毒薬の除去
「っかぁ…大変なことになってんなぁおい…街は滅茶苦茶だな…」
スコットは、カメリアが来るまでの間に粗方の情報収集を終えていた。と言っても精霊なので一瞬なのだが…。
「スコット。待たせましたか?」
「いんや。大丈夫だ。っと…その顔を見るに原因が掴めたらしいな」
「ええ。そういうスコットこそなにか判りましたか?」
「勿論だ。だからこそ、お前さんが戻ってくる一時で街の情報を集めていた」
「流石ですね。では、答え合わせを…」
「おう…せぇの!」
2人は、それぞれが集めた情報の答え合わせをするため、声を揃えて一言だけ発した。
「「根!」」
「やはり…そうでしたか。しかも一部の…ですよね」
「おう!この虚の周辺の根にだけ、異物が着いていやがる。それを剥がさなきゃならねぇ。なにか知恵はあるか?」
「やはり…でしたら、その根をこの虚の中に出して、一気に取ってしまうのは如何でしょう?」
「おぉ…流石だな…」
「多少でも土が着いていれば、貴方が干渉して篩い落とせるでしょう?」
「おう。んじゃやるか」
「ええ」
そう言って、カメリアは虚の中にある根に近い部分に手を当て、ブツブツと何かを呟く。世界樹自体は蒼炎で休眠状態に近く、カメリアでも干渉が可能であったからこその力技だ。
「おっ!出てきやがった。もういいぜカメリア。これで全部だ」
異物の着いた根がすべて露出したところで、今度はスコットが異物に干渉。根から拳大の何かを篩い落とす―――――。
「どのようなものでしたか…?」
「ん?おう。これだ――――」
スコットは、拳大の何かを一つ取り、手に乗せてカメリアに見せた。スコットの掌に載っているものは、見ようによっては馬鈴薯にも見える。カメリアにはなんだかわからないので、説明の続きを目でスコットに訴えた。
「…馬鈴薯に似てるって思ったろ?」
図星を突かれ、スッと目をそらすカメリア。
「仮にも植物を司るんだからよぅ…。まぁいいか。こいつは、虫瘤…つっても中に入ってるのは毒薬だから、毒瘤になるのか」
「これを…下手人が植え付けたのですか」
「いんや。ちと違うな。元々は、丸い粒上の毒薬だったのだろうな。それを世界樹の爺様が、拡げちゃならねぇと考えて取り込んだんだろう。それが、仇となった…のか、功を奏したのか…判らねぇが、一つ言えることは…」
2人は再度世界樹を見上げ――――
「「1人で抱え込むな!」」
「ってことだな」「ですね…」
「そのせいで、街の方は集合住宅にちと被害が出ているみたいだしな」
「そうですね…世界樹様の根を利用していますからね…。多少なりとも毒はそちらにも流れるでしょう」
「下手人としては、そっちも目的だったんだろうが、爺様が毒薬を取り込んだお陰で、強い異変が起きなかった。それに…」
スコットは、毒瘤を自身の魔法で精製した、水晶製の小刀で半分に切る。もちろん、中身が飛び散らないよう、地面に拡散しないよう。もちろん、自分にも被害が出ないよう透明の水晶球で手と毒瘤の周りを多いながら。
「こいつは、土の中で急速に分解されて、広範囲に拡散するような仕掛けがされている。こいつは本当にアブねぇ代物だよ」
「なるほど…」
「カメリアよぅ…。少しうちの店で、農薬やら何やら見て行けや…」
「はい…」
あまりにもカメリアの薬の知識が薄いと感じたスコットはそう声をかける。彼女も自身の欠点を見つめ、頬赤らめて蚊の鳴くような声で肯定し、頷いた。
「んまぁ…これで爺様の方はなんとかなるだろう。あとは…」
「殿下にお任せ…」
「だな」
そう言って、2人はアルフレッド達が居るであろう丘の方に目を向けるのであった。




