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あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
王都復旧
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さんちゃんからのお話

「びっくりしたぁ!」「なんですの!?板から声がしたのですわ!」「アルト様・・・この声はいったい・・・。」「サクラ様!お退りください!」「妖魔の類・・・ですか!?」


 各々が混乱してしまっている・・・。まぁ一番胆が据わっているのはミューかな。まったく・・・。さんちゃんもさんちゃんだよ!まだ紹介もしていないっていうのにさ。


「さんちゃん。みんなが驚いちゃったでしょう・・・。いつも言ってるでしょう?急に話しかけないでって」


「イヤァ・・・久々ニ登場シマシタノデ。気分ガ高揚シテシマッテ・・・。申シ訳ナイデス。皆様。初メマシテ。私ハ、スキル使用板3594番。サンチャン。ト呼ンデクダサイネ」


 まったく・・・。初めましてな5人にはしっかりと説明して、事なきを得たけれど。取り乱し方が半端なかったよ。


「カレン。机とお茶の用意を人数分お願いできる?」


「畏まりました。ヴェル。アルフレッド様とお客人にお茶のご用意を」


「むぅ・・・カレンに指示されるのは釈然と「お母様!」ハイ。カシコマリマシタワ」


 カレンに対しては不満気だけど、私には笑顔でウインクまでしてくる。まぁ、今に始まったことではないんだけれど。震える手つきでお茶を淹れるヴェルの様子に見かねたシュナも手伝ってくれる。母よりも娘のほうが何倍も器用で、淹れ方が洗練されているなぁ。なんて思って様子を見ていたら、ウルウルした目つきでこちらを見てくるヴェル・・・。大丈夫だよという視線を向けようとしたけど、カレンからの「甘やかさないでください」という念話で断念・・・。頑張れ・・・ヴェル!


 少し手間取ってしまったけれど、カレンが用意した机の上に、ヴェルとシュナが淹れた紅茶が並び、喉を潤していると、ミューが最初に口を開いた。


「それで・・・?アル(にぃ)。この板でどうするの?」


「うん。私もさんちゃんに聞こうと思っていたんだ。確かにいろいろと悩みは尽きないけれど・・・」


「ヨクゾ聞イテクダサイマシタ!(ワタクシ)あっぷで・・・ウオッホン・・・。機能向上ガ為サレマシタノデ、アルフレッド様ゴ自身ガ作ッタモノ、アルフレッド様ノ魔力ヲ含ンダモノ、ソシテ、アルフレッド様ノ領域ニアルモノ、ヲ魔力ダケデ具現化デキルヨウニナリマシタ!」


「それって・・・もしかして・・・。建築用資材を魔力の許せる限り確保できるということ!?」


「Exactly!」


「いぐ・・・なんだって?」


「ソノ通リデス!コレデ物量チートノ仲間入リデスネ!」


「ちーと・・・?」


 なんだかよくわからない言葉が出てきているけれど・・・。


「それってさ!食べ物もできるってことなんだよね!?」


「「———!!」」


「プルーナ様・・・。ソノ通リ。ト言イイタイノデスガ・・・。()()ハデキナイノデス。植物然リ。動物然リ」


「そっかぁ・・・。上手くはいかないものなんだねぇ・・・」


「「・・・。」」


 プルーナさんが食べ物に関して質問をすると、驚愕と期待の表情で次の言葉を待つ、サクラとキョウカの姿が見られた。さんちゃんの次の言葉で一気に落胆した表情に変わってしまったのだけれど・・・。そっか。瑞穂国(みずほのくに)はそこまで切羽詰まっているのか・・・。


「でもさんちゃん。建築資材に悩む必要も、輸送費用に関しても悩む必要ないってことなんだよね。ということは、考えていた高耐久性の住居が作れるってことだから・・・よしっ!都市計画を一気に進めることができるぞ!」


「先程モ言イイマシタガ、アクマデモ、出セルモノハ、アルフレッド様ニ関係スル物ダケデスノデ、希黒鉄(アダマンタイト)希白金(ミスリル)等ハ出セマセンノデ、ゴ容赦ヲ」


「そっか。でも、そのあたりは、陛下に進言して確保してもらうから、何とかなるよ。それよりも、白狼石を際限なく確保できることが嬉しい!あの石は、最高の強度を持つから、人が住む場所に使うのにもってこいなんだよ。中に入れる筋に使う希黒鉄に関しては心配もないだろうし。」


「ふむ・・・。住居としては強すぎる代物が出来そうじゃのぅ」


「うん!エレンの言う通りだよ!災害にも魔法にも強い・・・。住民を確実に守ることができるそんな住居ができる!」


 うん!嬉しすぎて頭の中が纏まらない!アレもコレもしたい欲が、どんどん飛び出てくる!あぁ・・・。何から手を付けよう・・・。高層建築になるから、希黒鉄は外せない。土人形も作って、整備を協力してもらって。断絶してしまった水道に関しては・・・。電力設備は地中に移して・・・。道に関しても大きな変更を可能にできるし・・・。部屋数も格段に増やせる!


「・・・。あのさ・・・。」


「どうしましたか?ミュー」


(ねぇ)様は、不思議というか、知りたくないの?」


「?」


「今この部屋にいる人たちがどんな人たちかって・・・。そりゃぁ、カレンやエレン、ヴェレールに母様はわかるよ?でも、あの4人の名前も素性も知らないのは流石に・・・」


「アルト様のお知合いですから、怪しい方々ではないので・・・」


「いやっ・・・怪しい、怪しくないっていうわけではなくてさ。お互いに自己紹介しようよって話。今ここで知り合ったんだから、名前くらいは知らないと、今後困るでしょう?」


「確かに!」


「ふむ・・・一理あるのぅ」


「確かにそうですですわね!長年の付き合いがあったのにも拘らず、ワタクシの名前をすっかり忘れていらっしゃる方もいるようですし、自己紹介はしたほうが良いですわね!」


「いや・・・何というか・・・。本当にスマンのじゃ」


「いえいぇ?気になんてしていませんわよぉ?」


「・・・」


「では、私は何かつまめるものを用意してまいります。シュナ」


「はい!」


「アスベル侍女長に客室の用意を人数分お願いしてきてください」


「畏まりました!」


「ヴェル」


「なんですの?」


「はぁ・・・。いえ。なんでもありません。貴女は、私と一緒に厨房に来て軽食の準備と・・・その前に、料理長に晩餐の量の追加をお願いしてきてください」


「なんでワタクシが・・・「ヴェル」・・・心得ましたわ」


「エレンは、アルフレッド様の意識をこちらに呼び戻してください」


「承ったのじゃ」


「自己紹介の場を提供仕損じてしまったこと、わが主に変わり、謝罪いたします。申し訳ありません。では、皆様。今しばらくお待ちいただければと思います。失礼いたします」


 カレンは、矢継ぎ早に指示を出してその場を後にする。エレンは、アルフレッドを現実に戻そうと声をかけ始める。そのほかの部屋に残った面々には、『確かに名前を知らないな・・・』という微妙な空気が流れ始めていたが、そんな場を作ってしまった張本人の意識が浮上してくるまでは、まだまだかかりそうであった。


 

 


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