と呼ばれていますわね。の第一王妃ですわ。得意魔法は、精神魔法と魅了魔法なのですわ。以後お見知りおきを。プルーナさん」
「はぅぅ・・・はいぃぃ・・・」
カーサさんが柔和な笑顔を浮かべながらプルーナさんに向けて片目を瞑ると、プルーナさんの顔が真っ赤になって、心臓を押さえて脱力してしまった。魅了魔法を籠められれば、誰でもその魅力に中てられてしまう。同性でも魅力的なのだろう。でも、カレンやエレンには効いていない。どうしてなのかと思っていると「「もう慣れたの(です)(じゃ)」」と念話が。ということは、何度か悪戯されていたみたいだ・・・。お茶目な人だなぁ・・・。
「さぁ。2人も自己紹介するのですわ」
「「はいっ!」」
おぉ・・・。プルーナさんに向けた表情と打って変わって、刺すような冷たい視線・・・。今晩は、折檻が長そうだなぁ・・・。
「では・・・。私が。ディアボロ王国第一王女のエルリエッタ・フォン・ディアボロです。皆様・・・。特にエレン様にはご迷惑をおかけいたしました」
「いんや?迷惑なんぞかけられてはおらん。むしろ、わが部屋に招いて、記憶と真の姿を取り戻せて何よりなのじゃ」
「ありがとうございます。種族は、堕天使と夢魔の混血です。得意魔法は、治癒と精神魔法「精神魔法は特訓し直しなのですわ!」とのことですので、治癒魔法が得意・・・。ということで。ミューリエルの姉です。以後お見知りおきを」
「うん!よろしくね!エルちゃん!」
「はい!プルーナさん」
「さん付けは固いよぉ~。もっと柔らかくでいいよッ!」
「では、プルーナちゃん。よろしくお願いしますね」
「うんうん!いい感じ!よろしくね!」
おぉ!さすがはプルーナさん。エルもこれで付き合い易くなったかな。あんまり、同じ目線で付き合ってくれる女友達が少ないからね・・・。まぁ、王族の宿命といえばそうなのだけれど・・・。
「・・・。そろそろアタシもいいかしら・・・」
「あっ!ごめんね!」
「もぅ・・・。ミューったら・・・」
「ごめん・・・。でも、アタシってさ・・・。あんまし人と付き合ったことないから・・・」
「そうなの?ミュールちゃん。ゆっくりでいいからね?無理をしないように仲良くなっていこうね?」
「ん・・・。アリガト。・・・ふぅ・・・。よしッ!アタシの名前は、ミューリエル・フォン・ディアボロ。ディアボロ王国第二王女。堕天使と吸血鬼の混血よ。得意魔法は、変身魔法。それと、薬作りと歴史を追うことがが趣味。・・・その・・・。よろしく」
「うん!よろしく!」
うんうん!これで、皆自己紹介できたかな?ん?あぁ!そっか!
「最後になっちゃったね。皆の自己紹介聞いてたら、本当にすごい人たちばかりで、自分が浮いちゃってる感じがするけど・・・。アタシも自己紹介しないとだよね」
そうプルーナさんが言うと、纏う雰囲気が変わった。今までの柔らかい空気が一変するものだから、ミュールもエルも驚きを隠せないでいる。
「北方連邦国海軍第一司令部所属。海軍中佐、プルーナ・アルマンドであります。種族は普人族でありますれば、皆々様とは異なります故、常識に疎いところが多々あるかと存じます。平にご容赦を。この度は、ご尊顔を拝見し、お名前まで拝聴いたしましたこと感謝の極み。今後とも、何卒宜しくお願い致します」
「「は・・・はい・・・。よろしく・・・お願いいたします」」
あはは・・・。誰だって、ここまで雰囲気が変われば呑まれる・・・。いや・・・。仮にも王族なのだからどっしりと腰を据えて、相手に吞まれないようにしなければ・・・。あぁ。カーサさんがまた頭を抱えてしまっているよ。これは、確かに2人が不味いかな。
「あはは。そんなに畏まらないでよぅ。2人共!」
「えっ。だって・・・」
「雰囲気変わりすぎでしょ!?」
「これでも軍人だからね!偉い人に自己紹介するならしっかりしないとって思って。こんなアタシだけれど、よろしくね?」
「はい!」
「ええ。正直、びっくりしちゃったわ。アタシも挨拶の勉強しなきゃかしら・・・」
おぉ!ミュールの考え方に変化を及ぼすことができるなんて、さすがはプルーナさん!ミュールも今回の件で、少し大人になったってことなのかな。
「よしッ!皆の自己紹介が済んだところで、場所を移動しようと思う」
「うむ。して、どこに行くのじゃ?」
「うん。それはね、工部省直轄のある研究所に行こうかと思って」
「ふむ・・・。何か所かあるが、都市機能といえば、あの研究をしておる所かの?」
「エレンがどこを思い浮かべているかはわからないけれど、都市機能の研究に関してはあっているね」
「ふむ。おおよそ、あそこであろう」
「カレン。手紙の方は?」
「先程、軽食を用意するついでに、先触れの手紙鳥を出しておりますので、出発しても問題はないかと」
「ありがとう!それじゃぁみんな。出発しよう。この円の中に集まってね」
そう言って、私の部屋に敷かれている絨毯の丸い刺繍の中に皆入ってもらう。
さぁ!研究所に出発だ!




