改めて自己紹介②
「僭越ながら。ご存じの方も多いでしょうが、カレンと申します。アルフレッド様の専属侍女でございます。家事全般を得意とし、アルフレッド様を陰から支えております。魔法は、氷属性が得意です」
「まだ話すことがあるじゃろう?ここは我らのみじゃ。プルーナに話す良い機会ではないのかの?ワシも話すしのぅ」
「ん?」
視線がエレンとカレンの間を彷徨うプルーナさん。エレンは、カレンに包み隠さず話すよう促すみたいだ。確かに、この場ではプルーナさんだけが何も知らない存在だからなぁ・・・。ミュールの考え方に触発されたのかな。確かに、今後何かの拍子に露見するより、この場で知っておいた方が無難なのかもしれないしね。
「アル。この部屋は・・・」
「大丈夫だよ。私の私室だからね」
「そういうことじゃ。カレン」
「んん??」
「はぁ・・・。まぁ。特段隠しているわけではありませんしね。プルーナのような普人族には少々刺激が強いかもしれませんが。この部屋で聞いたことを他人に漏らすことがないか・・・。誓っていただけますか?」
「う・・・うん。なんかとっても重要なことを聞かせてもらえるんだね・・・。うん。ここで聞いたことは、墓までもっていくよ」
「そこまで重く受け止めていただけるのであれば。私は、アルフレッド様の眷属であり、『レ』の文字を賜っております。神獣フェンリルです。人の世で活動するために、人型に変化して生活しております。以後良しなにお願いいたします」
「ふえぇぇ・・・。カレンちゃん。神獣様だったんだ。フェンリル様・・・。アタシ達、北方連邦国では文字通り神様のような存在だよ・・・。すごっ・・・」
プルーナさんが、感動と羨望の眼差しでカレンを見てる。カレンも満更ではない様子。うんうん。良かった。怖がるとか、崇拝するとかでなくて。距離が離れてしまうと、今後どう付き合っていいかわからなくなってしまうからね。それに、プルーナさんのもともとの性格の良さもあるのかな。これがストルネ殿だったら、今までの不敬を~とか、土下座までしそうだもんね・・・。
「そうしたら、次はワシかの。ワシの名は、エレン。アルベロ王国で筆頭宮廷魔術師の職を拝しておる。まぁ、魔術師長というやつじゃな。そして、カレンと同じく、アルの眷属であり、『レ』の文字をもらっておる。風の大精霊じゃ」
「おぉ・・・。でも、なんとなくエレンちゃんが風の大精霊ってしっくりくるカモ」
「なぜじゃ?」
「だって・・・。自由奔放で、気分屋さんなところが・・・」
「むぅ・・・。たっ確かに、ワシは自由奔放であるが」
「フラフラしすぎて空腹で、クラーケンを消滅させるくらいですからね」
「あっあれは!・・・。結果的に、プルーナたちを救ったのだから、よいではないか!」
「えぇ。わるいことなどとは、一言も申してはいませんけれど?」
「むぅ・・・」
「はいはい。2人とも。そこまでにしておいてね?」
「う・・・うむ」「・・・はい」
まぁ・・・。この2人が言い合いをすると長いからね。適当なところで切らないと。自己紹介はまだまだ続くのだから。
「次は、私ですわね!プルーナとは、一度ライラック山でお会いしておりますわよね
?」
「うん!ヴェルさん!たしか・・・」
「ありがとうプルーナ。ですが、それ以上言ってしまわれると、自己紹介ができなくなってしまうのですわ」
「ごめんね」
「いえ。大丈夫ですわ。では、改めて。私の名前は、ヴェレール。そこにいるプルーナと同じ、大精霊の一柱。火の大精霊ですわ。アル様の最初の「「ム・・・」」フフン!最初の眷属であり、『レ』と『ル』の文字を賜っておりますの。以後お見知りおきを」
「昔は、何でもすぐ燃やし尽くしておったくせに・・・」
「昔っから不器用で・・・。今でもお皿を片付けているのか、割っているのかわからないほどなのに・・・・」
「ムキーッ!なんですの!?なんなんですのッ!2人共!」
「いえ」「べっつにー?なのじゃ」
「ムゥキィィ!アル様!2人が・・・2人がイジメてくるのですわ!」
「まったく・・・。ヴェルをすぐにいじめないの・・・」
よよよ。といった感じで、私の胸に顔をうずめてくるヴェル。そんなヴェルを私は、優しくなでているのだが・・・。まったく。いつになっても喧嘩ばかりいなんだから・・・。それでも、いざっていうときはしっかり協力してくれて、円滑に物事が進んでいくのだけれどね。なんか、こちらを見つめる2人の顔がとっても険しい・・・。
「んん!アルフレッド殿下。いい加減にそのような軽はずみな行動を・・・」
「ん?」
「はぁ・・・。まったく。この天然たらしにつける薬はないのですわ・・・。ヴェレール殿。離れるのですわ。カレンもエレンも羨ましいのであれば、素直に甘えるのですわ!」
「むぅ・・・。アル様から離れるのは名残惜しいですが・・・。カーサから言われるのであれば、素直に退くのですわ」
「「・・・。」」
「まったく。もう少し2人は、ヴェレール殿の素直さを見習うのですわ。っと。なんだか説教臭くなってしまったのですわ。プルーナさんごめんなさいなのですわ」
「いっ・・・いえ・・・。ダイジョウブデス」
おぉ。さすがのプルーナさん気圧されて・・・「殿下?貴方にも言っているのですわよ!」アハハ・・・。
「ごめんごめん。でもさ、どうしても頼りにしてくれると嬉しくて・・・」
「まったく・・・。そうやっていると、いつか後ろから刺されてしまうのですわ。用心なさいまし」
「あははは・・・」
「はぁ・・・。っと。また話しが逸れてしまったのですわ。なんでしたっけ・・・。そうそう!「あっ・・・あのぉ」?なんですの?可愛らしいお嬢さん?」
「かわッ・・・あのっ!お母様って、昔からこんな感じなのですか?」
「ええ!そうですわよ!・・・ヴェレール殿を、お母様と呼ぶということは・・・もしかして?」
「はいッ!ヴェレールが息女のシュナと申します!名は殿下につけていただきました!神獣が一柱。不死鳥です!以後お見知りおきを!カーサ妃殿下」
「まぁまぁ!とっても可愛らしくて、丁寧なごあいさつを!ヴェレール殿の息女とは思えませんのですわ!」
「カーサ!それはどういうことなのですわ!」
「いぃえぇ。ただ、鳶から鷲が生まれることがあるのだと感動したまでなのですわ!ところで、シュナさんは、殿下の眷属にはなっていないのですわね?」
「はい!もう少し、王宮内で研鑽を積んだら、改めてお名前を賜りたいなと考えております。まだまだ未熟者ですが、皆様、どうぞよろしくお願い致します!」
おぉ・・・。あのシュナがここまで立派になるなんて・・・。ライラック山で突っかかってきていたころが懐かしい・・・。しかし、アスベルの教育ってすごい!でも、それをものともしないヴェルもある意味ではすごいのだけれど・・・。シュナが若くて、好奇心旺盛で、しっかり者だったという風に考えておこう!
「なんか、至極馬鹿にされたような気配がするのですわ・・・」
「フン!アルに甘えすぎて、腑抜けてしまったのではないのかのぅ」
「フン!万年甘え下手には言われたくないのですわ!」
「んなッ!」何を言うかこの火風情が!」
「風がそよそよ吹いても気持ちが良いだけなのですわ」
「むぅ・・・」「やるのですわ?受けて立つのですわ!」
「はぁ・・・。2人共いい加減にしてね?妃殿下やサクラもいるのだから。そこまでにしてくれないと、私も困るし、自己紹介していない人たちだって困ってしまう。それにね、この話し合いの後は、皆をある場所に連れていきたいし、そこの担当者にも連絡しているから、つまらない小競り合いなら、後でにしてくれるかな。それとも、今解決したいのであれば、私が2人に対してモノ申さなければならないのだけれど・・・」
「うっ・・・うむ・・・。喧嘩はよくないのじゃ・・・」
「そっ・・・そうですわね!喧嘩はよくないですわね!」
うんうん!仲直りしてくれて何よりだよ。それにしても、笑顔で話しただけなのに、なんで2人の顔は青くなって、ガタガタ震えているのだろう・・・。まったく怒っていないのに・・・。
「殿下・・・。まったく・・・。その普段お見せしないような、暗い目の笑顔で話しかけられたら、誰でも恐怖ですわよ」
「えぇ~・・・?そんなことない・・・よね?」
「「「「「「ブンブンブン!」」」」」」
ほらぁ・・・みんな怖くないってさ!なんでヤレヤレって顔で首を振るのさ・・・。カーサさんは・・・。みんなも怖くないよね?ね?ね?ね?
「まったく・・・。話がだいぶ逸れてしまったのですわ。次の自己紹介は————」




